【VRパラダイス ゲームレビュー】
 未来都市「ネオ新宿」で繰り広げられるガン&ソードVRアクション
「Raw Data」

Reported by 多根清史

●リリース初日にSteam売上ランク1位のVRアクション

 今回紹介するのは『Raw Data』、一人称視点のVRアクションゲームだ。昨年7月にアーリーアクセス版がリリースされるや、公開初日にSteamでいきなり売上ランキング1位の快挙。HTC VIVEのデモとして見かけることも多く、目にしたことがある方もかなりいるはず。

 たびたびアップデートしてマルチプレイや使用可能キャラクターの追加など改善が目覚ましい本作だが、今年3月には本来のVIVEに加えてOculus Riftにも正式に対応した。

 この連載は「VIVE向けゲームの紹介」という趣旨ではあるものの、Oculusユーザーも読んでもらって損はない。VIVEとOculusユーザー同士のマルチプレイも可能で、異なるVRプラットフォームの交流試合(というか協力プレイ)もできるのだ。

●弾倉を交換し、弓矢を引き絞る「身体を動かす」ゲーム

 本作の舞台は2271年の未来都市「ネオ新宿」。ここを拠点に世界を制覇した巨大企業「エデン」の秘密を暴くために、主人公は自らの肉体をデジタル化し、敵の中枢「エデンタワー」のメインフレームに潜入してロボット達と戦う。『ニンジャスレイヤー』的なサイバー日本であり、劇中でも「しんにゅーしゃけいほー」(侵入者警報)など気の抜けたような珍妙な日本語が楽しい。

 ゲームを開始すると直ぐに本編を始めることもできるが、まずは操作を教えるチュートリアルをやっておきたい。いや「直感的に楽しめるゲーム」と聞いて気軽にVR世界にダイブすると、メニューも英語、ボイスも英語で、もう帰ろうかな……と涙目になったりしたけど。

 武器は拳銃に刀、ショットガンに弓矢の4種類だ。拳銃は手を腰に伸ばしてホルスターから取り出し、トリガーを引いて発砲。弾切れになれば弾倉をガシャンと込める。刀は背中に手を回して引き抜き……と「自分の手で持つ」本物感、これぞVRならではの素晴らしさ。刀はトリガーを押すと光の刃がブオンと出て、ちょっと『スター・ウォーズ』のライトセーバー風なのもいい。

 ゲームといえば「レバーかボタン、ないしタッチパネルをタップする」デスクワークじみた印象が強いが、本作はそれとは対極にある「身体を動かす」ゲームだ。ショットガンを一発撃つごとにハンドグリップを前後させ(ポンプアクション)、弓の弦を引き絞って矢を解き放つ。

 VIVEコントローラーは本物の銃機器よりはるかに軽いが、握った手で敵に狙いをつけ、新手が現れるや銃口を向けるなりきり感はすごい。映画によくある「銃を横向きにして撃つ」も特にメリットも意味もないが思いのままだ。肉体を使うVRアクション、気持ちいい!

●狭い部屋でも遊びやすいワープ移動

 数あるVRゲームの中でも本作を際立たせているのが、瞬時に遠くへ動けるワープ移動だ。ふつうVRゲームは歩く際に「実際に歩く」必要があったり、そこまで自由度が高くないゲームは「椅子に縛り付ける」「ゴンドラのような狭い空間にいる」など、物理的に動きが少ないシチュエーション作りをしておくもの。

 このゲームでは利き手(オプションで変更できる)で向いている方向を変更し、もう片方の手では「移動」を行う。コントローラーのトラックパッドを押し込むことでレーザーが出て、移動したいポイントを照射してからパッドを離せば瞬時に移動できる。

 これにより広いVR空間の中で、離れた間合いの敵に突貫して奇襲をかけたり、大勢の敵に囲まれた中ですばやく輪の外に退避することも自由自在だ……少なくとも理屈の上では。

 ワープ移動の何が有り難いかというと、まずスピーディーな駆け引きが楽しめること。「主人公はデジタル化されてる」設定どおりの、現実にはありえないSF映画チックな動きが快感だ。

 もう一つは、日本の狭い家屋事情にとても優しいこと。筆者は急ごしらえでVR環境を作ったために広いスペースが確保できていないが、身体の動きが主に「振り向く」や「コントローラーを持つ腕で狙いをつける」だけなので、全く不自由がない。エキサイトのあまり、本棚を殴りつけそうなピンチはあったが。

 さらに「歩くこと」に伴う視点の揺れがないため、いわゆる「VR酔い」も起きにくい。今までVRゲームをプレイしたものの、気分が悪くなって遠ざかっている人には、ぜひ試してほしいゲームだ。

●上下左右からの波状攻撃、二丁拳銃で撃破!

 さて、基本を覚えたらゲーム本編のプレイ。2人協力プレイもできるが、まずシングルプレイモードだ。プレイ可能キャラクターは4人いるが、最初は銃を使いこなすガンクレリック(職業名)のビショップを選んでみた。

 正直に言うと、チュートリアルで4種類の武器を練習できたので「状況に応じて銃や刀を使い分けるのか!」と思い込み、ビショップで背中に手を回す……レーザー刀が出ない!と少しガッカリ。ゲームを始めてから、キャラクターごとに使える武器が違うと気づくオチがついた。

最初から選べるキャラクターのビショップ。武器は拳銃で近距離・遠距離ともに対応がしやすく、アビリティも強力かつ使い勝手がよくて初心者向けだ

 エデンタワー内では、敵ロボットが次々と出現して様々な攻撃で主人公を追い詰めてくる。近づいてきて殴るタイプ、遠くから銃撃してくるもの、行動パターンもいろいろだ。正面の敵を撃っていたら画面がフラッシュして(ダメージ表現)後ろを振り向いたら敵ロボが張り付いていて心臓に悪かった……。

 地上を歩くだけでなく、空を飛んで射撃してくるドローンもいる。上ばかり見ていたら、下半身がちぎれたロボットが地面を這いずってくることも。「上下左右の全方位攻撃」はVRのポテンシャルを引き出している。

 押し寄せる敵を殲滅すると、Phase1が終了。ひと息ついてからスイッチを押し込むと次のPhase2、そしてPhase3……という、海外ゲームの防衛戦によくある進行だ。波状攻撃を全てしのぎ切ると、ミッション完了でステージクリアとなる。

 ビショップは遠距離も近い敵にも対応でき、4人のキャラクターの中で最も使いやすい。それでも敵は銃弾一発では倒れず、普通に撃っていたのでは指や腕が疲れるし、物量の前に押し切られてしまう。

 そこで活用したいのが「アビリティ」。それぞれのキャラクターには固有の「得意技」があり、ステージクリア時にエデン社からテクノロジー(アタッシュケースの形をしている)を盗み出すことで追加されていく。

 ビショップの場合は、初期装備のチャージショット、俗に言う溜め撃ちは積極的に使っていきたいというか、使わないとデカいロボットに力負けする。

 腰に手をやるだけで弾倉が交換できたり、一定時間だけオート連射ができたり(冷却時間が必要)と進化していくうち、ふと左手を見ると銃が……念願の2丁拳銃に!

 まるでジョン・ウー監督の映画のように撃ちまくれて気分サイコーだが、ステージが進めばデカい硬い火力が高いの三拍子そろった敵ロボが前から後ろから、という凶悪な難度になってくる。しゃがんで敵の目線から逃れて攻撃をやり過ごし、一体ずつ片付ける……といった立ち回りが求められる「深さ」があるゲームなのだ。

ビショップの2丁拳銃アビリティ。ザコの大軍を蹴散らしたり、デカくて硬い戦闘ロボットに集中砲火を浴びせることもできる

●サイバーニンジャは茨の道

 ビショップで一通りの戦い方や敵の攻撃パターンを把握してから、刀使いのサイバーニンジャ(職業名)サイジャ(名前)をチョイス。見た目はダントツにイケメンな(女性らしいが)キャラクターだ。

サイパーニンジャ・サイジャ、推して参る! 刀は当たりどころがいい(悪い?)と、敵ロボットの手足をぶった斬れてスカッと爽快だ

 レーザーブレードで一刀両断!とは行かず、最弱の敵ロボでさえ何回か斬りつけないと倒せない。もっとも、横方向に切り払うと複数の敵にダメージが与えられるので、戦い方しだいという感じ。

 それよりも辛いのが、空中を飛ぶクローンからの攻撃。か、刀が届かない……。一応、遠くの敵は刀を投げることで叩けるが、ブーメラン方式のため、刀が手元に戻ってくるまでは文字通りの丸腰で攻撃する方法がなくなる。

 武器が手元にないときに手裏剣を投げられるアビリティはあるが、けっこう先のステージだ。刀を振り回すのは銃を撃つより腕が疲れる……ということで、「ニンジャは一日にしてならず」も筋肉痛で実感できる『Raw Data』、オススメです。

VRゲームらしく、敵は360度の全方位から襲ってくる。振り向くと、上半身だけのロボットが飛びかかってきてビックリした