【レビュー】CPU Intel「Core i7 10700 BOX」 “鉄板”の8コアCPUを徹底解説

公開日:2021/7/30

 今回ご紹介するのはIntel社製のCPU「Core i7 10700 BOX」です。3万円台という価格帯で8コア/16スレッドを実現している本製品。ブーストクロック時の処理速度も高く、ゲーミングパソコン用のCPUとしては“鉄板”と言っていいほどのスペックを誇っています。CPUの基礎知識やベンチマーク結果を交えながら、その魅力を詳しく解説します。

 

ゲームで重要なのはグラフィックボード……だけではない!

 唐突ではありますが、ゲームするうえでもっとも重要なパーツを聞かれた場合、ほとんどの方が「グラフィックボード」と答えるかと思います。あまりパソコンについて詳しくない方でも、「パソコンでゲームをするならグラフィックボードが必要」という認識があるのではないでしょうか。

 

 たしかに、ある程度グラフィックの質が高い3Dゲームをプレイするにあたっては、それなりの性能を持ったグラフィックボードが欠かせません。そういった意味では、ゲーム=グラフィックボードという認識も間違ってはいないでしょう。

 

 しかし、実際にはグラフィックボードだけではなく、CPUのスペックもゲームのパフォーマンスに大きな影響をおよぼします。どれだけハイエンドのグラフィックボードを使っていても、CPUのスペックが足りない場合には、その真価を発揮できないためです。

 

 この説明だけでは、いまひとつイメージがつかない方も多いかと思います。そこでまずは、ゲームにおいてCPUがどのような役割を果たしているのかを、簡単に確認しておきましょう。

 

ゲームにおけるCPUの役割

 そもそもCPUとは、パソコンの「頭脳」とも言えるパーツです。ゲームをはじめとした各種ソフトウェアや、キーボード・マウスなどハードウェアの制御をまとめて行っています。

 

 ゲームにおいては、プレイヤー自身を含むキャラクターやマップ上の障害物の位置から、いわゆる「当たり判定」まで、ほとんどの処理をCPUが行っています。具体的には、FPSゲームで銃弾が命中したかどうかや、オープンワールド系ゲームのフィールドオブジェクトの読込みなどが挙げられます。

 

 そしてさらに重要なのが、グラフィックボードに向けて指示を出すのも、CPUの仕事であるという点です。CPUが「どこに・どれだけオブジェクトがあるのか」といった情報を処理し、グラフィックボードに「オブジェクトの映像を描写しなさい」と信号を送ります。グラフィックボードはCPUからバトンを受け取って、仕事をはじめるイメージです。

 

 そのため、グラフィックボードのスペックにCPUのスペックが追いついていない場合、結果としてグラフィックボードが本来のパフォーマンスを発揮できないという事態が起こり得ます。CPUからの指示が遅く、グラフィックボードがなかなか仕事をはじめられないというわけですね。

 

ゲーム用の場合、CPUはグラフィックボードのスペックに合わせて選ぶのが基本

 それでは、ゲーミングパソコン用のCPUは、どのような基準で選べば良いのでしょうか。結論から言えば、「グラフィックボードのスペックに合わせて選ぶ」のが基本的な考え方になります。先ほどの例で言えば、グラフィックボードに滞りなくバトンを渡せる程度のCPUを選ぶということですね。

 

 ゲームの場合、グラフィックボードの要求スペックと比較して、CPUの要求スペックだけが極端に高くなるケースはほとんどありません。多くのゲームでは、グラフィックボードの必要スペックが基準となり、CPUはそれに見合ったものが求められる傾向にあります。オープンワールド系など一部のゲームではCPUの要求スペックが高くなりがちですが、その場合には、グラフィックボードもかなりの性能を要求されることになるでしょう。「1万円台のグラフィックボードに対して10万円台のCPUが必要になる」……ということはまずあり得ません。

 

基本スペック

 CPUについての基礎知識を一通り確認できたところで、いよいよ「Core i7 10700 BOX」のスペックを確認していきましょう。

 

■基本仕様

製品コレクション 第 10 世代インテル® Core™ i7 プロセッサー・ファミリー
開発コード名 製品の開発コード名 Comet Lake
システムの種類 Desktop
プロセッサー・ナンバー i7-10700
ステータス Launched
リソグラフィー 14 nm
使用条件 PC/Client/Tablet

 

■CPU の仕様

コアの数 8
スレッド数 16
プロセッサー ベース動作周波数 2.90 GHz
ターボ・ブースト利用時の最大周波数 4.80 GHz
キャッシュ 16 MB Intel® Smart Cache
バススピード 8 GT/s
インテル® ターボ・ブースト・マックス・テクノロジー 3.0 の動作周波数‡ 4.80 GHz
インテル® ターボ・ブースト・テクノロジー 2.0 の動作周波数‡ 4.70 GHz
TDP 65 W

 

 まず、基本スペックと診断ソフトでの実測値がこちらです。重要なポイントをピックアップして詳しくご説明します。

 

動作クロック(ブーストクロック)

 「動作クロック」は、CPUの単純な処理速度だと考えてください。「ブーストクロック」は、重い処理が必要な状況などで、「ターボブースト」と呼ばれる処理速度の高速化が行われている際の数値です。ここでは詳しい説明を省略しますが、おおむね通常運転とアクセル全開の違いと考えておけば間違いないでしょう。

 

コア数/スレッド数

 「コア数」は、CPUの中にある、処理を行うための“コア”の数を表しています。「Core i7 10700 BOX」の場合、8つのコアで処理を行っているというわけですね。

 

 それに対して「スレッド数」は、パソコンが実際に認識するコア(論理コア)の数を指しています。「Core i7 10700 BOX」は8コア/16スレッドのため、物理的なコアの数は8つにもかかわらず、パソコン側では16コアと認識されているということになります。スレッド数が多いことのメリットは、処理を各コアに効率的に割り振り、複数のプログラムを動かす際の処理能力を高められる点です。

 

 「Core i7 10700 BOX」の8コア/16スレッドというスペックは、ハイエンドモデルを除けば全CPUの中でもなかなかの高水準。バックグラウンドで音楽を流しながらBGMを流す……といった使い方でも、動作が遅くなってしまうことはほとんどないでしょう。

 

ベンチマーク結果

 続いて、ベンチマークソフトを使用して、実際の性能を確認してみましょう。検証に使うパソコンのスペックは以下のとおりです。

 

OS Windows 10 Home 64ビット
グラフィックボード GeForce RTX 3080 10GB GDDR6X
電源

750W 静音電源 (80PLUS GOLD)

メモリ 16GB DDR4 SDRAM(PC4-23400/8GBx2/2チャネル)
SSD 1TB NVMe SSD
マザーボード インテル Z490 チップセットATXマザーボード

 

 今回はCPU向けのベンチマークソフト「Cinebench」の最新バージョンを使用して、検証を行いました。

 

 画像の1枚目がマルチコア=CPUの全般的な処理速度、2枚目がコア1つあたりの処理速度のスコアとランキングです。

 

 マルチコアのランキングを見ると、価格の跳ね上がるハイエンドモデルと比較してもかなり高めのスコアを叩き出していることがわかります。

 

 そしてシングルコアでは、ハイエンドモデルにも引けをとらないトップクラスのスコアです。

 

 ゲームにおいては、複数のコア(スレッド)をフル稼働させるケースが少ないため、シングルコアの性能が重要になります。その点「Core i7 10700 BOX」は、マルチコア・シングルスコアのどちらも高水準の性能。最新のゲームなどである程度のコア数が求められる場合でも安心です。また、ゲームはもちろん、エンコードを含む動画編集などの用途でも十二分なパフォーマンスを発揮してくれるでしょう。

 

総評

 「Core i7 10700 BOX」は、リーズナブルな価格で抜群のパフォーマンスを実現している8コアCPUです。

 

 「CPU選びで失敗したくない」「それなりの価格で高スペックなCPUが欲しい」……という場合には「Core i7 10700 BOX」を選んでおけば、まず後悔することはないでしょう。ゲーミングパソコンのCPUをお探しの方は、ぜひ「Core i7 10700 BOX」を検討してみてはいかがでしょうか。


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