GPUでオーディオ処理を補助、「Steam Audio」がAMDの「TrueAudio Next」に対応

 2018年2月6日、Valveは音響の総合ツール「Steam Audio」の最新バージョン「2.0 beta 13」を発表した。AMDの「TrueAudio Next」に対応したことが主なトピックとなる。「spatial audio」と呼ばれる、より現実に近い音の聞こえ方の処理をサポートする。

・Beta 13: AMD TrueAudio Next Support
http://steamcommunity.com/games/596420/announcements/detail/1647624403070736393

 TrueAudio Nextとは、音響効果の処理をGPUで処理する技術だ。3Dゲームでは、主に音の反響の表現に用いられる。現実世界では、発生源から直接届く音だけでなく、壁などで反射して時間差を伴って届く音も聞こえている。これを3Dゲーム内で再現するには、そのシーンでの反響の仕方をシミュレートし、実際に発生した音にフィルターとしてリアルタイムで適用する方法がある。この処理を「convolution reverb(コンボリューションリバーブ)」と呼ぶ。通常はCPUで実行するこの処理を、TrueAudio Nextを利用すればGPUで肩代わりできる。

 また、TrueAudio NextではGPUのリソースの一部をこの処理のために予約しておける。その部分はグラフィック処理に使えなくなるため3D描画性能は低下してしまうが、動作が安定するという。Radeon RX 480を使い、4CU(Computing Unit)を予約した状態のテストで、約10%の性能低下があったとした。ただ、予約しておくと3D描画と音響の処理が互いに影響を与えなくなり、音響の負荷が高い時にフレームレートが突然落ち込んだり、反対に描画負荷が高いシーンで音響処理が遅れたりすることを避けられる。

 音響のためにフレームレートが落ちることを嫌う人もいるだろう。しかし、Valveは開発者の選択肢を広げることが重要だとしている。開発者が高性能な環境を持った人に向けてより高品質な音を届けたいと思った時、それをできるようにしたいというのがValveの狙いだ。

 AMDの技術なので対応GPUはAMD製に限られ、発表ではRadeon R9 Furyシリーズ、同RX 470以降の上位シリーズ、同RX Vegaシリーズとなっている。

Reported by 宮川泰明(SPOOL