GeForce GTX1060 6GBのOCモデル

PalitのGeForce GTX 1060 Super JetStreamは、PalitオリジナルデザインのGPUクーラーを搭載し、メーカー標準でGeForce GTX1060 6GBをOCして搭載したオーバークロックモデルだ。

新世代のPascalアーキテクチャを採用したNVIDIA GeForce GTX1000シリーズのGPUは、最新プロセスルールの効果もあって先代(GeForce GTX900シリーズ)から電力効率を飛躍的に高めている。

GeForce GTX1060はミドルレンジクラスのモデルで、グラフィックスメモリ6GBと3GBがラインナップされており、6GBのほうがGPUクロックなども高く設定されている。

GeForce GTX1060 6GBのNVIDIA公式の仕様は、ベースクロックが1506MHz、ブーストクロック1708MHzであるのに対し、本製品では独自設計の高性能なGPUクーラーと基板を採用することにより、それぞれ1620MHz、1847MHzへと大幅にOCして搭載している。

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GeForce GTX1060をOC仕様で搭載する。ブーストクロックはリファレンス仕様より139MHz高く設定されている

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GeForce GTX 1060 Super JetStreamのスペック

外観とサイズをチェック

GeForce GTX1060搭載モデルとしては、2.5スロット厚である点が大きな特徴だろう。Pascal世代のハイエンドGPUを搭載したモデルは2.5スロット厚が多いが、ミドルレンジのGeForce GTX1060では2スロット厚が主流なので珍しい。厚みはあるが、長さは短く、コンパクトにまとまっている。具体的なフットプリントは、248×123mmだ。

インターフェイスは、3基のDisplayPort 1.4とHDMI 2.0bに加えて、デュアルリンクDVI-Dを装備する。8K/60Hzや4K/120Hz表示、HDR表示にも対応する。GPUレベルで対応しているので、本製品だけというわけではないが、このあたりも旧世代の製品からは大きく進化しており、将来性を考えた場合に心強い。

ブラケットはエアフロー効率を高めるためハニカム状に大きく通気口を空けた「ハニカムブラケット」となっている。同社製品の多くに共通する仕様ではあるが、他社製品ではここまでしっかり通気口を確保している製品は意外に少ない。こうした部分までこだわって最適化を図っている点はアドバンテージといえるだろう。補助電源コネクタは6ピン端子を1つ備える。

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コンパクトでボリューム感のあるフォルム。透明感のあるファンと中央部の「JETSTREAM 風」のロゴも印象的だ

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基板の裏側は金属製のバックプレートで保護されている。基板の反りや歪みを防止する効果もある

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補助電源コネクタは6ピンを1基搭載する。ロゴプレートの乳白色部分はRGB LEDで光らせることができる(後述)

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インターフェイスは、DisplayPort 1.4を3基、HDMI 2.0b、デュアルリンクDVI-Dを1基ずつ備える。ハニカム状に通気口を空けた「ハニカムブラケット」を採用している

GPUクーラーと基板をチェック

クーラーには直径9cmのファンを2基搭載している。独特のブレード形状を採用しており、強い気流と風圧を生み出す効果があるという。2つのファンの気流がぶつからずスムースなエアフローが得られるよう、交互に回転するように調整されているという。また、ファンは低負荷状態では動作が停止する。いわゆるセミファンレス仕様だ。アイドル時は無音なので軽い作業をしている時は非常に静かだ。

ヒートシンクは電源部には8フェーズの回路を搭載。DrMOSをはじめとする特性が良い部品を使っているため低発熱で、実装スペースもコンパクトだ。GPUへの負荷が大きいゲームタイトルを長時間プレイする場合でも安心感がある。

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2基搭載するファンの口径は9cmで、低負荷時に停止するセミファンレス仕様だ。強い気流と風圧を生み出すため独特の形状のブレードを採用している

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CPU接触部にはグリス、メモリやMOSFET(DrMOS)との接触部にはそれぞれ厚みのある熱伝導シートが貼られていた

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ファンを取り外してみた。フィンの高さは25mmほどで、2スロットヒートパイプは4本使われている

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ミドルレンジのGPUだけに回路構成はシンプルだが、DrMOS、固体モールドタイプのタンタルコンデンサなど高級部品が使われていることがわかる

RGB LEDやファンのカスタマイズができる「Thunder Master」

Palitは、オリジナルのGPUユーティリティ「Thunder Master」をWebページで配布している。これを利用すると、GPUの状態をリアルタイムでモニタしつつ、OCを行ったり、ファンの制御方法やRGB LEDのカラーや発光パターンを変更することができる。

ファンは標準ではGPU温度が50℃以上になると回転するが、この温度を60℃に引き上げたり、温度が低くとも低速で回転するように設定したりできる。

ファンの回転速度は50%設定でも意識すれば分かるという程度で、20~30%設定ではほとんど回っているかどうかわからない。クーラーの風は下方向(マザーボード側)にも流れるため、M.2ソケットが近くにある場合には、GPU低温時でも20~30%設定で回すようにしておくと、いいSSDクーラーになりそうだ。

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Palitオリジナルユーティリティの「Thunder Master」は、PalitのWebページからダウンロードできる

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ファンの回転速度調整が可能。可変ポイント指定によるカスタマイズのほか、回転速度を固定することもできる

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OC機能も搭載しており、GPUクロック、電圧、メモリクロックなどの調整ができる

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側面ロゴのRGB LEDのカラーをカスタマイズできる。表示されているすべての色が再現できるわけではないが、主要な色は対応している

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サイドロゴの乳白色部分が鮮やかに光る。左から、白、青、緑、赤

OCモデルならではのパフォーマンス

パフォーマンスをチェックするため、2つのベンチマークテストを実行した。FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマークは最高品質モードを利用し、フルHD(1920×1080ドット)と4K(3840×2160ドット)、2種類の解像度で計測した。

PSO2(ファンタシースターオンライン2)ベンチマークテストは、最高画質の「簡易描画設定6」を利用。フルHD(1920×1080ドット)のほか、NVIDIA DSR(Dynamic Super Resolution)を利用した実質4K(3840×2160ドット)環境でも測定した。

FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマークのスコアは、フルHDでは「非常に快適」評価の基準となる7000を大きく超える13527と文句ないスコア。4Kでは4092と「快適」評価だ。

PSO2のスコアは、公式サイトでの快適な動作の目安は「5001以上」とされているが、ユーザーの間では、実際のプレイで本当に快適なレベルは10000以上が目安で、20000以上あれば場面にも左右されず盤石という評価が定着しているようだ。

DSR有効時は6993だ。公式サイトの条件はクリアするものの、4K相当の環境では快適というレベルには少し足りないようだ。フルHDのスコアは65172で、盤石なレベルをクリアする。

どちらのテストも、フルHD解像度であれば最高画質で楽々とプレイできるレベルのスコアが出ている。GeForce GTX1060搭載モデルの中でも高いスコアが出ており、OCモデルならではのパフォーマンスをキッチリと発揮できているといえる。

1070SJテスト環境

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ベンチマークテストで使用した環境

FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマーク

FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマーク(DirectX11、最高品質、1920×1080ドット、フルスクリーン)のスコア

FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマーク

FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマーク(DirectX11、最高品質、3840×2160ドット、フルスクリーン)のスコア

PSO2ベンチマーク

PSO2ベンチマーク(簡易描画設定6、1920×1080ドット、フルスクリーン)のスコア

PSO2ベンチマーク

PSO2ベンチマーク(DSR 4x有効、簡易描画設定6、1920×1080ドット、仮想フルスクリーン)のスコア

優秀なGPUクーラー性能を実証

GPUとGPUクーラーの挙動を確認しよう。GPU-Zを使って、FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマーク(DirectX11、最高品質、3840×2160ドット)実行開始から10分後までのGPUクロックと温度、ファン回転速度のログを取得し、グラフにまとめた。

テスト自体の所要時間は8分20秒ほどで、その後はアイドル状態へと移行する。その30秒ほど前に1回クロックが最低近くに落ち込む点は他社を含めたほとんどのカードで共通するため、テストの負荷によるものと思われる。気にする必要はないだろう。

高負荷時のGPUクロックは、ブーストクロックの1847MHzを大きく上回る1.9GHz前後で推移。GPU温度も最高で69℃と低く、冷却にもまったく不安は見られない。高負荷時のファンの回転速度も最高993rpm前後で、1000rpmに達することがなく、動作音は非常時に静粛だ。

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FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマーク(DirectX11、最高品質、3840×2160ドット)実行開始から10分間のGPUクロック推移。

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FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマーク(DirectX11、最高品質、3840×2160ドット)実行開始から10分間のGPU温度推移。

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FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマーク(DirectX11、最高品質、3840×2160ドット)実行開始から10分間のGPUクーラーのファン回転速度推移。

性能以外も魅力的なオリジナルモデル

以上のテストから、GPUクーラーの冷却能力は優秀で、GeForce GTX1060を大幅にOCした動作でも冷却に不安なく、静音に運用できることが実証されたといえる。これは2.5スロット厚のデザインを採用したことによるアドバンテージが生きているのだろう。

性能だけでなく、シンプルながら個性を主張するデザイン、RGB LEDによる発光ギミックも備えているほか、Thunder MasterによるファンやOCなどのカスタマイズ設定も十分な内容で、オリジナルデザインならではの魅力をしっかりと提供できている。

フルHD~2.5K解像度でのプレイを前提にグラフィックスカードの導入を検討しているユーザーにとっては有力候補になるだろう。

また、本製品はNVIDIAの認定プログラム「GeForce GTX VR Ready」にも対応し、VR環境での使用にも問題がないことが認定されている。安価にVR対応PCを入手したい場合には考慮に入れたいモデルだ。

Reported by 鈴木雅暢

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