パルマー・ラッキー氏が「Rift S」に苦言、「70%の人にしかフィットしない」

 2019年3月20日にFacebookが発表した「Oculus Rift S」。純粋なアップグレードではなく、なくなった機能もあることが分かっている。その中でもハードウェアIPD(InterPupillary Distance)調節機能がなくなり、その対策を取っていないことに、Oculus創設者のパルマー・ラッキー氏がブログで苦言を呈している。

・I can't use Rift S, and neither can you.
http://palmerluckey.com/i-cant-use-rift-s-and-neither-can-you/

 IPDは瞳孔間距離、つまりは目と目の間の距離のことだ。顔の作りは人によって異なり、IPDも一人ひとり異なる。IPDとVRゴーグルのレンズ(ディスプレイ)間の距離が合わないと、焦点が合わず映像がブレたりぼやけたり、時には歪んだりもする。

 これを避けるため、「Oculus Rift」ではレンズとディスプレイがユニットになっており、物理的に左右の距離を調節できるようになっている。これによりIPDは58~72mmの範囲で対応可能だ。IPDが狭い人、広い人のそれぞれ5%以外は最適な位置に調節できることを目指して開発していたという。最適な状態にできない人にとっても、許容範囲に収められたとした。

 しかし、Oculus Rift SはIPDが約64mmに固定されているという。これは標準的な人にとっての最適な数値だ。パルマー氏は下のグラフを示し、「70%の人は快適に使えるだろう」と推測している。

 グラフは縦軸が人数、横軸がIPDの数値。4000人弱の調査で、約55%の人が60~65mmの範囲に収まっているのが分かる。しかし、パルマー氏は自身のIPDが70mm弱、つまり標準からかなり遠い部類だと明かし、この理由から「Oculus Rift Sを使うことができない」と語った。ソフトウェアIPD調節では解決できないという。

 この問題を深刻にしているのは、Oculus Rift SがOculus Riftの後継機ということだ。今後Oculus Riftは販売終了することが予想される(既に一部海外では購入できなくなっている)。するとOculus Riftが故障した場合にはOculus Rift Sを購入するしかなくなる。パルマー氏は「Oculus Rift Sを使えない人は、OculusのPCプラットフォームから閉め出されることになる」と心配している。購入したアプリやゲームが使えなくなるのは、ユーザーにとって大きな損失だ。

 とは言え、「VRゴーグルを設計する上で固定IPDは選択肢の一つであり、Oculus Rift Sがそれを選択したことそのものは否定しない」とし、「より多くの人にマッチするようサイズのバリエーションを作るべきだったし、今後サイズ違いのバージョンを検討してほしい」と要望した。

 パルマー氏の推測をもとにすれば30%の人がOculus Rift Sを快適に使えないため、他人事ではない。今Oculus Riftを使っている人で、IPD調節レバーを端に合わせて使っているなら要注意と言えるだろう。

Reported by 宮川泰明(SPOOL