ソニーのR&D責任者が次世代VRゴーグルに求められる要素を解説

 2019年5月21日から24日にかけて、カナダのトロントでスタートアップ企業向けのカンファレンス「Collision 2019」が開催された。そこでソニー・インタラクティブエンタテインメントのR&D部門のシニア・バイスプレジデント、Dominic Mallinson氏が登壇し、VRの将来について公演を行った。海外ニュースサイトの「VentureBeat」が報じた。

・PlayStation's Dominic Mallinson on next-gen VR, wireless, gaze tracking, foveated rendering, and AR
https://venturebeat.com/2019/05/23/playstations-dominic-mallinson-on-next-gen-vr-wireless-gaze-tracking-foveated-rendering-and-ar/amp/

 「PlayStation VR」は今年の3月までに420万台を売り上げている。次世代の「PlayStation」でも現在のPlayStation VRとの互換性を残すとしており、同社にとってVRは一過性のブームではないことが分かる。PlayStation VRの後継機の話はまだ出ていないが、Mallinson氏は将来のVRゴーグルに求められる要素について考えを語った。

 Mallinson氏がまず上げたのは3点。ディスプレイ解像度、視野角、そしてHDR(High Dynamic Range)だ。ディスプレイ解像度と視野角はVRゴーグルは世の中に登場してから続いている課題だが、HDRが重要というのはユニークな視点。HDRはダイナミックレンジ(表現可能な明るさの幅)を広げる、つまり暗い場面が黒く潰れる、明るい場面が白飛びするという現象を防ぐ機能だ。現在のVRゴーグルのディスプレイはまだまだ現実世界のダイナミックレンジを表現できていないという。そのため、「よりリアルな表現をするため、近い将来HDR機能が搭載されるようになるだろう」(Mallinson氏)。

 また、ユーザー層を広げるためにはワイヤレス化も重要だと語った。ケーブルでつながっていると移動に制約が生まれ、絡まる、セットアップが煩雑、片付けしにくいなど、デメリットが多い。ユーザーをもっと増やすには、ワイヤレス化は目指さなければいけないという。

 もう1点がアイトラッキングだ。「視線を入力に使うことで、VRの可能性は非常に広くなる」(同氏)。また視線の中央だけをフル解像度で描画し、周辺は解像度を落とす「フォービエイテッド・レンダリング」を利用して演算の負荷を下げることもできる。ユーザーだけでなく、開発者にとっても有効で、Mallinson氏にとって非常に重要度の高い機能となっているようだ。

 ARについては、業界を注視しているものの、特に開発は行っていないという。ARを現実世界にうまく溶け込ませるには、現実の物体ときちんと連動できる必要があり、ARで表示したCGに現実と同じ光の当たり方を反映させるには高いハードルがある。他にも課題は多く、「まずはVRをできるところまで改善するのが先」(同氏)だとしている。

 Mallinson氏の話は将来のVRへの期待であり、具体的な製品については全く触れられていない。しかし、同氏が研究開発部門を率いている以上、その内のいずれかは製品に反映されると期待してもよいのではないだろうか。

Reported by 宮川泰明(SPOOL