2019年1月28日、Bluetoothの規格を策定しているBluetooth SIGは次期バージョンの5.1で位置検出機能を強化すると発表した。Bluetoothで接続した機器同士の距離だけでなく、方向も検出できるようになる。
・Bluetooth Enhances Support for Location Services with New Direction Finding Feature
https://www.bluetooth.com/news/pressreleases/2019/01/bluetooth-enhances-support-for-location-services-with-new-direction-finding-feature
BluetoothはもともとBluetooth LE(Low Energy)の機能として「ビーコン」を備えている。ビーコン機能を備えたタグのあるエリアに機器が侵入すると何かしらのアクションを起こすというものだ。タグに内蔵して物流の荷物管理などで利用されている。
反対に、エリアから機器が出た場合に反応させることも可能。例えばMAMORIOやQrioなどが販売する忘れ物防止タグもこの機能を利用している。
ただ、このビーコン機能はタグとの距離しか判別できなかった。そのため、エリア内にある、ないといったことしか分からなかった。今回の追加機能では、エリア内であれば位置まで分かる。どの方向からエリアに侵入したといった情報も得られる。
位置情報の検出方法には「AoA(Angle of Arrival)」と「AoD(Angle of Departure)」の2種類がある。前者は複数の受信アンテナで1本の送信アンテナからの信号を受け、距離による違いを検出する方法。エリア内に入ってきたタグを認識、追跡する使い方ができる。後者は複数の送信アンテナで1本の受信アンテナに信号を発信する。こちらはスマートフォンなどが受信側となり、施設の場所などを検出できる。
いずれの方法も片側に複数のアンテナが必要になるため、スマートフォンと1対1で接続する忘れ物タグなどでは使えないと思われる。しかし、部屋に設置したアダプターを経由してスマートフォンに位置情報を送ることは可能だろう。ARでも、これまではスマートフォンのカメラでマーカーを映していたものが位置情報での利用に置き換えられるかもしれない。
バージョン5.1は開発者向けに提供されたばかりの段階のため、普及にはまだまだ時間がかかるが、様々な活用方法が考えられるだけに期待できそうだ。
Reported by 宮川泰明(SPOOL)
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