USB Type-C端子を使った充電機能、USB PD(Power Delivery)とは?

公開日:2022/10/12

 USB Type-C端子を使って充電するノートパソコンが増えてきました。ここで利用されているUSB PDという規格は、ノートパソコン以外でもさまざまな機器の充電に利用されています。

この記事では、USB PDの仕様について詳しくご紹介します。

 

・USB PD(Power Delivery)とは?

・利用するにはUSB Type-Cケーブルが必要

・対応していないUSB Type-C端子もある

・給電と受電を逆転させることも可能

・規格に対応しているのに使えない場合がある?

・まとめ

 

USB PD(Power Delivery)とは?

 USB PDとは、USB Type-C端子を使う充電機能です。ACアダプターなどの給電する側と、ノートパソコンなどの受電する側の双方が対応している必要がありますが、従来のUSB規格よりも大きな電力をやり取りすることができます。

 

 メリットは、なんと言っても異なる機器で共通の充電の仕組みを利用できるようになったことです。従来は機器ごとに専用のACアダダプターが付属し、付属品以外は使わないよう注意書きがありました。しかしUSB PDは後述するようにACアダプターと機器が通信することで最適な電力を供給するため、専用品である必要がなくなったのです。市販のACアダプターや、別の機器に付属していたACアダプターを使って充電するといったことが安全にできるようになりました。

 

 規格の特長は、電圧を変えられることです。USBの従来の給電機能は5Vのみでしたが、USB PDでは5V、9V、15V、20V、28V、36V、48Vと7種類の電圧が使えます。さらにPPS(Programmable Power Supply)という機能に対応していれば、より細かく電圧を変化させることができます。

 

 USB PDの規格はバージョンアップを繰り返しており、新しく機能が追加されたり、扱える電力が増えたりしています。USB PDが扱える最大電力は、利用が始まった当初は100W、2022年10月時点ではバージョン3.1で追加された240Wです。

 

 以下にUSB端子で利用できる給電規格の仕様をまとめました。USB BC(Battery Charging)は充電専用の規格で、通信のできない充電専用のUSBケーブルを利用します。現在はさまざまなメーカーが独自の充電規格を採用していることもあり、あまり使われていません。また、規格にはありませんが、ACアダプターでは5V/1Aという仕様も多く利用されています。

 

電圧 電流 最大電力 規格
5V ~0.5A 2.5W USB 2.0
5V ~0.9A 4.5W USB 3.x
5V ~1.5A 7.5W USB BC(Battery Charging)
5V ~3A 15W USB Type-C Current
5~20V ~5A 100W ~USB PD 3.0
5~48V ~5A 240W USB PD 3.1

 

 USB PDの規格はUSB 2.0やUSB 3.xといったUSB本体のバージョンから独立しており、連動していません。USB 2.0の端子でもUSB PDは利用できますし、反対にUSB 3.xの端子で対応していない場合もあります。

 

利用するにはUSB Type-Cケーブルが必要

 USB PDを利用するには、USB Type-C端子が必要です。USB PDを有効にする際にUSB Type-Cで追加されたCCピン(Configuration Channelピン)の通信を使用するためです。当然、USB PDで利用できるのは両端がUSB Type-C端子のケーブルになります。

 

 本記事では、単にUSB Type-Cケーブルと表記した場合は両端がUSB Type-C端子のケーブルを指します。

 

 USB PDは大きな電力を扱えますが、機器が対応していない大電力を送るのは危険です。そこで、USB PDには利用可能な電圧と電流を確認する仕組みが備わっています。採用例の多い方法は、ACアダプターが機器側に電圧と電流の組み合わせのリストを送り、機器がそこから利用する組み合わせを選ぶという方法です。この方法なら突然大きな電流が流れることはありません。

 

 大きな電力はケーブルにも負担がかかります。そのため、USB PDでは3種類のケーブルを規定しています。対応する最大電力が60Wまで、100Wまで、240Wまでの3種類です。これらの対応状況はケーブルの端子に内蔵したeMarkerと呼ばれるチップで管理しており、主にACアダプター側が確認します。接続しているケーブルが対応していない場合は、ACアダプターは対応していない設定をリストから除外して機器側に伝えます。これによって、ケーブルの能力を超えた電力が流れることを防いでいます。

 

 規格ではすべてのUSB Type-Cケーブルに20V/3A(60W)に対応できるよう求めています。そのためケーブルをチェックする機能は最大電力が60Wより大きい場合のみ動作します。反対に言うと、規格上、すべてのUSB Type-Cケーブルは少なくとも最大60WのUSB PDを利用できます。とはいえ、すべてのケーブルが厳密に規格を守っているわけではないため、非対応をうたったケーブルを購入した場合は、安全のためにUSB PDでは利用しない方がよいでしょう。

 

 最大100Wに対応するケーブルは、5Aケーブルとも呼ばれます。100Wの出力では20V/5Aとなり、この時しか5Aの電流値は利用されないためです。PPSを利用しない場合、5~15Vの間は最大3Aとなり、5Aは流れないようになっています。最大240Wの動作モードはEPR(Extended Power Range)、対応ケーブルはEPRケーブルと呼びます。EPRケーブルは5Aケーブルの代わりとしても利用できます。

 

電圧 電流 電力 利用するケーブル
5V ~3A ~15W

Type-Cケーブル

9V ~3A ~27W

Type-Cケーブル

15V ~3A ~45W

Type-Cケーブル

20V ~3A ~60W Type-Cケーブル
20V ~5A ~100W 5Aケーブル
28V ~5A ~140W EPRケーブル
36V ~5A ~180W EPRケーブル
48V ~5A ~240W EPRケーブル

 

対応していないUSB Type-C端子もある

 USB PDを利用するにはUSB Type-C端子が必要ですが、USB Type-C端子だからといってUSB PDに対応するとは限りません。

 

 ただし、USB Type-Cでは5V/3A(15W)が利用できるType-C Currentという仕様が追加されています。もちろん給電側、受電側双方の対応が必要ですが、USB PDに対応していなくても少し大きな電力が利用できることもあります。

 

給電と受電を逆転させることも可能

USB PDでは、給電する側をソース、受電する側をシンクと呼びます。この立場は固定されたものではなく、例えばノートパソコンの充電用USB Type-C端子にスマートフォンをつなぐと、USB PDを利用してスマートフォンを充電できる場合があります。

 

規格に対応しているのに使えない場合がある?

 USB PDに対応しているACアダプターと機器の組み合わせで、充電が始まらない場合もあります。ノートパソコンなど、ある程度消費電力の大きい機器は低出力のUSB PD受電に対応していないことがあるためです。電圧と電流の組み合わせのリストをやり取りする仕組みでは、受け取ったリストの中に対応する組み合わせがなかった場合、充電そのものを中止してしまいます。

 

 例えば、ACアダプターが最大30W、ノートパソコンの受け入れる仕様が45~65Wだった場合、一致する電力がないため充電できません。

 

 この問題の難しいところは、受電側の機器は対応する電圧と電流のリストを公開していないことが多い点です。機器に付属するACアダプターより出力の小さいACアダプターを使う場合、実際に試してみるまで使えるかどうかは分かりません。トラブルを避けるには、付属のACアダプターと同じ出力のACアダプターを用意するとよいでしょう。

 

まとめ

 USB PDの仕様について紹介しました。

 

 USB PDはUSB端子の給電・受電機能を大幅に拡張する規格で、ノートパソコンを動かせるほどの大電力を扱えます。一方で規格の内容は複雑で、分かりにくい面もあります。うまく活用するには、ACアダプターは機器の付属品と同じかそれ以上の出力を選ぶこと、60~100Wと101W以上で使えるケーブルが異なることを覚えておくとよいでしょう。