「Vive Wireless Adapter」が日本で認可されなかった理由が判明、規制見直しの議論も

 HTCは2018年8月に「VIVE」を無線化するアダプター「Vive Wireless Adapter」を発売した。しかし、日本では技適マークの取得ができず、販売できないことが明らかになっている。製品のどこに問題があったのかは公表されていなかったが、総務省が公開した資料でその理由が明らかになった。外部アンテナの存在だ。

・情報通信審議会 情報通信技術分科会 陸上無線通信委員会 60GHz帯無線設備作業班(第1回)
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/02kiban14_04000664.html

 この会議は、60GHz帯の電波利用について、規制ができた当時からシステムの構成要素が変化しているため規制の見直しを検討するという目的で設けられている。60GHz帯は近距離で高速な通信ができる周波数帯で、Intelの「WiGig」などが採用している。WiGigはワイヤレスドッキングステーションなどの製品で利用されている。

 ドッキングステーションがOKでVive Wireless Adapterが駄目だった理由は、「無線設備規則」に定められた規制にある。57GHzを超え、66GHz以内の周波数を使う場合、「送信機は、一の筐体に収められており、かつ、容易に開けることができないこと。」(第49条20七イ)と定められている。これはケーブルでつないだ外部アンテナが使えないことを意味している。一方、60GHz帯は障害物に弱く、距離が離れると損失が大きくなるため、Vive Wireless AdapterはPC側のアダプターに外部アンテナを使う(下図)。これが認可されなかった理由だ。

 Intelの提出した資料によると、外部アンテナを使用不可とする規制は日本独特のもので、元はデータの改竄防止を目的として定められたという。しかし現在はシステムの構成要素が変化しているため、外部アンテナを使った改竄は防げるとしている。

 Intelの資料は、こうした規制は「機器のデザインやユース・ケースを制限する」としており、「筐体要件を見直すことが望ましい」という意見を提出している。事例としてVive Wireless Adapterを紹介しており、Intelもこの件で問題意識を持っていたようだ。

 規制の見直しは議論が始まったばかりで、最終的に改正に至るとしてもまだまだ時間がかかるだろう。しかし、将来的にはVive Wireless Adapterが技適マークを取得できるようになるかもしれないという期待は持てる。

Reported by 宮川泰明(SPOOL