チップセットとはどのようなものか徹底解説
「チップセットとは、そもそも何のこと?」——マザーボードやCPUのスペック表でよく見かける言葉ですが、正確な役割を説明できる方は意外と少ないかもしれません。
チップセットとは「ブリッジ」とも呼ばれ、パソコンに搭載されているパーツや機器の橋渡しをする、マザーボードやCPUに存在する集積回路です。
この記事では、チップセットの役割・歴史・種類・調べ方を分かりやすく解説し、マザーボードやCPUの選び方までご紹介します。
この記事でわかること
- チップセットの役割と、マザーボード・CPUとの関係がわかる
- ノースブリッジ・サウスブリッジからPCHへの歴史的な変化がわかる
- Intel/AMDそれぞれの主要チップセットの種類と選び方がわかる
- 自分のPCのチップセットを確認する3つの方法がわかる
チップセットとはどのようなものか
チップセットは、CPUで処理したデータをメモリやグラフィックボード、HDD、キーボードなどの各機器に送ったり、各機器の管理を行なったりする役割を持つ集積回路です。
チップセット自体は単体のパーツとして存在するわけではなく、CPUと一体化していたり、マザーボードの部品である集積回路の一部となっていたりします。
そのため、チップセット単体だけを取り外して交換することはできません。
チップセットが「ブリッジ」と呼ばれることもあるのは、パソコンに搭載または接続されている機器同士の「橋渡し(ブリッジ)」をする役割があるためです。
チップセットの性能は、パソコンを構成する各機器の性能にも影響を与えます。
CPUとチップセットによる各パーツ・機器との連携が高速かどうかで、パソコン全体の性能が左右される可能性があるためです。
チップセットとマザーボード・CPUの関係
「マザーボードのチップセット」と何が違う?
「マザボ(マザーボード)のチップセット」という言葉をよく見かけますが、これは「マザーボードに搭載されているチップセット」を指しており、チップセットそのものと別の存在というわけではありません。
マザーボードは各パーツを取り付けるための基盤そのもので、チップセットはその基盤の上でパーツ同士のやりとりを制御する部品、という関係性です。
マザーボードを選ぶ際は、搭載されているチップセットの種類によって対応するCPUや使える機能が変わるため、両者はセットで確認する必要があります。
Intel・AMDのCPUとマザーボードの対応関係
Intel CPUのチップセットやAMD CPUのチップセットによって、対応するマザーボードの種類が変わります。
チップセットはCPUを設計・製造している会社であるIntelやAMDがセットで製造しており、基本的には単体で発売されるのではなく、ATXやMicroATXなどのマザーボードに搭載される形で提供されています。
現在主流のCPUソケットは、Intelが「LGA1700」「LGA1851」、AMDが「Socket AM5」「Socket AM4」です。
それぞれの特徴は以下の通りです。
Intel:LGA1700(第12〜13世代 Core iシリーズ)と、LGA1851(Core Ultraシリーズ)の2つが主流です。
LGA1851は2024年発売の「Arrow Lake」に続き、2026年3月には高性能化した「Arrow Lake Refresh」が発売されており、2026年後半には新ソケット「LGA1954」を採用する次世代CPUの投入も予定されています。
LGA1700とLGA1851は形状が似ているため、マザーボード購入時はソケット形状の表記を必ず確認しましょう。
AMD:Socket AM5(Ryzen 7000/8000/9000シリーズ)とSocket AM4(旧世代Ryzen)が主流です。
AMDは2026年6月、Socket AM5の提供期間を2029年まで延長すると発表しており、長期的に同じソケットでCPUをアップグレードしやすい環境が続く見込みです。
マザーボードの規格には「ATX」「MicroATX」「Mini-ITX」があり、PCケースのサイズや拡張性に応じて選びます。
チップセットの仕組みの歴史:ノースブリッジ・サウスブリッジからPCHへ
2009年頃まで主流だったのが、「ノースブリッジ」と「サウスブリッジ」という2つのチップセットを搭載したマザーボードです。
名称が違うだけでなく、それぞれ異なる場所に配置され、異なる処理を担当していました。
ノースブリッジ・サウスブリッジ方式とは
ノースブリッジの正式名称は「Memory Controller Hub(メモリー・コントローラー・ハブ)」です。
グラフィックボードやメモリなどの処理を担当し、CPUと高速なやりとりが必要なパーツとの連携のため、CPUに近い場所に配置され、高機能なチップセットが使われていました。
サウスブリッジの正式名称は「I/O Controller Hub(I/O・コントローラー・ハブ)」です。
マウスやキーボード、ハードディスクなどの処理を担当し、必ずしも高速処理が必要とは言えないパーツとの連携が多いため、CPUから離れた場所に設置されていました。
旧方式の課題とPCHへの統合
「ノースブリッジ」と「サウスブリッジ」による方式には、ある問題点がありました。
特にノースブリッジはCPUとメモリ・グラフィックボードとの連携を担うため、可能な限り高速な処理が求められます。
しかし、CPUに近いとはいえ、ノースブリッジを経由する連携にはどうしてもタイムラグが生じてしまいます。
この課題を受けて開発されたのが「PCH(Platform Controller Hub/プラットフォーム・コントローラー・ハブ)」というチップセット方式です。
2009年に登場した「Intel 5シリーズ」チップセットで初めて採用され、ちょうど「Intel Core i」シリーズが登場した頃と重なります。
PCH方式では、ノースブリッジの役割がCPUに統合され、メモリやグラフィックボードが直接CPUにアクセスできるようになったことで、処理が高速化しました。
「元サウスブリッジ」にあたる部分は「PCH」として残り、入出力に関するデバイスの管理を担っています。
主要チップセットの種類(Intel/AMD)
チップセットには複数のグレードがあり、搭載されている機能や拡張性が異なります。
ここでは現行の主要なチップセットを紹介します。
Intel系チップセット
Intelは2024年、ソケット形状をLGA1851に刷新したCore Ultraシリーズ(Arrow Lake)を投入しました。
対応するチップセットは800番台(Z890・B860など)です。
- Z890:最上位グレード。CPUのオーバークロックに対応し、拡張性が高いためハイエンドなゲーミングPCなどで採用されます。
- B860:主流グレード。一般的な用途であれば十分な機能を備えており、価格を抑えたい場合に選ばれます。
グレードはZ→H→Bの順に位置づけられ、Zが上位、Bが標準的な位置づけとなるのが一般的です(世代によりHが割愛される場合もあります)。
AMD系チップセット
AMDのSocket AM5では、Ryzen 9000/8000/7000シリーズに対応したチップセットとして、X870E・X870・B850・B650などが用意されています。
- X870E・X870:上位グレード。USB4ポートの搭載が必須とされ、高速なPCIe 5.0接続やDDR5メモリの高クロック動作に対応します。
- B850:主流グレード。X870と同じ基本設計を採用していますが、USB4ポートの搭載は必須ではなく、対応の有無はマザーボードメーカーの設計次第ですPCIe 5.0のM.2スロットには対応しており、コストパフォーマンスに優れます。
- B650:一つ前の世代からの継続グレードで、現在も選択肢の一つとして流通しています。
チップセットの型番は、数字が大きいほど新しい世代・上位グレードである傾向があり、マザーボード選びの際の目安になります。
自分のPCのチップセットを調べる方法
チップセットの情報は、パーツ交換やマザーボード選びの際に役立つため、一度確認しておくとよいでしょう。
ここでは3つの確認方法を紹介します。
CPU-Zを使う(フリーソフトで正確に確認)
デバイスマネージャーで確認する(手早く確認したい場合)
マザーボードの型番・マニュアルで確認する(最も確実)
CPU-Zで確認する方法
フリーソフト「CPU-Z」を利用すると、使用しているチップセットのスペックを簡単に確認できます。
CPU-Zをダウンロードして起動し、「Mainboard」タブを開くと、チップセットの名称が表示されます。
デバイスマネージャーで確認する方法
Windows標準機能の「デバイスマネージャー」でも、チップセットに関する情報の一部を確認できます。
スタートメニューを右クリックして「デバイスマネージャー」を開き、「システムデバイス」の項目を展開すると、チップセットに関連するデバイス名が表示されます。
ソフトウェアを追加でインストールせずに手早く確認したい場合に便利な方法です。
マザーボードの型番・マニュアルから確認する方法
マザーボード本体に貼られたラベルや、購入時に付属するマニュアル・製品パッケージにも、搭載されているチップセットの型番が記載されています。
マザーボードの型番がわかれば、メーカー公式サイトの製品ページからも搭載チップセットを確認できます。
パソコンを分解できる環境であれば、もっとも確実な確認方法です。
チップセットが確認できたら、型番に応じて次のページからマザーボードを探せます。
今使っているCPUと最新のCPUでどれくらい性能差があるか気になる方は、以下の比較ページもあわせてご確認ください。
マザーボード・CPU選びのポイント
チップセットのグレードや世代を確認できたら、対応するマザーボードやCPUの情報もあわせて確認しておきましょう。
こんな方には、それぞれ以下のチップセットがおすすめです。
こんな方におすすめ
最新のIntel環境で組みたい・オーバークロックもしたい
おすすめグレード:Z890(LGA1851)
LGA1851のIntel CPU一覧
こんな方におすすめ
Intelでコストを抑えつつ標準的な性能がほしい
おすすめグレード:B860(LGA1851)
LGA1851のIntel CPU一覧
こんな方におすすめ
最新のAMD環境・高速なUSB4やPCIe 5.0を使いたい
おすすめグレード:X870E・X870(Socket AM5)
Socket AM5のAMD CPU一覧
こんな方におすすめ
AMDでコストパフォーマンスを重視したい
おすすめグレード:B850(Socket AM5)
Socket AM5のAMD CPU一覧
その他の対象者
Intel第12〜13世代(LGA1700)をお探しの方
対象ソケット:LGA1700
LGA1700のIntel CPU一覧
その他の対象者
旧世代Ryzen(Socket AM4)をお探しの方
対象ソケット:Socket AM4
Socket AM4のAMD CPU一覧
まとめ
チップセットとはどのようなものかについて紹介してきました。
「橋渡し」の役割を担うチップセットの性能について理解しておくと、パソコンについての知識がより深まります。
フリーソフトを使わない場合でも、CPUの世代やマザーボードの型番からチップセットを確認することができます。
チップセットが確認できたら、対応するマザーボードやCPUの情報もあわせてチェックしておきましょう。
チップセットに関するよくある質問(FAQ)
-
Q1チップセットとマザーボードは何が違うの?
マザーボードは各パーツを取り付ける基盤そのもの、チップセットはその基盤上でパーツ同士の橋渡しをする集積回路です。
マザーボードに搭載されているチップセットの種類によって、対応するCPUや使える機能が変わります。 -
Q2チップセットだけを交換することはできる?
できません。
チップセットはCPUと一体化していたり、マザーボードに直接組み込まれた部品の一部になっていたりするため、単体での取り外し・交換はできません。
チップセットを変更したい場合は、マザーボードごと交換する必要があります。 -
Q3自分のPCのチップセットを確認する方法は?
フリーソフト「CPU-Z」を使う方法のほか、Windows標準の「デバイスマネージャー」、マザーボード本体のラベルやマニュアルから確認する方法があります。
手軽さを重視するならデバイスマネージャー、より詳しい情報を知りたい場合はCPU-Zがおすすめです。 -
Q4チップセットの世代(型番)はどう見分ける?
Intelなら「Z890」「B860」、AMDなら「X870」「B850」のように、アルファベットがグレード(Z・Xが上位、B・Hが標準的な位置づけ)を、数字が世代の新しさを表しています。
数字が大きいほど新しい世代の製品です。
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