「COMPUTEX TAIPEI 2018」、VRを使ったデモは影を潜める

 2018年6月5日~9日にかけて、台湾台北市で電子機器の大型展示会「COMPUTEX TAIPEI 2018」が開催された。同展示会は5大テーマの1つに「Gaming & AR/VR」を掲げていた。

 ただ、AR/VRを中心に見ると、今年は少し物足りない雰囲気だった。ここ2年はASUSTeK ComputerやGIGABYTE TECHNOLOGY、Acerといった大手PCメーカーやPCパーツメーカーがVR体験スペースを設けるのが一般的になっていたが、今年はいずれのブースでもなくなっていた。

 いくつかVRを使ったデモを実施したブースはあったものの、区切った専用スペースを確保していない小規模なものばかりだった。唯一、MicrosoftがMixed Reality対応VRゴーグルのデモを用意していたぐらいだ。昨年は発売前で展示のみだったため、COMPUTEX TAIPEIでのデモは初めてだ。

Microsoftのブースのデモ。自転車のペダルをこいで馬を走らせ、他の騎手と戦うというものだった

 本誌としては寂しい限りなのだが、これはVRへの関心がなくなったというわけではなく、昨年から環境の変化が少なかったためだ。

 今年はAMD、NVIDIA共に新しいグラフィックチップを発表していない。PCメーカーにとって、イベントでのデモは自社製品のアピールが目的だ。VRを使った場合、去年と同じものを展示するしかないため新製品のアピールにならない。そこで今年はVRの利用を控えた、というわけだ。

 ただ、それでも示し合わせたようになくなっていたのには少なからず驚かされた。

 一方、ARではTSGIA(Taiwan Smart Glass Association)という団体が出展していたブースに活用事例が見られた。

 Jorjin Technologiesはハンドトラッキングのためのグローブ型コントローラーと開発中のARゴーグルを展示していた。グローブ型コントローラーはセンサーを内蔵し、全ての指を個別にトラッキング可能だ。

 augmentaはARを使った操作盤を展示していた。工場などでの利用を想定しており、マーカーのある台紙をARゴーグルを通して見るとボタンやダイヤルが現れる。板だけでなく紙やシールでも代用できる。カスタムや機能の追加がしやすく、清掃が簡単といったメリットがあるという。パスワードなどの入力画面を盗み見られる心配がないためセキュリティも高められるとした。

 ARゴーグルを通して見ると、ボード上にボタン類が現れる。視野角が狭いとボタンが一部しか見えない点は課題だ。

 また「Innovation fo Tomorrow」という、スタートアップ企業を台湾企業とマッチングするブースでは腕時計型のハンドトラッキングコントローラーやinside-out方式の位置トラッキングセンサーが展示されていた。

 Coolsoのハンドトラッキングコントローラー。製品名はまだないという。手首の回転やつまむ操作を検知できる。

 Xvisio Technologyのセンサーユニット。ユニット単体で位置トラッキングの演算までできるという。スマートフォンを使うVRゴーグルでも導入しやすい。

 VR全体のトレンドとして、次世代のVRゴーグルは高解像度化が進むはずだ。その際にはより高いグラフィックチップの演算性能が必要になる。VRの分野はまだまだ発展する余地が残っているため、来年はまたVR関連の新製品とデモで溢れたイベントになると期待したい。

Reported by 宮川泰明(SPOOL