「COMPUTXEX TAIPEI 2019」は昨年に引き続きVRはあまり見られず。コンテンツの出展はあり

 「COMPUTEX TAIPEI 2019」では、昨年に引き続きVRを用いたデモはあまり見られなかった。これはVRが注目されなくなったというよりも、デモ用のツールとしてVRが選ばれなくなってきているということだと思われる。

 HTCの「VIVE」とFacebookの「Oculus Rift」が登場したのは2016年。それから多くのコンテンツや周辺機器が開発され、体感筐体もまだ一般的ではないものの目新しいものではなくなった。既にVRは、そこにあるだけで目を引く新技術ではなくなったということだろう。また2016年当時はグラフィックボードもハイエンドクラスが必要だったが、既にミドルクラスで問題なく動作するようになっている。PCパーツメーカーにとって、最新鋭の製品をアピールするツールとしてVRを選ぶ理由が薄れているということだろう。

 もちろんVRやARが注目されなくなったわけではなく、コンテンツでの出展は確認できた。

 1つ目は台湾の国立故宮博物館のブースだ。同博物館はVRコンテンツも手がけており、その一部を体験できる形だ。巻物を拡大して文字を読みやすくしたり、昔の街並みを再現した中を移動したりと、博物館のコンテンツをVRならではの楽しみ方ができるようになっていた。

 個人的に面白いと思ったのが、Hooloopの「VRおみやげ」だ。本体は折り畳み式の「Google Cardbord」で、自分のスマートフォンに専用アプリをインストールして360度写真などを楽しむ。ユニークな点は、台北版、高雄版という風に利用できるコンテンツが分かれており、地域ごとのおみやげとして名所や風景が楽しめる点だ。お店では本体だけを購入するのでかさばらず、価格も25米ドル程度と手頃。旅先の思い出を共有するのにも良さそうだ。

 「TSGIA(Taiwan Smart Grid Industry Association)」のブースでは、ARを活用したサービス等が展示されていた。Institute for Information Industryの開発している「O in VR」はXR(ARとVRなどを合わせたもの)を使ったSNSの一種だ。複数人が1つの仮想部屋に入り、同じ動画を見たりアバターで感情表現したりできる。現在は1部屋に入れるのは最大500人だが、将来5Gに対応した場合はもっと多くの人数に対応できるという。

 同時開催されていたスタートアップ企業向けのイベント「InnoVEX」には「XR EXPRESS TW」のコーナーがあり、台湾のAR/VR関連スタートアップ企業がデモを行っていた。職業訓練で危険が伴う内容をVRで代用する、教職員向けにVR教材を作る素材やノウハウを提供するプラットフォームなどが展示されていた。

 会場ではVR関連以外にも多くの新製品や試作品が展示されていた。目を引いたものをいくつか紹介しよう。

 ASRockのブースにあった「RX570TM-ITX/TBT」。Mini-ITXの基板にAMDの「Radeon RX570」を搭載したグラフィックボードだ。PCとはThunderbolt 3で接続する。USBやSerial ATA端子などを備え、ドッキングステーションのような形で使える。ただし、外付けGPU自作キットとして販売するのかと思いきや、組込み用としてのみ販売する予定だという。同社は液晶ディスプレイへの組み込みを想定しており、GPUの増設もできる液晶ディスプレイが作れるようになるとしている。

 Cooler Master TechnologyとADATA Technologyがブースで展示していたゲーミング筐体も目を引いた。ゲーミングチェアやキーボード、マウス用のテーブル、液晶ディスプレイを据え付けることで快適なゲーミング空間を作っている。いずれもイベント用に用意したもので、製品化の予定はないと思われる。近い製品としては、Acerが「PREDATOR THRONOS」を既に販売している。こちらは「Taiwan Excellence」のブースで展示されていた。

 ノートPCでは、MSIの「GT76 Titan」が注目を集めていた。CPUにIntelのCore i9-9900KとNVIDIAのGeFroce RTX 2080を選択可能なモンスターノートPCだ。Core i9-9900Kはデスクトップ用CPUなので、ノート用CPUよりも高い性能が期待できる。発熱はその分大きくなるため、底面にかなり広い給気口が設けられていた。

 毎年ユニークなPCケースを出展しているIN WINは、「さなぎ」をテーマにしたオープンエアー型のPCケース「Yong」を展示していた。複雑な形状は3Dプリンターで出力したパーツを人の手で一つひとつ仕上げているという。大量生産できないため数量限定での生産になり、予想価格は4000~5000米ドルと非常に高価だ。

Reported by 宮川泰明(SPOOL