8Kプロジェクターが目指す次世代への挑戦

画像や映像を大画面化できるプロジェクター。
映像の解像度向上は進むところまで進み、ついにハイビジョンの16倍である「8K」という高解像度映像を見ることができるようになりました。
「8K」の一般化はまだ準備段階のようですが、すでに業務用8Kプロジェクターの販売は始まっています。

8Kプロジェクターとは?

プロジェクターの投影方式としてDLP方式(デジタル・マイクロミラー・デバイスを用いた方式)とLCD方式(液晶パネルを用いた方式)が一般的です。
2015年5月末に開催された「技研公開2015」にて、NHK技研公開がJVCケンウッドと共同開発した「8Kプロジェクター」は発表され、脚光を浴びました。
8Kプロジェクターは、独自に開発された1000万画素の「1.27型4K2K D-ILA デバイス」を搭載しています。

”D-ILA”とは、日本ビクターが開発したデバイスです。
LCOS方式(反射型液晶素子を用いた方式)を言い換えたもので、高級路線モデルに多く使われていました。
赤・青・緑3つのD-ILAを、斜めにずらすことで2倍の解像度を表現できる「e-shiftテクノロジー」を使い、より鮮明でリアルな映像を投影できるような仕組みとなっています。
JVCケンウッドより2013年3月に、世界初の量産型8Kプロジェクター「DLA-VS4800」は発売開始されました。

映像美は3Dではないのに3Dで見えてしまうほど

8K(7680×4320)という解像度からわかるように、色の再現性には驚くことでしょう。
画像や映像を機器でアウトプットする際、色彩表現に限りがあると、機器の中で色補正が行われ、実際の色とは違う奥行きの無さなどが露呈してしまいます。
特に、プロジェクターで大画面化すると荒さが目立つので、映像美を追求するのに8Kはまさにうってつけなのかもしれません。

その証拠に、BT.2020(4K・8Kの色域規格)の色域包含率98%カバーできるだけあり、実在する色の表現力には脱帽です。
8Kプロジェクターの映し出す”赤”は、ただの赤ではなく深みがあるもの、鮮やかなもの、など細かに再現されます。
コントラスト比も高く、臨場感や奥行きを出し、映像の中のことが目の前で起こっているかのように感じるでしょう。

また、フレーム周波数は120Hzあるので、1秒につき120枚の8K画像を表示できます。
スポーツシーンなど動きの速い映像でも残像の心配なく、より鮮明に映し出されます。

世界初の量産型8Kプロジェクター「DLA-VS4800」

JVCケンウッドから2013年3月に世界初の量産型8Kプロジェクターとして発売された「DLA-VS4800」。
量産型として、使いやすい特徴が随所に見られるでしょう。

レンズやケーブルは4K解像度対応のものが使え、4系統のDVI入力端子とUSBなどPC用の入力端子も搭載されています。
光源である2灯式の超高圧水銀ランプは、輝度の切り替え、1灯点灯時は自動的に使用時間の短いランプの方にしてくれるという省エネ機能が便利です。
プロジェクターはネットワークを通じてPC操作が可能。10/1画素単位で色ズレの補正を行ってくれます。

8Kプロジェクターの歴史はまだ始まったばかりですが、4Kテレビ放送も追いつかないうちに業務用として販売され始めました。
今後、プラネタリウム、会議や監視映像など大画面・高画質が生かされる様々な場面で活躍を提案していくようです。
わたしたちの暮らしがより豊かになるような利用法を期待しつつ、その発展を見守っていきましょう。