「VIVE Cosmos」のレビューが公開、価格を考えると立ち位置の難しい製品か

 HTCはVRゴーグルの新モデル「VIVE Cosmos」の国内発売を10月11日に控えている。海外メディアのレビューもいくつか公開されているため、どういった評価を受けているか紹介しよう。写真は主に「Road to VR」から引用している。

・「Road to VR」のレビュー
https://www.roadtovr.com/htc-vive-cosmos-review/

・「UploadVR」のレビュー
https://uploadvr.com/htc-vive-cosmos-review/

 前世代の「VIVE」からの最も大きい変更は位置トラッキングの仕組みだろう。ベースステーションから照射される赤外線を使った「SteamVR Tracking」から、本体に内蔵したカメラの映像から位置データを算出する方式に変更された。外部機器を使わないため、初期セットアップは簡単になっている。ただし、両レビューともトラッキングの精度はわずかに落ちるとしている。

 精度の他にも課題が見付かっている。かなり明るい場所でないと「暗すぎる」と警告が出るという点だ。昼間でカーテンを開けた部屋なら問題ないが、日が落ちてからだと部屋の照明によっては全く使えなくなるケースもあったという。Road to VRは確認のためにレビューの公開を遅らせたほどだ(警告の出るしきい値を下げるパッチを受け取ってテストを続けたという)。「UploadVR」はたまに警告が出るものの使えなくはならなかったとしており、照明の明るさに大きく影響されるようだ。

 装着感も手放しでは褒められないようだ。きちんとフィットした状態で使うときれいな映像が得られ、UploadVRは「これまでのHTCのVRゴーグルの中で最も完成されたヘッドセットだと思う」としている。問題は、レンズのスイートスポットが狭いという点だ。これは両レビューで指摘されており、きちんと設定できないと映像がぼやけてしまう上、きちんと設定していても目だけを動かすとぼやけた映像が見えてしまうという。

 ゴーグル部の跳ね上げ機構にも不安が残る。前後にスライドさせる機構がなく、ゴーグル部を顔に近付けることができないためだ。目とレンズの距離は視野角や映像の見え方に影響する。ソフトストラップならゴーグル部を顔に押し付けるようにして距離を縮められるが、跳ね上げ機構はハードストラップを使う必要があり、その方法は取れない。跳ね上げ機構そのものは便利なのだが、その分ゴーグル部の調整範囲が制限されてしまっていると言えるだろう。

 コントローラーも良い面と悪い面が指摘されている。ゴーグル部の上下にトラッキング用カメラがあることもあり、動作は良好なものの「厚さや重量バランスの面ではOculus Touchの方が優れていると感じる」(Road to VR)、「Beat Saberをプレイしていると重さが気になる」(UploadVR)という。ただ、VIVEのワンド型コントローラーと比べると大きな進歩だとという評価だ。UploadVRは単3形電池2本で2、3時間しか使えないとしているが、HTCは「8時間ほど使える」と否定している。

 総合評価は両レビューで似ており、製品そのものは良いものの、価格を含めてライバルと比較すると難しいというものだ。

 高い解像度のディスプレイと新しいレンズによるクリアな映像、跳ね上げ機構の採用、ヘッドホンの標準搭載など、良い点はいくつもある。一方、価格を考慮すると厳しい。VIVE Cosmosの価格は約700米ドル(国内価格は税込みで9万8870円)。Facebookの「Oculus Rift S」は約400米ドル(国内価格は税込みで4万9800円)、Valveの「Index」は約1000米ドル(国内価格未定)なので、両者のちょうど中間の価格となる。価格と仕様がトレードオフになるのは当然として、それぞれとの価格差に対して説得力のある仕様の差があるのかという指摘だ。Road to VRは、Oculus Rift Sの400米ドルに近付けないと競争力を発揮するのは難しいだろうとしている。

Reported by 宮川泰明(SPOOL