大量のモンスターを両手の銃器で撃ちまくれ! VRで進化したガンシューティング「Serious Sam VR: The Last Hope」

 襲い掛かってくる多数のモンスターを撃退するFPS「Serious Sam」シリーズ。FPSの先駆者である「DOOM」のオマージュとして作られた作品だが、モンスターやキャラクターがちょっと変で、「Serious Sam」と言う割にはギャグが感じらせるセンスに魅了されたゲームファンは多い。

 「Serious Sam VR: The Last Hope」は、「Serious Sam」シリーズ初のVR作品。「Serious Sam」シリーズでは、外伝的な作品は他社が開発するものが多い中、「Serious Sam VR: The Last Hope」は本編を制作するクロアチアのCroteamが自ら手掛けている。シリーズの独特なテイストを継承したVR作品である。執筆時点はSteamにて早期アクセス版が販売されており、今後の開発によって内容が大きく変更される場合がある。

 ゲームは前方180度ほどの範囲から現れる敵を、両手に持った銃器で撃ってひたすら倒すというシンプルな内容。プレイヤーの真横よりも後ろからは敵が来ないので、左右を目視で確認して、迫る敵を撃ちまくる。ミサイルや光弾などの遠距離攻撃を仕掛けてくる敵もおり、それらの敵弾も銃で撃ち落とすことができる。

 最初の武器はハンドガンだけで、両手のコントローラーのトリガーを引くと、コントローラーを向けている方に弾を撃てる。引いたままでもゆっくり連射してくれるが、トリガーを何度も引いた方が早く連射できる。敵の接近を許したり、遠距離攻撃を食らったりしてダメージを受け、ライフが0になるとステージの最初からやり直し。

 ステージをクリアすると、倒した敵の数などによってお金が得られる。次のステージに向かう前に、得たお金を使って新たな武器の購入や弾薬の補充、ライフの回復などが行える。新たな武器にはあまり弾薬が入っていないので、武器の購入後に弾薬を補充する分のお金も残しておきたい。

 武器はショットガンやアサルトライフル、オートで連射するミニガン、単発効果力のロケットランチャー、近接攻撃用のチェーンソーなどがある。購入した武器はステージ開始前に選択し、右手、左手それぞれに1つずつ装備が可能。またプレイ中の武器変更も可能だ。ちなみに購入した武器が弾切れになると、初期装備のハンドガンに切り替わるので、いきなり何も撃てなくなることはない。

 最初のステージは練習用という感じで、さほど多くの敵は出現しない。視界に見えていない方向から敵が迫ってくると、赤い矢印が表示されて危険を知らせてくれる。それも確認しながら、左右から迫る敵に対応していけばいい。ミサイルを撃ってくる敵もいるので、きっちり迎撃するのも大切だ。

 次のステージからは、出現する敵の数がいきなり増える。左右から大量の雑魚モンスターが迫ってくる中、遠くから遠距離攻撃を仕掛けてきたり、1発では倒せない強力なモンスターが登場したりと、格段に忙しくなる。ライフは最大で10あるが、大量の敵で対処不能になると、画面中のモンスターに寄ってたかられてあっという間に昇天する。「Serious Sam」シリーズのファンなら、確かにこれは「Serious Sam」だと思ってもらえる瞬間だ。

 もし途中でライフが0になっても、倒した敵の数によってクレジットにボーナスが得られるので、より強力な武器を入手してクリアを目指せるようになっている。またステージの途中には、ライフや弾薬、お金がパラシュートで落ちてくることがあり、その方向を銃器で撃つと回収できる。武器の弾薬はフルにしてもステージの最後まで持つことはまずないので、適度に補充を受けながら、武器を切り替えて戦うのがいい。武器の切り替え中はゲームの進行が止まるので、焦らずやれば大丈夫だ。

 襲い掛かってくる敵を撃退するVR作品は他にもいろいろあるが、その中で本作が優れているのは3点ある。まず1つは、敵の出現が前方180度に限られていること。360度全周から敵に襲われる作品は、緊張感があって面白いのだが、死角が多すぎて難易度が高い。本作は首を振れば見える範囲しか敵が来ないので、ガンシューティングゲームの正統なVR化作品だなという印象で、ゲームとして遊びやすい。座ったままでのプレイも可能だ。

 2点目は、とにかく大量の敵が現れること。前方180度の範囲に敵の出現を限定する代わりに、敵の数はものすごい。突撃してくるだけのモンスターが脇道から鈴なりになって現れたり、地平線一面に大量の雑魚モンスターが現れたりする。プレイ中は銃器の発射を止めることはほぼなく、あっちこっちへ撃ちまくりになる。対処するのは相当大変だが、強力な銃器を両手に抱えて撃ちまくる爽快感もまた素晴らしい。

 3点目はグラフィックス。大量に襲い掛かってくるモンスターを銃器で撃退すると、それはもう派手に血しぶきを飛ばしてバラバラになって吹っ飛んでいく。至近距離に寄ってきた敵をチェーンソーで片っ端からぶった切った日には、目の前がよくわからないものの血とミンチで溢れかえる。CEROレーティングの審査を受けたら、Zでも通ればいいねという内容だ。筆者はその是非を問うたりはしない。なぜなら本作は「Serious Sam」だから。

 実際のところ、プレイ中は本当に忙しすぎて、血しぶきがどうだとか、敵が迫る赤い矢印だとかは、全く見ている余裕がない。とにかく忙しいゲームだが、忙しさに気づかないほど熱中度も高い。早期アクセス版ながら、最初のプレイから何ら違和感を持たずに楽しめる、完成度の高さも光る。

 いわゆる洋ゲーにはFPSが多く、食傷気味の日本人ゲーマーは多いと思う。「Serious Sam」シリーズもFPSだが、本作に限ってはFPSというよりは日本の伝統的なガンシューティングのフォーマットに近く、きっと多くの人に受け入れられると思う(血しぶきと肉塊の絵的な好みは別にして)。特にアーケードのガンシューティングゲームを遊んだ経験がある人には強くお勧めしたい。ガンシューティングとVRが合わさった未来を体感できるはずだ。

・Serious Sam VR: The Last Hope http://www.croteam.com/serious-sam-vr-last-hope/