VRやARの最先端研究シーズを10年後の製品へ、「デジタルコンテンツEXPO 2017」レポート

 2017年10月27日から29日の日程で、一般財団法人デジタルコンテンツ協会が主催する「デジタルコンテンツEXPO 2017」が日本科学未来館で開催された。

 デジタル技術によって生み出される新たなコンテンツ技術をテーマにしたイベントで、研究開発段階のシーズやプロトタイプと新たな製品で新市場開拓を目指す企業とを結びつけ、デジタルコンテンツの5年後、10年後の将来像を描き出すことを目的としている。

 VR関連に注目して、出展されていた技術の一部を簡単にご紹介する。

■8K:VRライド

NHKメディアテクノロジー/NHKエンタープライズによる、8K:VRライド「東京VICTORY」

幅5.2m、高さ3.4m、奥行き2.6mの半球型スクリーンと電動6軸モーションベースを使ったライド。音響は5.1チャンネルサラウンド

コンテンツはレコチョクラボと共同制作で、サザンオースルスターズの「東京VICTORY」にのって、東京を時空移動するというもの。裸眼でのVR体験を可能にするという触れ込み

■砂の中から魔物を召喚。流動床インターフェース

的場やすし氏による「流動床インターフェース」。砂に空気を吹き込むことで、液体のように振る舞う「流動床」現象を利用したインターフェースの提案

プロジェクションと組み合わせることで、砂の中からモンスターを召喚するようなことも可能に

■VR Sphere

タイ・バンコクの企業Exzy Company Limitedによる「VR Sphere」。球体状のVRライドだ

今回の展示では映画「ジュラシックワールド」のような、恐竜パークを周遊するコンテンツ体験ができた。スタート時にシャフト状の空間を上昇していくところと、あるポイントに行くと可能なジャンプ体験などが面白かった

■日本列島VR

合資会社VoxcellDesignによる「日本列島VR」。独自の操作感で、日本列島上空を飛び回るような閲覧が可能なコンテンツ。映像は実景ではなくCG。国土地理院の地形データにCG画像が貼り付けられている。昼間だけではなく夜間の風景に切り替えることも可能で、そのときは上空を見上げると星空も見える

■空中ブランコで戦国時代の岐阜を訪問

株式会社ソリッドレイ研究所「バーチャル空中ブランコ」。3Dで450年前の岐阜の上を飛ぶコンテンツ

■バーチャルショールーム

大日本印刷「バーチャルショールーム」。車の色や周りの風景を変えたときの見えを確認できる。VRならではの体験としては、車のエンジンやシャフトなど内部構造を見ることもできる

■ただの棒が無限に続く階段になる「無限階段」

東大 廣瀬・谷川・鳴海研究室による「無限階段」

床面に置かれた棒を使って、階段の段差に見立てた触覚を足裏に与えることで、平面状を歩いているがバーチャル空間のなかで階段を登ったり降りたりしている感覚が得られる体験ができる。ルームスケールのVRゲームなどで「別フロアに行く」ような体験の生成が簡単に可能になるかもしれない

■電気刺激で加速度感を直接生成

大阪大学 大学院情報科学研究科 / 明治大学 総合数理学部は、皮膚の上から微弱電流を流して、前庭感覚器を直接電気刺激することで、バーチャルな加速度感を生成させるという技術をデモ展示。ライドシステムなどを使わずに、HMD+α程度のシステムで、ジェットコースターでの横加速などを体験できるようになるかもしれない

■VRの移動式アトラクション

株式会社ハシラスはVRアトラクションを出展。「GOLDRUSH VR」はルームスケールVRの延長

ユーザーはVR内で四人乗りのトロッコに乗り込んだあと、ミニゲームを楽しむことができる

屋外のトラックで体験できるようになっていた「VR CARAVAN」は、高校生たちに大人気だった

中では、乗馬ゲームの「Hashilus」を展開

■実景をヴァーチャル化、リアルタイムにCGと実景を合成する

東映ツークン研究所と株式会社コンセプトによる「バーチャルプロダクション」。撮影している環境そのものを3DCG化してリアルタイムに実写と同時撮影できる

RGBカメラを使って、移動ロボット技術に使われていることが多い「ビジュアルSLAM(自己位置推定と環境地図作成)」を行なう。それによってカメラ位置からの3DCGの見えをリアルタイム計算して実景と合成しながらの撮影が可能

■変形膜を使って焦点距離を変える

ノースカロライナ大学チャペルヒル高校「Membrae AR」。変形する膜状ビームスプリッターを使うことで焦点距離を変化させる技術。既存ARの課題を解決する

■全天球立体視システム

首都大学東京/NTTコミュニケーション科学基礎研究所/電気通信大学/豊橋技術科学大学による全天球リアルタイム立体視テレプレゼンスシステム「TWINCAM」

全天球映像は単眼カメラによるものが多いが、二つのカメラを使って立体視させることで、より立体的に感じることができる

■シニアの健康維持もVRで

大日本印刷株式会社によるシニアVRトレーニング。足こぎとハンドル操作で、VR空間内を回遊できる。運動不足を解消し、介護予防を狙う

■大勢で同時に同じARライブ体験をするために

株式会社ドワンゴによる「DAHLES」。Microsoft Holoensなどのデバイスと連携し、大勢の人が同じようにMRあるいはARライブ体験をできるようにするための技術。今回のデモ用のコンテンツは「超歌舞伎 花街詞合鏡(くるわことばあわせかがみ)」に登場した花魁姿の初音ミクが目の前で舞を踊る様子。Holoens越しのAR映像、カメラからの映像、その場にいる観客などが同じARライブ映像を見ることができるというデモだった

■特定の匂いを鼻にお届け

東大 篠田・牧野研究室による超音波ビームを使った匂い環境制御。超音波ビームで空気の流れを作り、狙った匂いをユーザーに届ける

■対話技術とバーチャルキャラとお勉強

株式会社エクシヴィによるXVI ×ヤマハ HEARTalk。声の韻律に着目したヤマハの自然対話技術「HEARTalk」とVRを組み合わせた技術展示で、バーチャルキャラのユニティちゃんと二人でUnityを学ぶという設定。ナチュラルに相槌を打ってくれる

■好きな場所でドローンバトル

株式会社ズームスによるMRコンテンツ「バーチャルドローン」。HMDを使って好きな場所でバーチャルなドローンを飛ばし、ゲームをしたりできる。複数人で体験できるところもポイント

■VRの品質保障

ASA DIGITALはVRコンテンツの品質を評価するQA(Quality Assurance)サービスを出展。動きながら体験するVR体験ならではのCGのキレなどの品質評価が行えるという

■テレプレゼンス用ロボット

凸版印刷株式会社によるドーム型3Dテレプレゼンス用の撮影ロボット。東京大学暦本研究室との共同研究で、IoA(Internet of Abilities)の研究の一環

トヨタによる生活支援ロボット「HSR」。ロボットによる生活支援を競う「ロボカップ@home」のプラットフォームにも選ばれているロボットで、タブレット上での簡単なインターフェースを使った遠隔操作も可能

Reported by 森山和道