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- Palit徹底解剖!「GeForce GTX 1070 Super Jetstream」レビュー
Palitオリジナル「Super JetStream・風」シリーズのGeForce GTX1070モデル
PalitのGeForce GTX 1070 JetStreamは、PalitオリジナルのGPUクーラー/基板設計を採用したNVIDIAのGeForce GTX1070搭載オーバークロックモデルだ。
GeForce GTX1070は、上位のGeForce GTX1080同様、NVIDIA新世代のPascalアーキテクチャを採用し、16nm FinFETプロセスルールで製造されるハイエンドGPUだ。先代のGeForce GTX980Tiに匹敵する高性能と高い電力効率が特徴で、ハイエンドの中でもリーズナブルな選択肢として人気がある。
GeForce GTX1070のNVIDIAリファレンス仕様ではベースクロック1506MHz、ブーストクロック1683MHzだが、本製品はそれぞれ1632MHz、1835MHzへと大幅にオーバークロックして搭載しており、さらに高い性能を引き出している。
外観とサイズをチェック
ブラックベースにシルバーの補強パーツを組み合わせたボリューム感のあるGPUクーラーは、「Jet Stream 風」と英字と漢字を組み合わせたユニークなロゴが印象的だ。
立体感のあるデザインで、シルバーパーツの表面仕上げも、サンドブラスト風とミラー加工の2種類を組み合わせるなど、シンプルに見えてなかなか凝っている。フットプリントは285×133mmで、高さは2.5スロット分ある。
補助電源コネクタは8ピン端子が1つのみ。インターフェイスは、8K/60Hz表示も可能なDisplayPort 1.4を3基装備するほか、HDMI 2.0b、デュアルリンクDVI-Dと、先進的な内容だ。このあたりも前世代とは大きく異なる点だ。ブラケットは、ハニカム状に加工した「ハニカムブラケット」を採用しており、エアフローを最大15%向上させる効果があるという。
GPUクーラーと基板をチェック
このクーラー自体は、同シリーズのGeForce GTX1080搭載モデル「GeForce GTX1080 JetStream」と同じに見える。GeForce GTX1070搭載モデルはGeForce GTX1080とGPUクーラーを共用していることは珍しくないことではある。
クーラーには直径10cmのファンを2基搭載している。波打つような独特のブレード形状は、強い気流と風圧を生み出す効果があるという。2つのファンは交互に回転し、気流がぶつかることなくスムースなエアフローが得られるよう最適化されているという。
ファンは低負荷状態ではファンの動作が停止するいわゆるセミファンレス仕様。同社はこれを「0-dB TECH」と呼んでいる。
Palitオリジナルの高耐久設計の基板を採用している点も魅力だ。電源部には8フェーズの回路を搭載。DrMOSをはじめとする特性が良い部品を使っているため低発熱で、実装スペースも小さくまとまっている。GPUへの負荷が大きいゲームタイトルを長時間プレイする場合でも安心感がある。
RGB LEDやファンのカスタマイズができる「Thunder Master」
PalitがWebページで配布しているオリジナルのユーティリティ「Thunder Master」を使うと、GPUの状態をリアルタイムでモニタしたり、ファン制御やRGB LEDの光り方をカスタマイズできる。ファンは標準ではGPU温度が60℃以下で停止するが、30%程度の設定ならほぼ無音という感覚だ。発熱が高くなりやすいM.2 SSDが近くにある場合などは低温時でもあえて回転させる設定にしておくのも手だろう。
Palitオリジナルユーティリティの「Thunder Master」
ファンの可変ポイントの指定が可能。SSDなどを冷やすためにGPUが低温時でもあえて回す設定にしておくのもよいだろう
OC設定画面では、温度や電力の上限設定の変更、GPU電圧の変更などにも対応する
側面ロゴのRGB LEDの発光色のカスタマイズが可能。表示されているすべての色を表現できるわけではないが、主要な色はだいたい可能
フルHDではGeForce GTX1080搭載カードに迫るパフォーマンス
パフォーマンスの検証には2つのベンチマークテストを実効した。FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマークは最高品質モードを利用し、フルHD(1920×1080ドット)と4K(3840×2160ドット)、2種類の解像度で計測した。
PSO2(ファンタシースターオンライン2)ベンチマークテストも最高画質の「簡易描画設定6」を利用。フルHD(1920×1080ドット)のほか、NVIDIA DSR(Dynamic Super Resolution)を利用した実質4K(3840×2160ドット)環境でも測定した。
FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマークのスコアは、フルHDでは「非常に快適」評価の基準となる7000を大きく超える18677をマーク。4Kでは5905と「とても快適」評価を得た。GeForce GTX1080搭載カードと比べると見劣るスコア4Kでもプレイは可能なレベルにはある。
PSO2のスコアは、フルHDで90880、DSR有効時も15461だ。公式サイトでの快適な動作の目安は「5001以上」とされているが、実際のプレイで本当に快適なレベルは10000以上、条件によっては20000以上という説もある。フルHDでは文句なしにこれをクリアするが、4Kでは20000には届かず、基本的に快適だが完璧というには一歩足りないといったところだろう。
FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマーク(DirectX11、最高品質、1920×1080ドット、フルスクリーン)のスコア
FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマーク(DirectX11、最高品質、3840×2160ドット、フルスクリーン)のスコア
PSO2ベンチマーク(簡易描画設定6、1920×1080ドット、フルスクリーン)のスコア
PSO2ベンチマーク(DSR 4x有効、簡易描画設定6、1920×1080ドット、仮想フルスクリーン)のスコア
優秀なGPUクーラー性能を実証
ベンチマークテスト中のGPUとGPUクーラーの挙動をチェックしてみよう。ここではGPU-Zを使って、FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマーク(DirectX11、最高品質、3840×2160ドット)実行開始から10分後までのGPUクロックと温度、ファン回転速度のログを取得し、グラフにまとめた。
テスト自体の所要時間は8分程度で、その後はアイドル状態へと移行する。テスト終盤に1回クロックが最低近くに落ち込むのは他社を含めたほとんどのカードで共通するため、この点は気にする必要はない。
GPUクロックは実行中はほぼ常時2GHz前後、ブーストクロックの1835MHzを大きく上回るクロックで動作していた。GPU温度も最高で67℃と低く、冷却能力にはかなり余裕があることがわかる。高負荷時のファンの回転速度も850rpm前後で、動作音は非常に静粛だ。1秒のみ1600rpmを超える数字が記録されているが、1秒だけファンの動作音が大きくなったようには聞こえなかった。
FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマーク(DirectX11、最高品質、3840×2160ドット)実行開始から10分間のGPUクロック推移
FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマーク(DirectX11、最高品質、3840×2160ドット)実行開始から10分間のGPU温度推移
FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマーク(DirectX11、最高品質、3840×2160ドット)実行開始から10分間のGPUクーラーのファン回転速度推移
独自の魅力を上乗せしたGeForce GTX1070のオーバークロックモデル
GeForce GTX 1070 Super JetStreamのテスト結果は非常に優秀で、オリジナルのGPUクーラーは、2.5スロット高の大柄なボディに見合うだけの高い冷却性能を備えており、キッチリとGeForce GTX1070のOCポテンシャルを引き出しているといえる。
「Thunder Master」ユーティリティにより、さらなるOCやファン、RGB LEDのカスタマイズができる点も含めて、魅力の大きいGPUに独自の魅力を上乗せしている。GeForce GTX1070搭載グラフィックスカードを探しているならば、有力候補として検討に値するだろう。
Reported by 鈴木雅暢