Thunderboltとは
Thunderbolt(サンダーボルト)は、IntelがAppleと共同開発したデータ伝送技術で、周辺機器を接続するなどの用途に使われます。
この記事では、Thunderbolt(サンダーボルト)とは?から、USB Type-Cとどう違うのか?具体的な利用例などについてご紹介します。
もくじ
- Thunderboltとはどのようなものか
- Thunderboltの歴史
- Thunderboltと「USB Type-C」の違い
- Thunderbolt 4と「USB4」の違い
- Thunderbolt 4の特長「柔軟性のあるインターフェース」
- Thunderbolt 4の特長「幅広い帯域幅を提供」
- Thunderbolt 4の特長「互換性の高い接続規格」
- Thunderbolt 4の特長「ビデオ信号出力」
- Thunderbolt 4の特長「ケーブルの規格」
- Thunderbolt 4の特長「セキュリティ」
- Thunderbolt 4の「給電・充電能力:USB PD(USB Power delivery)」
- Thunderbolt 4の特長「データの転送速度」
- Thunderbolt 4の特長「接続可能なデバイスの種類」
- まとめ
Thunderboltとはどのようなものか
ThunderboltはIntel社とApple社が共同で開発し、2011年に登場した「データ通信規格」です。
「Light Peak(ライト ピーク):デジタル家電などを1本の光ファイバーケーブルで結ぶインターフェース」を基に発展し開発された規格となります。
現在では「高速なデータ転送とディスプレイ出力の両方の対応が可能なインターフェース」という位置づけとなっています。
PC本体と外付けHDDやディスプレイなど、外部周辺機器を接続するのに利用されています。
Thunderboltの歴史
Thunderboltは、Macに採用され、当初はUSBとは互換性のないインターフェース規格で「USBよりもデータ転送速度が速いインターフェース」として登場しました。
その後Thunderbolt 3でUSB 3.1 Gen 2のプロトコルをサポートすることでUSBと互換性のある規格となっています。
世代ごとのThunderboltの歴史を表にまとめました。
規格 | 発表年月 | 最大転送速度 | コネクタ形状 | 対応プロトコル |
---|---|---|---|---|
Thunderbolt | 2011年2月 | 10Gbps | Mini DisplayPort | PCI Express 2.0 DisplayPort 1.1a |
Thunderbolt 2 | 2013年12月 | 20Gbps | Mini DisplayPort | PCI Express 2.0 DisplayPort 1.1 |
Thunderbolt 3 | 2015年6月 | 40Gbps | USB Type-C | PCI Express 3.0 DisplayPort 1.2/1.4 USB 3.1 Gen 2 |
Thunderbolt 4 | 2020年1月 | 40Gbps | USB Type-C | PCI Express 3.0 DisplayPort 1.4 USB4 |
Thunderboltと「USB Type-C」の違い
Thunderbolt 3以降に関して、Thunderboltの「コネクタ(接続端子)」の形状はUSB Type-Cのコネクタが採用されています。
コネクタ形状が同じであることで、ThunderboltとUSB Type-Cについて「同じもの」という誤解が生じている可能性があります。
Thunderboltは「データ通信規格」でありUSB Type-Cは「コネクタ形状」を意味しています。
この2つは別のものとして考える必要があります。
Thunderbolt 4 に対応する「USB Type-Cコネクタ」の内部接続規格
Thunderbolt 4対応のUSB Type-Cコネクタでは、以下の内部接続規格が利用できます。
- Thunderbolt 4
- Thunderbolt 3
- USB4
- USB 3.2(Gen1/Gen2)
- USB 3.1(Gen1/Gen2)
- USB 3.0
- USB 2.0
ThunderboltとUSB以外にも、コネクタにUSB Type-Cを採用している接続規格は多くの種類があります。
USBの規格とは、各世代のUSB接続の他に、映像出力機能や、イーサネット接続機能、PD(パワーデリバリー)と呼ばれる電力供給機能なども搭載している場合があります。
そのため、コネクタの形状だけで、Thunderboltの規格に対応しているかの判断は難しい傾向があります。
Thunderbolt 4と「USB4」の違い
Thunderbolt 4とUSB4についても、同じように数字の「4」が付くなど、一見すると似た部分がある規格ですが、同一の規格ではありません。
以下のような違いがあります。
比較項目 | Thunderbolt 4 | USB4 |
---|---|---|
モニター接続数 | 2台(4K解像度) 1台(8K解像度) |
オプション 1台(解像度の指定なし) |
最大伝送距離 | 2.0m | 0.8m |
PCI Express対応 | ○ | オプション |
表からわかるようにThunderbolt 4はUSB4に対して上位互換性があります。
上位互換とは、世代、機能、性能などで後発や上位になる製品が、前の世代や、下位の機能、性能と互換性がある状態のことを意味します。
Thunderbolt 4の特長「柔軟性のあるインターフェース」
Thunderbolt 4は外部機器への大容量のデータ転送と組み合わせによっては、外部モニターとノートパソコンを1本のThunderbolt 4ケーブルでつなぎ、ディスプレイなどへの映像出力と給電を同時に行うことができます。
Thunderbolt 4の特長「幅広い帯域幅を提供」
Thunderbolt 4は最大40Gbpsの帯域幅を提供します。
帯域幅とは、通信や放送に使用する電波や光の周波数を意味し「最高周波数」と「最低周波数の差」のこととなります。
帯域幅は、その幅が広いほど多くの情報を転送することができます。
Thunderbolt 4の特長「互換性の高い接続規格」
Thunderbolt 4は従来の「Thunderbolt 3」「USB」「DisplayPort」「PCI-Express」などの各種規格と互換性がありますので、多くの外部周辺機器デバイスと接続することが可能となっています。
Thunderbolt 4の特長「ビデオ信号出力」
Thunderbolt 4では映像出力の機能も強化されました。
Thunderbolt 3は4K解像度のビデオ出力はディスプレイ1台まででしたが、Thunderbolt 4では4K解像度ならディスプレイ2台、8K解像度であれば1台まで対応可能となっています。
Thunderbolt 4の特長「ケーブルの規格」
Thunderbolt 4では「ユニバーサルケーブル」と呼ばれるThunderbolt 4の機能をフルで利用できる接続ケーブルが登場しました。
Thunderbolt 3用ケーブルとの違いを比較してみましょう。
Thunderbolt 3用ケーブル「パッシブケーブル」「アクティブケーブル」
Thunderbolt 3には「パッシブケーブル」と「アクティブケーブル」の2種類が存在し、それぞれ長さや機能に制限があります。
例えば、Thunderbolt 3用でPCI Express接続をサポートする「パッシブケーブル」は長さが80cmまでに制限されています。
Thunderbolt 4用ケーブル「ユニバーサルケーブル」
Thunderbolt 4では信号補正回路を備えた「ユニバーサルケーブル」と呼ばれる新たなケーブルタイプが追加されました。
「ユニバーサルケーブル」であればThunderboltとUSBのどちらでも利用可能となっています。
ケーブル長は2mまで対応可能で、USB 2.0以降のUSB Type-Cケーブルとしての互換性もあります。
Thunderbolt 4の特長「セキュリティ」
Thunderbolt 4ではDMA保護機能が提供されていて、外部からの攻撃に対する防御能力がより強化されました。
DMA(Direct Memory Access)とはパソコン内部でのデータ転送方式となります。
CPUを介さずに周辺機器やメインメモリなと、直接(Direct)にデータ転送を行方式となり、攻撃の対象になる可能性があります。
Thunderbolt 4の「給電・充電能力:USB PD(USB Power delivery)」
Thunderbolt 4はUSB PD(USB Power delivery)に準拠しています。
USB Power DeliveryはUSBケーブルを利用した最大100Wまでの受給電を可能にするUSB電力拡張規格です。
Thunderbolt 4は最大消費電力100W、電圧は20Vまでの電力供給が可能で、大電力を供給することができます。 100Wの電力供給能力があるため、タブレットやノートPCなどへの受給電が可能となっています。
100Wの電力供給能力があるため、タブレットやノートPCなどへの受給電が可能となっています。
Thunderbolt 4の特長「データの転送速度」
Thunderbolt 4のデータ最大転送速度は40GbpsでThunderbolt 3と差がありません。
ただし、PCI Express接続での転送速度が16Gbpsから32Gbpsとアップしています。
これにより、PCI Express接続の外付け機器で性能をさらに引き出せるようになりました。
Thunderbolt 4の特長「接続可能なデバイスの種類」
Thunderbolt 4端子にはThunderbolt 4対応デバイス以外にThunderbolt 3やUSB 3.1やUSB4対応のデバイスを接続することが可能となっています。
カテゴリ別に接続可能なデバイスを紹介します。
外部モニター(ディスプレイ)
4K(3,840×2,160ピクセル)までのモニターを2台まで、もしくは8K(7,680×4,320ピクセル)のモニターを1台接続することが可能です。
ストレージ
外付けのSSDやハードディスクが利用可能で、40Gbpsのデータ転送速度を活かして高速な内蔵SSDドライブに匹敵するパフォーマンスを得ることが可能です。
ネットワーク機器
ネットワークアダプターを介してネットワーク機器に接続できます。
また、2台のPC同士を接続してデータ転送をすることが可能です。
まとめ
Thunderboltの規格について、特にThunderbolt 4について詳しく紹介をしてきました。
ノートパソコンの電源などにも使われる例が多く、また、USB Type-Cのコネクタ形状をしているため、USBとの違いを知りたかった方もいるかもしれません。
Thunderboltは互換性が高く、高性能な規格であるため、今後ますます普及していくことが考えられます。
Thunderboltに関しての知識を持って、ノートパソコンや周辺機器選びに役立てるようにしましょう。
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