VRならではの体験が満載のバーチャルゲームセンター「The Lab」

 「VRでゲームを遊んでみたいけれど、何がいいだろう」と迷っている方に、まず試していただきたいのが「The Lab」だ。本作は複数のVRコンテンツを内蔵したミニゲーム集となっており、様々なタイプのVR体験ができる。

 ソフトを起動すると、研究室のような場所が現れる。中にはゲームセンターの筐体やアトラクションのようなものが置かれており、それぞれが個別のアトラクションとなっている。「ドスパラVRパラダイス」では4種類のコンテンツを試せるので、順番に紹介していこう。

 まず最初は「Slingshot」。目の前に巨大なスリング(パチンコ)があり、これを掴んで弾を弾き、奥にある荷物にぶつけて崩すというゲームだ。コントローラーをスリングの弾の部分に持っていってトリガーを引くと掴めるので、トリガーを引いたままで後ろに引っ張り、上下左右の角度とスリングを引く強さ(引っ張る距離)を決める。ここでいいと思ったところでトリガーを離せば、弾が飛んでいく。

 弾が荷物に当たると、その部分が崩れて、上にある荷物も崩落。落とした荷物の量が得点となる。積まれた荷物の中にある赤いドラム缶に命中すると、大爆発して上の荷物が一気に崩落するので、いかにうまくドラム缶を爆発させられるかが鍵になる。また青い箱を壊すと、弾が飛ぶ軌道が見える特殊な弾が補充される。遠くの荷物を狙って当てるのは難しいので、軌道が見える弾もスコア稼ぎには大変重要だ。

 スリングを強く引っ張るには、自分が数歩分は歩いて移動せねばならない。コントローラーで弾を掴んで引っ張るという仕組みはシンプルながら、ヘッドセットやコントローラーのポジションをトラッキング(追跡)するシステムがあってこそ実現できる内容だ。VRの特長をうまく引き出したコンテンツと言える。

 2つ目は「Longbow」。今度は弓矢を使うゲームで、次々と門に迫る敵を射て倒していく。ジャンル的にはタワーディフェンス系と言われるものだが、プレイヤー自身が両手を動かして弓を射るというのがVRならではのポイント。

 まず左手に弓、右手に矢を持つ(左利きの人は反対の手に持つことも可能)。左手を前に構えて、右手の矢を弦につがえるようにして、右手のトリガーを引く。トリガーを引いたまま右手を後ろに持っていくと弓を引き絞り、トリガーを離すと矢を放つ……と説明するとややこしいが、やってみると直感的にわかる。要は現実の弓矢を射るのと同じ手順だ。

 敵は紙人形のようなペラペラのキャラクターで、矢が1発当たれば倒せる。ただし中には兜や盾を持っているものもおり、矢が弾かれてしまう。後ろを向くと火のついたたいまつがあるので、その火に矢の先を当てると、矢に火がついて盾も壊せるようになる。またフィールド内には油壷やタル爆弾などが置かれており、これらを射ることで周囲の敵を一気に撃退することも可能だ。

 弓を射るという現実の動きをそのままゲームにしてしまうところは、まさにバーチャルリアリティと言うべき感覚だ。矢の数は無制限なので何度でも放てるが、連射するにはプレイヤー自身が両手を何度も動かさねばならないので、結構体力を使う。新感覚の体感ゲームだ。

 3つ目は「Xortex」。VR空間を使ったシューティングゲームとなっている。フィールドは円形の閉鎖空間で、その中に光点のような敵が次々と現れる。プレイヤーは戦闘機を操作して、ひたすら敵を倒していく。

 特徴は戦闘機の操作方法にある。右手のコントローラーが戦闘機そのものとなっており、位置や向きがコントローラーと同期している。戦闘機を敵に向けると、自動的に射撃を行う。感覚的に言えば、コントローラーを敵に向けて撃ちながら、敵や敵弾が右手に触れないように動かしていく。右手は銃であり、敵の攻撃を受けるとやられてしまう弱点でもある。

 敵や敵弾はVRの3次元空間のあちこちから現れる。あまり目の前で戦闘機を動かしていると、後方からいきなり敵が現れ(るように見え)てやられることもあるので、なるべく手を伸ばし気味にしてプレイするのがコツだ。四方八方から迫る攻撃を、右手を動かして避けながら反撃する。

 時にはしゃがんで上を向いたり、横に回り込むように動いたりと、実際に体を動かして避けるのが楽しい。戦闘機の動きの速さに制限はないので、プレイヤーが速く動けば、どんな弾幕も華麗に回避できるはずだ。ゲーマーの筆者は、これ1本で何時間でも遊べるくらい気に入っている。

 4つ目は「Postcards」。これはゲームではなく、様々な土地をVR空間で体験できるコンテンツ。草原や岩山などの風景写真の中に入り込めるというイメージで、美しい風景を好きなだけ眺められる。若干の移動も可能で、設定された移動地点にコントローラーを向け、トリガーを引くとその場所にワープ移動する。

 風景を眺める以外にも、足元にいるロボット犬とも遊べる。コントローラーを持った手をロボット犬に重ねて撫でるように触ったり、落ちている木の棒を掴んで投げると犬が取ってきてくれたりと、ちょっとしたコミュニケーションが取れる。本来ならただ風景を見るだけのコンテンツだったものが、犬とのコミュニケーションによって、本当にその場にいるという没入感が高められている。

 コンテンツの紹介は以上だが、余談としてもう1つ。研究室の中でコンテンツを選ぶ際、筐体の前に置かれている青いボールのようなものをコントローラーで掴み、それを自分の頭に持っていくことで、コンテンツの世界に入れる。自分の脳にコンテンツをインストールするような感覚が味わえるのはユニークだし、SF的な世界観に没入するために素晴らしいエッセンスになっている。ぜひこの手順も試していただきたい。

 今回紹介した「The Lab」のコンテンツのいいところは、どれも固定された空間で遊ぶゲームだということだ。VRというと、遊園地のようなライド系のアトラクションをイメージする人も多いと思う。確かにその手のコンテンツは、広い視界と遠近感を持つVRとは相性がよく、迫力のある映像を楽しめる。しかし、自分の感覚と違う動きをすると、いわゆる「VR酔い」を引き起こしやすいという問題もはらんでいる。

 今回体験できた「The Lab」のコンテンツには、ライド系のように足元が勝手に移動するものはない。よって「VR酔い」とは無縁だ。自分が歩いて移動はできるが、それで酔うということはまずない。初心者がVRゲームを体験するという点では、とても安心して試せるソフトだと言える。それでいてゲームとしても面白いのだから、文句なしである。