建築学生が使えるパソコンのスペックとは?選び方や注意点を解説!

公開日:2021/11/29

大学で個人パソコンの購入を推奨するケースが増えているため、多くの学生が入学時にパソコンを準備しています。
なかでも建築系の学部の学生は専門的な分野でパソコンを使用するため、スペックも通常より高めのものが必要となります。
今回はそんな建築学生に向けて、パソコンの選び方や注意点について解説します。

建築学生はパソコンで何をする?

建築学生はパソコンを実際にどのような作業に使用しているのでしょうか?
一般的に建築学生は下記のような用途でパソコンを使用しています。

・レポート作成
・プレゼン用の資料作り
・建築図面やダイアグラムの作成
・3Dモデルの作成
・写真撮影や加工作業

建築学生に限らず、多くの大学生がパソコンを使って作成しているのが、レポートやプレゼン資料作りです。
近頃は電子データで先生とやり取りをするようになっているため、パソコンでのレポート作成が必須となります。
また、建築学生ならではの用途が、2Dや3D CADツール等の高度なソフトウェアの使用です。
特に3D設計のソフトは高スペックが必要となるため、低スペックのパソコンを購入して後悔しないように注意が必要です。

建築学科でよく使われているソフト

次に、建築学科で使うソフトウェアについて確認しましょう。
使用するソフトウェアが決まれば、必要な性能が定まります。
実際の学部では、以下のようなソフトウェアが主に使用されているようです。

・Photoshop(平面グラフィック)
・Illustrator(平面グラフィック)
・AutoCAD(2DCAD)
・Jw_cad(2DCAD)
・ArchiCAD(3DCAD)
・Rhinoceros(3DCAD)

これはクリエイティブ系のソフトウェア全般に言えることですが、作品の規模によって必要な性能が変わります。
例えば、ArchiCADはプロジェクトの規模によって推奨するCPUのグレードが変わり、小規模はインテルCore i5、中規模はCore i7、大規模はCore i9をそれぞれ推奨しているようです。

ここだけ見ても、要求性能がかなり高いことがわかります。

建築学科の学生のパソコンの選び方とは?

パソコンには様々なタイプや性能がありますが、建築学生は何を選べばよいのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

基本はノートパソコンでOK

大学にもよりますが、学部1年生ではパソコンよりも手書きで図面を引くといった作業が多いようです。
2年生においても、基本的には大学に設置されているパソコンで作業ができますので、まずは持ち運びに便利なノートパソコンを購入すると良いでしょう。

3年生以降は自宅にデスクトップがあると安心

学部3年生以上になると、3DCADソフトを使用する機会が増えるため、持ち運び用のノートパソコンの他に、自宅に高性能なデスクトップパソコンを設置すると良いでしょう。
ノートパソコンより大きな画面で作業がしやすい上に、拡張性・カスタマイズ性が高いため、クリエイティブな作業に向いています。

おすすめのパソコンスペック

冒頭でも述べた通り、建築学生は作業の性質上、高性能なパソコンが求められます。
実際に大学が出している「推奨スペック」を見てみると、以下のような性能が多いようです。

・CPU:Intel Core i7
・メモリ:16GB
・ストレージ:SSD 512GB
・グラフィック:GeForce GTX1650

これは、いわゆる「ゲーミングPC」の平均的な性能に相当するスペックです。
それでは、細かいパーツごとの性能について見ていきましょう。

CPU

CPUはパソコンの頭脳にあたる部品です。
CPUの性能が高いほど、画像処理などの高度な演算を高速に処理できるようになります。
建築学科ではCADやグラフィックス系ソフトなど、大量の演算を要するソフトウェアを使用しますので、極力ストレスのない作業をするために、性能の高いCPUを選ぶと良いでしょう。
具体的には、インテルのCore i7以上をおすすめします。
Core i5では性能的にギリギリです。
所々カクついてしまったり、出力に時間がかかりかねません。

メモリ

メモリは、CPUが実行するプログラムやデータを置いておくための記憶装置です。
メモリサイズは、大きなデータを扱うソフトウェアを動かす場合、特に重要になります。CPU性能は十分なのに動作が重くフリーズしてしまう場合は、メモリ容量が足りていない場合が多いです。
搭載容量としては16GB以上を目安にしてください。
8GB未満のメモリ量では、レポート作成には十分ですが、CADツールなどを使用するには不足しています。

ストレージ

OSやソフトウェア、書類、音楽など、あらゆるデータを保管する記憶装置がストレージです。
HDDとSSDという2種類がありますが、高速なSSDが断然おすすめです。
パソコンやアプリの起動時間など、体感性能が大きく変わってきます。

容量は512GBあると安心です。
書類作成のみであれば128GB程度でも足りてしまいますが、建築学生が利用する様々なソフトウェアのインストールや、図面や3Dデータを扱うとなると、256GBでも心許ないでしょう。
ただし、コストを抑えたいという場合は、大きなデータを外部ストレージに格納するという手もあります。

グラフィックボード

3DCADを使った設計を行うためには、実質上グラフィックボードが必須です。
CPUのみでも動かないということはないのですが、スムーズな操作はできないと考えてください。
グラフィックボードにはゲーミングPC等に搭載されているNVIDIA社のGeForceや、AMD社のRadeonを搭載したモデルと、ワークステーションなど本格的な業務モデルに搭載されるNVIDIA Quadro、AMD FireProなどがあります。

OS

OSはソフトウェアを動かすための基盤となるプログラムです。
建築学科の場合、基本的にはWindowsが推奨されていることが多いですが、大学によってはMacも利用が可能です。Macを使用したい方は事前に確認しておきましょう。

Officeのソフト

Microsoft Officeは、レポートやプレゼン用のソフトウェアとしてデファクト・スタンダードとなっています。
「Office付きパソコン」と銘打って販売されているモデルがありますが、後から購入することも可能ですので、Office付きモデルから選ぶ必要はありません。
サブスクリプションプランもあるので、必要になった時にすぐに購入することも可能です。
ただし、大学によっては無償で利用できる場合もありますので、事前に必ず確認しておきましょう。

大学から指定がある場合は必ずチェックする

各大学からパソコンのスペックに指定があるケースも増えています。
例えば、芝浦工業大学の建築学部・建築学科が定めるパソコンスペックは下記の通りです。

CPU

10 世代以降の Intel Core i シリーズ(i5 以上)又はそれに相当する AMD プロセッサ(Surface Pro X が採用している ARM ベースのプロセッサは不可)

メモリ 16GB以上
内蔵ディスク 256GB以上(SSDが理想)
無線LAN IEEE 802.11 ac/a/b/g 対応(Wifi6 対応が理想)
その他周辺機器等

カメラ、マイク(ノート PC に内蔵で構わない)

ヘッドセット又はイヤホン(学内でのオンライン授業の履修に必須)

マウス(PC を利用した演習科目で必須)

ソフトウェア

Microsoft Office、ウイルス対策ソフト等は大学が包括契約しているので不要

引用:芝浦工業大学「2021年度必携ノートPCの推奨スペック」
上記のように周辺機器まで細かく指定がありますので、自分の大学にも指定がないか必ず確認しておきましょう。

 

建築学生がパソコン以外に用意するといいもの

ここからは、建築学生にとって便利な周辺機器を紹介します。
現状の環境に不満のある学生の方も参考にしてみてください!

マウス

まずおすすめしたいのがマウスです。
ノートパソコンの場合、トラックパッドやタッチパネルが搭載されたモデルが多いですが、CADツールを使用する場合はほぼ必須と言えます。
作業効率が大きく変わりますので一つは購入しておきましょう。
持ち運びをするノートパソコンとセットで利用するのであれば、Bluetoothで接続できるモデルがおすすめです。

ポータブルディスク

ポータブルハードディスクは、持ち運び可能な外部ストレージです。
USBメモリと比べて非常に大きな容量を格納できるのが特徴です。
建築学生は大容量データを扱うことが多いので、普段は利用しない過去作品や、画像素材などを入れておくための倉庫として便利です。

USBメモリ

大学のパソコンと個人のパソコン間でデータをやり取りするために便利なのがUSBメモリです。
ポータブルハードディスクほどの容量はありませんが、軽量かつ小型なので、ちょっとしたデータを持ち運ぶのに最適でしょう。

プリンター

忙しい大学生活、レポートや図面を印刷したいときに、自宅にプリンターがあるととても助かります。
きれいな印刷は学校で行えば良いので、自宅用には安価なもので十分事足ります。
毎回コンビニで印刷すると費用がかかってしまいますので、早めにプリンターを用意しておきましょう。

ディスプレイ

グラフィックや図面制作において、ノートパソコンのような小型の画面ではどうしても手狭になってしまいます。そんなときに、設置型のディスプレイがあると快適に作業ができるでしょう。
もちろん、ノートパソコンのディスプレイと合わせてマルチモニター構成にすることも可能です。