“射的”や“モグラたたき”などレトロなゲームがVRで楽しめる「NVIDIA VR Funhouse」

 GPUのGeForceシリーズを手掛けるNVIDIAが、自ら手掛けたVRソフト「NVIDIA VR Funhouse」。お祭りの屋台にありそうな遊びをVRゲームにした感じの内容で、VRならではのゲームが複数収録されている。Steamで、なんと無料で公開されている。

 本作について最初にお伝えしておきたいのが、画質設定について。3段階あるのだが、GeForce GTX 1080でも2番目のMEDIUMが推奨。HIGHはGeForce GTX 1080のSLI環境が推奨されている。「ドスパラVRパラダイス」では、GeForce GTX 1080のシングル環境が用意されており、MEDIUMでのプレイが可能だ。無料で公開されているところからも、一種のベンチマークソフトとして見てもよさそうだ。

 内容は、2つのコントローラーを両手に見立て、様々なアトラクションに挑戦する。起動後に表示されるエリアでは、奥の棚に陶器の壺やヤカンなどのオブジェクトが並び、手前の台にはボールやハンマーなどが並んでいる。ボールに手を近づけてトリガーを引くと掴むことができ、手を動かしながらトリガーを離せば投げることもできる。うまく投げて棚の上にあるものにぶつけられれば、オブジェクトが割れる。

 この後のアトラクションでも見られるのだが、本作では様々なオブジェクトが物理演算で綺麗に壊れたり、液体が滑らかな動きで付着したりする。非常に処理が重いのはおそらくこのためだ。NVIDIAらしいデモソフトである。

 最初のエリアは操作を理解するための練習なので、済んだら右手の親指辺りにあるボタンを押して次のエリアへと進む。ここからは時間制限付きでスコアを競うアトラクションを、9つ連続でプレイしていく。

 最初は「CLOWN PAINT」。両手はペンキのようなものが入った水鉄砲になり、前方にあるピエロの口に向かって水鉄砲を発射する。ピエロの口に一定量の水鉄砲が入り、頭上にある風船が割れたらポイント獲得となる。水鉄砲は撃ちっぱなしにすると中の液体がなくなるが、撃たずにいると徐々に補充される。

 「FIRE ARCHER」は、矢じりが燃えている矢を的に当てるゲーム。右側にある矢筒から右手で矢を掴んで抜き、左にあるたいまつで矢じりに火を点け、左手に持つ弓に合わせて引き絞り、右手を離して的を射る。的は大きさや動きの有無で点数が異なる。ちなみに火を点けなくても射ることは可能だが、点数にならない(筆者はルールに気づかずそのまま射てしまった)。

 「BALLOON KNIGHT」は、両手に持った剣を使い、周囲で次々に膨らむ風船を割るゲーム。剣といってもさほど切れ味はよくなく、勢いをつけて風船を叩くか、刺すように当てないと割れにくい。風船は360度全部に出てくるので、プレイヤー自身がぐるぐる周りながら剣を振りまくる。割った数が得点になる。何も考えずにただひたすら風船を割るだけである。

 「BASKETBALL」は、ゲームセンターなどで見かけるバスケットボールゲームをそのままVRゲームにしたもの。手元にある小さなバスケットボールを掴み、前方にあるゴールに向かって投げる。経験者は両手で掴みたくなるが、あくまで片手で投げる。ボールは複数あるが、勢い余ると画面外に転がり出て回収不能になるので注意。

 「WALLWALKER」は、ゲル状のタコのようなものを掴み、目の前の的に向けて投げるゲーム。手前の台にあるボタンを押すとタコが落ちてくるので、掴んで投げる。的の真ん中にくっつけば得点。ただし足の裏がくっつくように投げないと、当たっても剥がれ落ちて得点にならない。タコの挙動が実に気持ち悪くブヨブヨしていて、触っているだけで面白い。

 「WHACK-A-MOLE」は、いわゆるもぐら叩き。台に置かれたハンマーを握るとゲームスタート。後は6つの穴から出てくるものをひたすら叩く。横から叩いても得点にならないので、ハンマーをきちんと振り上げて上から叩くのがコツ。ゲーム終了後にハンマーで台をバンバン叩いても怒られないのがちょっと気持ちいい。

 「MOLE BOXING」は、前方の6方向からこちらに迫ってくるサンドバックのようなものを叩き返すゲーム。両手はボクシンググローブになるので、近寄ってきたサンドバックを真っ直ぐ殴り返せばいい。やることは単純ながら、真っ直ぐ殴らないと殴ったことにならないので、シャープなパンチをお見舞いしたい。サンドバックはバネで支えられており、あえて横から殴るとビヨンビヨンと動く挙動もリアル。

 「SHOOTING GALLERY」はシンプルな射的ゲーム。両手が拳銃になり、目の前にある棚の皿などを撃って壊せば得点になる。弾切れはないようなので、ひたすらトリガーを引いて撃ちまくればいい。1つのオブジェクトに対して1発の当たり判定だが、壺などは1発では部分的にしか壊れないこともある。土台の部分を狙って撃てば綺麗に壊れるが、得点になるのは最初の1発だけである。

 「CANNON SKEET」も射的ゲームだが、クレー射撃のように皿などの陶器のものが撃ち出される。両手の拳銃で撃って壊すのは同じだが、動く的を撃つ分だけ難しい。途中からハイペースで皿などが飛び出してくるので、片手では足りず両手で連射してしまった。狙い撃ちするもよし、連射で爽快に遊ぶもよしだ。

 全てのゲームをプレイすると、最後にスコアが表示される。このエリアにはボタンがあり、押すとエリア内のスクリーンにスタッフロールが流れる仕掛けがある。

 他のプレイヤーとハイスコアを競おうという感じではなく、どちらかといえば技術デモとしての色合いが強い。VR空間でリアルな物理演算を見てみるという点で価値はあるし、ゲーム自体も直感的で遊びやすいので、VR体験ソフトとしても良好な手触りだ。ハイスペックなビデオカードを持っている人向けのソフトと言えるが、今後新たなGPUが登場した時にも改めて試したい作品だ。