2017年5月25日、HTCは新型のVRゴーグル「LINK」を発表した。同社製スマートフォン「U11」と組み合わせて使う、モバイルVRに属する製品だ。モバイルVRでは珍しく位置トラッキング機能を搭載していることで注目された。しかし、このLINKに海外のVR系メディアは少々困惑しているようだ。
・HTC’s New ‘Link’ Mobile VR Headset is (bizarrely) Not Part of the Vive Brand
http://www.roadtovr.com/htc-link-headset-u11-vr-vive-brand/
・HTC Link Is A New 6DOF VR Headset Only For Japan
https://uploadvr.com/htc-link-new-6dof-vr-headset-japan/
彼らが不思議に思っているのには、いくつかの理由がある。1つ目はこれが「VIVE」ブランドの製品ではないことだ。HTCの「VIVE」はVRゴーグルとしては世界でも有数の知名度を持っている。そのため、HTCは先日発表した「Daydream」互換の一体型VRゴーグルも、全く異なる仕組みを採用しているにも関わらずVIVEブランドとして扱っている。それなのに、今回のLINKはVIVEブランドではない。HTCのVR=VIVEブランドではないのか、というわけだ。
2点目が、LINKが日本限定販売となることだ。「Road to VR」と「UploadVR」がHTCに確認したところ、日本以外でのリリースの予定はないという。HTCは世界市場でVRゴーグルを販売しているため、販路の問題ではないはずだ。
位置トラッキング技術も、VIVEで利用している「SteamVR Tracking」やDaydream互換ゴーグルの「WorldSense」とは異なる方式を採用している。最も大きな課題であろう位置トラッキングの技術まで変更し、手間をかけてまで日本限定とする理由が分からない。
3点目は上記の通りHTCがDayDream互換の新型VRゴーグルを発表したばかりという点だ。同じジャンルの新製品を同時期に発表すれば、当然関心は分散してしまう。影響を抑えるために当面は日本に限定したと推測することもできるが、そもそもなぜ今なのか、またなぜVIVEブランドに含めないのか、といった疑問への答えにはならない。
もちろん製品に関して否定的な見解を持っているわけではなく、自分たちの国でも発売してほしいというのが素直な感想だろう。グローバル企業がVRの分野で日本を優先するという、少し珍しい事例となった。
Reported by 宮川泰明(SPOOL)
© THIRDWAVE CORP. All Rights Reserved.