CPUクーラーの種類、選び方やチェックしておくべきポイントについてご紹介

CPUクーラーはパソコンの頭脳であるCPUを効率的に冷却するために必要なパーツです。選び方を間違えるとパソコン全体の性能低下にもつながります。
この記事では、CPUクーラーについて、空冷や水冷、エアフローの方式などの種類、選び方のポイントとなる静音性や固定方式などについてご紹介します。

CPUクーラーの種類

CPUクーラーの種類

パソコンにとって、効率の良い排熱はパソコンの性能や寿命を左右する大切な要素です。
特にCPUはパソコンの頭脳にあたるパーツで、半導体素子の集積体でできています。
高負荷をかけたり、長時間使用したりするとCPU温度が上昇します。
高温の状態のままでずっと使用すると、性能低下をはじめ、CPU自体の寿命の低下や故障する可能性さえ出てきます。
そのため、CPUからの放熱を適切にCPUクーラーで冷却する必要があります。

CPUクーラーには大きく分けて空冷式と水冷式があり、空冷式にはトップフロー型とサイドフロー型があります。
次の章から詳しく紹介をしていきます。

空冷式(トップフロー型)CPUクーラー

空冷式(トップフロー型)CPUクーラー

トップフロー型のCPUクーラーは、CPUの上から風を送り込む方式です。
そのためマザーボード全体にも風を当てることができ、CPUだけでなくメモリやチップセットなども同時に冷却可能です。

トップフロー型のCPUクーラーは、厚みの薄い製品が多くサイズも豊富にあり、サイドフロー型と比較すると設置場所を取らないため、コンパクトなパソコンにも装着可能です。
ただし、トップフロー型のCPUクーラーは、冷却後の空気が留まりやすいため、温かい空気をできるだけ効率よく排出する必要があります。
また、マザーボードのCPU周辺パーツ上部全体を覆うため、メンテナンス性は大きく落ちてしまいます。

空冷式(サイドフロー型)CPUクーラー

空冷式(サイドフロー型)CPUクーラー

サイドフロー型のCPUクーラーは、CPUに直接風を当てるのではなく、CPUと接地しているヒートシンクに風を当てて冷やす方式です。

パソコンケース内は基本的に前から空気を取り込み、リアファンで温まった空気を後ろへ排出するようにできています。
そのためサイドフロー型のCPUクーラーでは、パソコンケース内の空気の排出を効率的に行えるため冷却効率も期待でき、トップフロー型と比べてメンテナンス性にも優れています。

ただし、サイドフロー型のCPUクーラーは、CPU以外の冷却効果が弱くなってしまうのと、サイズが大きいものが多く、コンパクトサイズのパソコンケースには収まらないことがあるので注意が必要です。

水冷式CPUクーラー

水冷式CPUクーラー

水冷式のCPUクーラーは、CPUの熱を吸収して熱くなったクーラント(冷却液)をラジエーターへ送り、冷却ファンでクーラント(冷却液)を冷やす方式です。
空冷式に比べて冷却効果が高く、CPUと設置しているヘッドが小さいため、CPU周辺パーツへの干渉が少ない傾向があります。
高性能なCPUを搭載していて、高負荷の作業が多いパソコンなどに向いています。

CPUクーラーの選び方の中でも、水冷式のCPUクーラーには大きく2種類があります。
「簡易水冷CPUクーラー」と「本格水冷CPUクーラー」があります。
それぞれの違いについて紹介をします。

簡易水冷CPUクーラー

水冷式のCPUクーラーでも導入がしやすいのが、簡易水冷CPUクーラーとなります。
簡易水冷CPUクーラーはクーラント(冷却液)の水路が、ひとまとめのパーツ(ユニット状態)となっています。

簡易水冷CPUクーラーを構成しているのは以下のパーツとなります。

  • ラジエーター
  • 搭載ファン
  • チューブ
  • ポンプ


簡易水冷CPUクーラーのパーツ名

横から見た簡易水冷CPUクーラーの画像です。

横から見た簡易水冷CPUクーラーの画像です。

上から見た簡易水冷CPUクーラーの画像です。

上から見た簡易水冷CPUクーラーの画像です。

簡易水冷CPUクーラーの「ラジエーター」

CPUクーラーでポンプから送られてきたクーラント(冷却液)を冷やす役割をしています。
面積が広いほど放熱性能が高くなります。
簡易水冷CPUクーラーをPCに取り付ける場合、特にサイズ確認が必要なパーツとなります。
製品によってラジエーターの厚みは異なるので、使いたいPCケースが対応しているか確認が必要です。

簡易水冷CPUクーラーの「搭載ファン」

ラジエーター自体に空気を当てて冷却する役割を果たします。

通常は厚みが「25mm」の物が使用されています。
ファン単体での交換も可能です。
簡易水冷CPUクーラーの購入時に付属するファンは風圧が高いファンを使用していることが多い傾向があります。

簡易水冷CPUクーラーの「チューブ」

ラジエーターとポンプの間でクーラント(冷却液)を送るためのパイプの役割を果たします。
簡易水冷CPUクーラーのチューブにはいくつか種類があり、チューブの厚みや素材で、取り回しのしやすさが違ってきます。
一部ゴムのチューブの上にスリーブがかぶせてある製品も存在します。

簡易水冷CPUクーラーの「ポンプ」

ポンプは水冷のクーラント(冷却液)をラジエーターに送り、循環させる動力の役割を持ちます。
ポンプ部分の下部にCPUが存在する状態で設置し、CPUを冷却します。
ポンプの下部は銅などの材質が使用されていて、直接CPUに接する構造になっています。
簡易水冷CPUクーラーはポンプヘッドに視覚効果があるディスプレイが搭載されているモデルがあります。

簡易水冷CPUクーラーの場合、空冷CPUクーラーと比べ、CPU上部は基本的に設置用の体積が少なくて済む傾向があります。
ただし、ポンプヘッド自体にも高さがあるので、簡易水冷のCPUクーラーをスリム型などの小型のPCケースに導入際には、ポンプヘッドの高さの確認が必用です。

ポンプヘッドに視覚効果があるディスプレイが搭載されているモデルがあります。

本格水冷CPUクーラー

本格水冷CPUクーラーは、簡易水冷CPUクーラーと基本的な考え方は同じものですが、それぞれの構成パーツがバラバラになっているとイメージしてください。
クーラント(冷却液)の水路を自分で考える必要があり、チューブを切ったり曲げたりする作業が必要となります。

本格水冷の場合は冷却する対象のパーツ自体も選択することが可能となります。
グラフィックボード、マザーボード、メモリなどを冷却対象にすることも可能です。

CPUクーラーの選び方

CPUクーラーを選ぶ時はメリットとデメリットのバランスを重視する必要があります。
全てメリットだらけともなかなか行きません。
例えば、冷却性は高いがファンの回転数が高く、音がうるさい。
逆に、冷却性は高いがその分CPUクーラーが大きくなり、メモリに干渉してしまう、取り付けが難しくなるなどがあります。

性能を求めれば、それ相応のデメリットが生じるのは仕方ない部分があります。
次の章からCPUクーラーを選ぶ際のチェックポイントを紹介します。

CPUクーラーのチェックポイント

CPUクーラーには空冷式、水冷式があることはお分かりいただけたかと思います。
次の段階として、CPUクーラーを選ぶ際に自分のパソコンに合っているのかが問題になってくると思います。
CPUクーラーの知っておくべき選び方を紹介します。

CPUクーラーを選ぶ際のポイントとしては、「冷却性能」「静音性」「固定方法」の3つがあります。
特に、「固定方法」についてはサイズや規格が合わない場合は取り付けることができないため、しっかり調べておきましょう。
次の章から具体的に紹介をしていきます。

CPUクーラーの冷却性能をチェック

CPUクーラーの冷却性能をチェック

CPUクーラーはCPUを冷却するためのパーツですので、使用しているCPUをしっかりと冷却できる性能があるのかが重要となります。
使用しているCPUの放熱に対して、CPUクーラーの冷却性能が低く、CPUが設計で想定しているより高温となった場合などは、CPUが温度上昇を抑えるために性能をあえて低くセーブし、結果として処理能力が異常に低い状態のままとなる事があります。
そして、CPU側で制御の限界を超える温度となった場合、最悪だとCPUが故障し起動しなくなるなどの可能性もあります。

空冷式の冷却性能は、放熱板であるヒートシンクが大きければ大きいほど冷却効果は高まるものの、他のパーツに干渉しないような設置場所が必要です。
またファンはサイズの大きさだけでなく、ファンの数を増やすのも効果的です。

水冷式においても、空冷式と同じくファンの数を増やしたり、ラジエーターを大型のものにしたりすると冷却性能が向上します。

CPUクーラーの静音性をチェック

CPUクーラーの静音性をチェック

CPUクーラーで見落としがちなのが静音性能です。
静音性を求めるのであれば大きいファンを選ぶと良いでしょう。
また、ファンの回転数を制御することにより静音性を高めたモデルもあります。

ファンが発生するノイズは「dBA(デシベルエー)」という値で表記され、数値が低いほど静音性に優れていて、最大数値が30dBA以内であれば気にならないでしょう。

ファン回転数は「rpm」という値で表記され、1分間にファンが何回転するかを表しています。
ファン回転数が大きいと音も大きくなりますが、冷却性能も向上します。

基本的には静音性と冷却性能は反比例するため、ファン回転数を制御できるタイプでカスタマイズするのも良いでしょう。

CPUクーラーの固定方法

CPUクーラーの固定方法

CPUクーラーを取り付ける固定方法としては「バックプレート式」「プッシュピン式」「クリップorレバー式」があります。

バックプレート式

「バックプレート式」は、プレートを使ってCPUクーラーとマザーボードを挟み込んで固定する方式です。
マザーボードを外すため工具が必要ですが、大きめのヒートシンクでも安定してがっちりと固定できます。

プッシュピン式

「プッシュピン式」は、intelのCPUに採用されている方式で、CPUクーラーのピンを押し込んで固定できるため取り付けは簡単です。
対角で止めていくなど、少しだけコツが必要となります。

クリップorレバー式

「クリップorレバー式」は、AMDのCPUに採用されている方式です。
AMDのリテールCPUクーラー(CPUに同梱されている)の仕様となります。


CPUクーラーにはいくつかのアタッチメントがあるため、複数のCPUソケットに対応していますが、マザーボードのソケットタイプに対応した製品を選ぶように注意しましょう。

CPUクーラーの取り付けの向きに注意

取り付けの際はCPUクーラーの向きにも注意しましょう。
デスクトップ内の空気の流れを乱さないように取り付けないと逆に熱が内部にこもってしまう場合があります。

特にマザーボードと水平に排熱が行われるサイドフロータイプが主流になっているため、この手の間違いが起こりやすくなっています。
パーツとの干渉だけではなく、エアフローの向きについても取り付けの際には注意をするようにしましょう。

まとめ

CPUクーラーに関してエアフローの種類をはじめとして、様々な特性に関して紹介をしてきました。
最近のCPUでは、CPUクーラーが同梱されないモデルも増えてきました。
その場合はご自身でCPUクーラーを別途購入し、単体のCPUクーラーを取り付ける必要があります。

CPUクーラーを選ぶときはエアフロー型式、冷却性、静音性、固定方法、価格などを全て考慮しなければいけません。

また、CPUクーラーを取り付ける際にはシリコングリス(CPUグリス)も厳選したものを選んでおく方が良いでしょう。
しっかりと検討し、CPUクーラーや冷却グッズを選ぶようにしましょう。



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