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- Palit徹底解剖!Palit GeForce GTX 1080 Super Jetstreamレビュー
Palit独自デザインのGeForce GTX1080搭載オーバークロックモデル
PalitのGeForce GTX 1080 Super JetStreamは、PalitオリジナルのGPUクーラー/基板設計を採用したNVIDIAのGeForce GTX1080搭載オーバークロックモデルだ。
新世代のPascalアーキテクチャを採用し、16nm FinFETプロセスルールで製造されるGeForce GTX1080は、先代を圧倒する高性能と高い電力効率でハイパフォーマンス志向のゲーマーから強く支持されている。NVIDIAのGPUとしては超ハイエンドの特別モデルとして用意されているNVIDIA TITAN Xに次ぐナンバーツーモデルである。
本製品はGeForce GTX1080を、NVIDIAリファレンス仕様より高いOC(オーバークロック)仕様で搭載している。具体的なスペックは、ベースクロック1708MHz、ブーストクロック1847MHzと、NVIDIAのリファレンスモデル(Founders Edition)に比べて、それぞれ101MHz、114MHz高いクロックが設定されている。
外観とサイズをチェック
GeForce GTX1080搭載のベンダーオリジナルモデルは、2.5スロット分のスペースを占有するモデルが多いが、本製品も同様だ。フットプリントは285×133mm。NVIDIAのリファレンスデザイン(267×111㎜)に比べると大きいが、GeForce GTX1080搭載の高性能モデルとしては特別大きいわけではなく、現行世代では標準的といえるサイズだろう。
GPUクーラーのフェアリングは比較的シンプルなフォルムで、ブラックのシャシーに、シルバーの補強パーツを組み合わせている。同じシルバーでもサンドブラスト風仕上げとミラー加工と変化をつけ、漢字の「風」のシグネチャーをあしらうなど、落ち着いた印象の中にもしっかりと個性を主張している。
補助電源コネクタとして、8ピン+6ピン端子を備える。インターフェイスは、3基のDisplayPort 1.4のほか、HDMI 2.0b、デュアルリンクDVI-Dを1基備えており、4Kのマルチディスプレイ構成にも対応する。
GPUクーラーと基板をチェック
デュアルで搭載するファンはいずれも直径10cmmだ。独自のブレード形状を採用しており、これが強い気流と風圧を生み出すという。気流がぶつかりあうことなく、効果的なエアフローが得られるよう2つのファンが交互に回転するよう最適化されているという。
ファンの回転速度は温度によって変化する。「0-dB TECH」と呼ばれる独自技術により、GPU温度が50度未満の低負荷状態ではファンの動作が停止する。試用中、YouTubeでの動画再生やWebブラウジングなどの低い負荷では回転することがなかった。
基板もPalitオリジナルの高耐久設計を採用している。信頼性、耐久性の要となる電源部には8フェーズの回路を搭載する。ロー/ハイサイドのMOSFETとドライバICを統合したDrMOS、モールド型のタンタルコンデンサ、低背チョークコイルなど高級な部品をぜいたくに使って、多フェーズながらすっきりとコンパクトにまとめている。高負荷で長時間プレイする場合でも安心感がある設計だ。
Palit独自の「Thunder Master」でカスタマイズが楽しめる
PalitがWebページで配布しているオリジナルのユーティリティ「Thunder Master」を使うと、GPUの状態をリアルタイムでモニタしたり、ファン制御やRGB LEDの光り方をカスタマイズできる。ファンはデフォルトで静音かつ高性能が発揮できるように調整されているため、カスマイズは必須ではないが、自分好みに調整できるのはメリットだ。
「Thunder Master」はPalitのWebページから最新版がダウンロードできる。
ファンの回転が上昇するタイミング(温度)を変更したり、常時一定の値に固定することもできる。
OC設定画面では、GPUやメモリクロックを変更
側面ロゴのRGB LEDの発光色をカスタマイズできる。GPU温度による変化や短い間隔でカラーを変化させる(Rainbow)効果も用意されている
GeForce GTX1080のOCモデルならではの高性能
ベンチマークテストでパフォーマンスをチェックしよう。FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマークは最高品質モードを利用し、フルHD(1920×1080ドット)と4K(3840×2160ドット)、2種類の解像度で計測した。
PSO2(ファンタシースターオンライン2)ベンチマークテストも最高画質の「簡易描画設定6」を利用。フルHD(1920×1080ドット)のほか、NVIDIA DSR(Dynamic Super Resolution)を利用した実質4K(3840×2160ドット)環境でも測定した。後者は、公式には4K非対応のPSO2を4K相当の画質でプレイできる方法として一部のユーザーの間で使われている設定だ。
FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマークのスコアは、フルHDでは22518と圧倒的で、4Kでも7300と「非常に快適」評価(7000以上が対象)と得た。4Kでの高画質プレイも十分可能といえるだろう。
PSO2のスコアは、公式サイトでの快適な動作の目安は「5001以上」とされているが、実際のプレイで本当に快適なレベルは10000以上、条件によっては20000以上必要といわれている。本製品のスコアはフルHDで93456でこれを遙かに超える。DSR有効時も23622で、超高解像度設定でも文句なしに快適に遊べるレベルといえる。GeForce GTX1080をさらにオーバークロックしたモデルならではの高性能を実証したといえる。
FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマーク(DirectX11、最高品質、1920×1080ドット、フルスクリーン)のスコア
FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマーク(DirectX11、最高品質、3840×2160ドット、フルスクリーン)のスコア
PSO2ベンチマーク(簡易描画設定6、1920×1080ドット、フルスクリーン)のスコア
PSO2ベンチマーク(DSR 4x有効、簡易描画設定6、1920×1080ドット、仮想フルスクリーン)のスコア
優秀なGPUクーラー性能を実証
ベンチマークテスト中のGPUクロックと温度、そしてファン回転速度はどうか。GPU-Zを使って、FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマーク(DirectX11、最高品質、3840×2160ドット)実行開始から10分後までのGPUクロックと温度、ファン回転速度のログを取得し、グラフにまとめている。テスト自体は8分過ぎくらいに終了するため、その後はアイドル時の挙動ということになる。
なお、テストの終盤に1回クロックが最低近くに落ち込むのは他社を含めたほとんどのカードで共通しており、テスト内容による自然な挙動(負荷が低くなるインターバルがあるのだろう)なので気にする必要はない。
GPUクロックは実行中は終始1.9GHz前後で推移している。リファレンスモデルの場合はだいたい1.6~1.8GHzくらいで推移するので優秀な性能をもっていることがわかる。GPU温度も最高で70℃と、冷却面でもまったく不安はない。
ファンの回転速度は、高負荷時が続いている時でも1000rpm未満で、動作音は非常に静粛だ。回転し続ける前後に回転と停止を小幅に繰り返しており、その時だけ1000rpmを少し超える数値が記録されているが、体感的には実際に回転し続けている時と違う印象はなかった。
GeForce GTX1080のオーバークロックモデルとして文句のない仕上がり
これまでのテスト結果からわかるように、PalitのGeForce GTX 1080 JetStreamは、NVIDIAのGeForce GTX1080搭載のオーバークロックモデルとして期待される性能をきっちりと発揮できている。
独自デザインの2.5スロットの大型GPUクーラーの性能も優秀さを裏付けている。カスタマイズが楽しめる「Thunder Master」ユーティリティも含めて、ハイエンドモデルとして、キッチリと性能、機能を上乗せしており、GeForce GTX1080のオーバークロックモデルとして文句のない製品に仕上がっているといえる。
Reported by 鈴木雅暢