メモリ64GBは必要?ローカルAIで70Bモデルを動かすための目安を解説

メモリ64GBとローカルAIの関係を表したイメージ

パソコンのメモリ(RAM)は、AIが処理中のデータを一時的に置く「作業机」のようなものです。モデルの規模が大きくなるほど、多くのメモリが必要になります。さらに、OSや入力データ、同時に起動しているアプリも同じメモリを使います。

ローカルAIには、文章生成、画像生成、音声認識などがあります。その中で、文章の作成や要約、質問への回答などに使われるのが大規模言語モデル(LLM)です。本記事では、LLMを自分のパソコン内で動かす「ローカルLLM」を中心に、必要なメモリ容量を説明します。

ローカルLLMでは、モデルの規模を30B・70Bのように「B」で表します。Bの数字が大きいほどモデルの規模も大きくなり、一般的には必要なメモリも増えます。

本記事では、パソコン本体のメモリ(RAM)を中心に説明します。ただし、ローカルLLMの処理にはRAMだけでなく、グラフィックボード専用のメモリ(VRAM)も関係します。

メモリ64GBを検討する際は、グラフィックボードのVRAM容量もあわせて確認してください。VRAMがない、または容量が不足している場合は、CPUとパソコン本体のメモリを使う処理が増え、生成速度が大きく低下することがあります。

VRAM容量の確認方法:Windowsでは、「タスク マネージャー」→「パフォーマンス」→「GPU」を開くと、グラフィックボード名と「専用GPUメモリ」の容量を確認できます。

結論からいうと、パソコンのメモリが64GBあれば、27B~32BクラスのローカルLLMを使いながら、ほかのアプリに使うメモリを確保しやすくなります。70Bクラスの量子化モデルも、ファイルの種類によってはメモリ64GB内に収まります。ただし、すべての70Bモデルを余裕を持って動かせるわけではありません。実際の動作は、モデル以外のメモリ使用量に加え、CPUやグラフィックボードの性能にも左右されます。

この記事でわかること

  • なぜローカルLLMで64GBが選択肢になるのか
  • 32GBと64GBで扱いやすいモデル規模の違い
  • モデルファイルサイズと実行時に必要なメモリの違い
  • 70Bモデルの量子化方式によるファイルサイズの違い
  • 64GBメモリを購入する前に確認すること
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こんな人は64GBをチェック

次のどれかに当てはまる方は、パソコンのメモリ64GBを検討するメリットがあります。

  • 27B~32BクラスのローカルLLMを使いながら、 ブラウザや文書作成ソフトも同時に開きたい
  • 70Bクラスの量子化モデルを、 自分のパソコンで試したい
  • 長い文章や大量の入力データを扱いたい
  • 文章生成用とコーディング用など、 複数のモデルを同時に読み込みたい
  • ローカルLLMを使いながら、 動画編集、画像編集、3D CG制作なども進めたい

一方、7B~14Bクラスを中心に使い、負荷が高い作業を同時に行わない場合は、基本的に32GBが目安です。まず32GBで扱えるモデルの目安を確認したい方は、メモリ32GBでローカルAIはどこまで動く?必要な容量の目安をご覧ください。

なぜ今「64GB」が語られるようになったのか

メモリの基本的な役割については、パソコン メモリとは「役割・容量・選び方」の基本もあわせてご覧ください。

これまで64GBは、高解像度の動画編集や3DCG制作など、大量のデータを扱う用途で選ばれることが多い容量でした。Web閲覧や文書作成、一般的なゲームが中心であれば、64GBを使い切る場面はそれほど多くありません。

しかし近年は、パソコン上でAIモデルを実行するローカルAIへの関心が高まり、状況が変わりつつあります。なかでもローカルLLMは、7B~14B、27B~32B、70Bとモデルの規模が大きくなるほど、一般的に必要なメモリも増えます。規模や量子化方式によっては、モデルファイルだけで数十GBになることがあります。

そのため、27B~32BクラスのローカルLLMをほかのアプリと並行して利用したい場合や、70Bクラスの4ビット量子化モデルを試したい場合には、パソコンのメモリ64GBが選択肢になります。また、複数のモデルを同時に読み込む場合や、ローカルLLMの出力を使いながら動画編集などの負荷が高い作業を行う場合にも、64GBのメリットを感じやすいでしょう。

メモリ64GBで動かせるローカルLLMの目安

同じ規模のモデルでも、量子化の方法によってファイルサイズは変わります。次の表ではモデル規模による違いを比べるため、すべて量子化によって変換し、データ量を小さくした4ビット量子化ファイル(Q4_K_M方式)に条件をそろえています。

着目したいのは、モデルファイルを読み込んだ後、64GBとの差がどのくらい残るかです。表では単純計算した差も示します。ただし、その差をすべて自由に使えるわけではなく、OSや実行ソフト、入力データにもメモリが必要です。

モデル規模 ファイルサイズの例 メモリ64GBでの判断 判断理由
7B~14Bクラス 約5~9GB 64GBとの差:約55~59GB 基本は32GBが目安 32GBでも利用できるモデルが多い規模です。ローカルLLMと動画編集を並行する場合や、多くのアプリを同時に動かす場合は64GBを検討します。
27B~32Bクラス 約19~20GB 64GBとの差:約44~45GB 同時作業をするなら 64GBを検討 パソコンのメモリが64GBあれば、モデルを読み込んだ後も、OS、入力データ、ブラウザなどに使う領域を確保しやすくなります。
70Bクラス 約43GB 64GBとの差:約21GB 4ビット量子化モデルを 試すなら64GBが候補 モデルファイルはメモリ64GB内に収まります。ただし、実行時にはOS、実行ソフト、入力データもパソコンのメモリを使います。

表の「64GBとの差」が、そのまま空きメモリになるわけではない

モデルファイルサイズは、AIモデルをストレージへ保存するときの大きさです。実際にローカルLLMを動かすときは、モデルのデータに加えて、OS、実行ソフト、入力した文章、生成中の内容などもメモリを使います。

たとえば、43GBのモデルファイルと64GBの差は単純計算で約21GBです。しかし、この約21GBをすべて自由に使えるわけではありません。OSや実行ソフトも同じ64GBを使うため、入力する文章を長くしたり、ブラウザなどを同時に開いたりすると不足する場合があります。

ストレージ上のモデルファイルと、ローカルLLM実行時にモデル・OS・実行ソフト・入力データが使用する64GBメモリの違い

具体的なモデルファイルで確認

次の表は、条件をそろえるため、Ollamaで配布されているQ4_K_M方式のファイルを使う場合の例です。数値は実行時に必要なメモリの合計ではなく、モデルファイル本体のサイズです。

モデル例 ファイルサイズ パソコンのメモリ64GBで使う場合
Qwen3 30B-A3B 19GB モデル以外に使うメモリを確保しやすいサイズです。ただし、Qwen3 30B-A3Bは必要な部分だけを使って処理するMoE方式で、一般的な30Bモデルとは構造が違います。
DeepSeek-R1-Distill-Qwen 32B 20GB OSや入力データ、ブラウザなどに使うメモリを確保しながら利用しやすいサイズです。
Llama 3.3 70B 43GB モデルファイルは64GB内に収まりますが、OSや実行処理に使える領域は約21GBです。長文入力や同時作業では不足する場合があります。
DeepSeek-R1-Distill-Llama 70B 43GB モデルファイルは64GB内に収まりますが、入力する文章が長い場合は、ほかのアプリを閉じるなどの調整が必要になることがあります。

回答が出る速さは、CPUやグラフィックボード、VRAM、実行ソフトの設定でも変わります。また、表とは違う量子化方式を選ぶとファイルサイズも変わります。

32GBとの違いはどこに出る?

32GBと64GBの違いは、単に「扱えるモデルの規模が大きくなる」という点だけではありません。モデルを動かしながら、入力データやブラウザ、ほかのアプリに使うメモリを確保しやすくなる点にも違いが出ます。

たとえば27B~32Bクラスのモデルでは、パソコンのメモリが64GBあると、モデルを読み込んだ後にほかの処理へ使う領域を確保しやすくなります。一方、70Bクラスではモデルファイルだけで約43GBになる例があり、メモリ64GBでもOSや実行処理に使える領域は限られます。

また、文章生成用とコーディング支援用など、複数のモデルを使い分ける場合にも、64GBのほうが運用しやすくなります。ただし、複数のモデルを同時に読み込むと、それぞれがメモリを使います。

日常的に使うモデルが7B~14Bクラスで、ほかの重いアプリと同時に使わない場合は、32GBでも利用できるケースがあります。

70Bモデルは量子化方式によって必要容量が変わる

同じ70Bクラスでも、量子化方式によってモデルファイルのサイズは変わります。量子化は、モデルが使う数値を簡略化した形式へ変換し、ファイルサイズを小さくする方法です。次の図では、70Bモデルのファイルサイズ例とパソコンのメモリ64GBの境目を比べています。

Llama 3 70Bの量子化形式別ファイルサイズを、メモリ64GBの基準線と比較したグラフ

Q4_K_Mは64GB内に収まりますが、Q5_K_MやQ6_KではOSや入力データに使える領域が少なくなります。Q8_0の75GBは、モデルファイルだけで64GBを超えます。したがって、「70Bモデルなら64GBで使える」と一括りにはできません。

64GBの容量を活かしやすい使い方

メモリ64GBのメリットは、大規模なローカルLLMを利用しながら、入力データやほかのアプリにも使う領域を確保しやすいことです。特に、次のような使い方で64GBの容量を活かしやすくなります。

  • 27B~32Bクラス: モデルを読み込んだ後も、入力データやほかのアプリに使う領域を確保しやすくなる
  • 複数モデル: 文章生成用とコーディング用など、複数のモデルを同時に読み込む場合の領域を確保しやすくなる
  • 制作作業: ローカルLLMの出力を使いながら、動画編集や高解像度画像編集を並行しやすくなる
  • 70Bクラス: 43GBのQ4_K_Mファイルは64GB内に収まるが、OSや入力データに使うメモリも確認する

必要な容量は、モデルのファイルサイズ、入力する文章の長さ、同時に使うアプリによって変わります。購入前に、使いたいモデルと同時に行いたい作業を確認してください。

AI以外で64GBが活きる場面

64GBはローカルAI専用の容量ではありません。複数の重いアプリを同時に使う作業でも活かせます。

  • 配信ソフトや3Dキャラクター用ソフトを同時に使うVTuber配信
  • 4Kなど高解像度の動画編集
  • 大きな画像を何枚も開く画像編集
  • 3D CG制作や複数の仮想環境を使う作業

こうした作業とローカルAIを同時に使う場合は、それぞれが同じメモリを使います。そのため、複数の重い作業を並行したい方は、64GBの広さを活かしやすくなります。

64GBメモリを購入する前に確認すること

64GBが必要だと判断できても、どのメモリでも取り付けられるわけではありません。購入前に、次の順番で確認します。

  1. 現在の容量と枚数:16GB×2枚、32GB×1枚など、今の構成を確認する
  2. 最大容量:パソコンやマザーボードが64GB以上に対応しているか確認する
  3. DDR規格:DDR4かDDR5かを確認する。両者に互換性はない。詳しくはDDR4とDDR5どっちがいい?違いと選び方を比較で確認できます
  4. メモリの形状:デスクトップ用DIMMか、ノートパソコン用SO-DIMMかを確認する
  5. 空きスロット:追加できるか、現在のメモリを外して交換する必要があるか確認する

64GBにする場合は、対応する32GB×2枚のセットが選択肢になります。ただし、適切な枚数や挿す場所は製品によって違います。取り付け前の確認や作業手順は、【初心者でも簡単】パソコンのメモリ増設ガイド|選び方・手順・注意点を解説を参考にしてください。BTOパソコンを使っている場合は、 BTOパソコンのメモリを増設するには? も確認できます。パソコンやマザーボードの仕様書を確認し、増設による保証への影響も確認してください。

BTOパソコンを使っている場合は、BTOパソコンのメモリを増設するには?増設手順やポイントを解説も確認できます。パソコンやマザーボードの仕様書を確認し、増設による保証への影響も確認してください。

ローカルLLMの生成速度も重視する場合は、メモリとあわせて、グラフィックボードのVRAM容量や使用する実行ソフトの対応状況も確認してください。必要なメモリやVRAMを備えたパソコンを新しく選びたい場合は、AI用途を想定したパソコンから確認できます。

現在のパソコンを増設・交換して使う場合は、対応するメモリやグラフィックボードを確認してください。

まとめ

メモリ64GBは、27B~32BクラスのローカルLLMを使いながら、長い入力やほかのアプリにもメモリを使いたい方に向いています。43GBのQ4_K_Mファイルを使う70Bクラスもメモリ64GB内に収まりますが、OSや実行処理に使えるのは、単純計算で約21GBです。長文入力や同時作業では不足する場合があります。

64GBを選ぶかどうかは、「27B~32Bクラスとほかのアプリを同時に使いたいか」「70Bクラスを試したいか」「複数モデルを同時に読み込みたいか」「ローカルLLMと負荷が高い作業を同時に行うか」で判断してください。7B~14Bクラスが中心なら、32GBで足りる場合もあります。

よくあるご質問(FAQ)

  • Q164GBあれば70Bモデルを問題なく使えますか?
    Q4_K_M方式の43GBファイルは64GB内に収まります。ただし、OSや実行ソフト、入力データにもメモリが必要です。長文入力やほかのアプリとの同時使用では不足する場合があります。また、生成速度はCPUやグラフィックボードにも左右されます。
  • Q2メモリを64GBにすると、回答が速くなりますか?
    容量不足でモデルを読み込めない場合や、ストレージへの退避が発生している場合は改善する可能性があります。しかし、モデルがすでにメモリ内へ収まっている場合、容量を増やすだけで生成速度が大きく上がるとは限りません。
  • Q3「19GBのモデル」なら、RAMも19GBあれば動きますか?
    同じではありません。19GBはモデルファイルの大きさです。実行時にはモデルに加えて、OS、実行ソフト、入力データ、生成中の内容を置くメモリも必要です。
  • Q464GBにするなら32GB×2枚がよいですか?
    デスクトップパソコンでは32GB×2枚が選択肢になります。ただし、対応容量、DDR規格、推奨スロットはマザーボードによって違います。製品仕様を確認してから選んでください。
  • Q5ノートパソコンも64GBへ増設できますか?
    64GBに対応する製品もありますが、最大32GBの製品や、メモリが基板に固定されて交換できない製品もあります。型番ごとの最大容量、空きスロット、対応するSO-DIMMを確認してください。
  • Q6Macの統合メモリも同じように考えられますか?
    Macの統合メモリはCPUとGPUで同じ領域を共有するため、WindowsパソコンのRAMとグラフィックボードのVRAMを分ける構成とは違います。モデルファイルサイズは参考になりますが、利用するソフトのMac向け動作条件を確認してください。

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