「CES 2019」で新しいアプローチのライトフィールドディスプレイが展示

 スイスのスタートアップ企業、CREAL3Dは2019年1月8日から11日にかけて開催された「CES 2019」でライトフィールドディスプレイの技術デモを展示した。海外ニュースサイトの「Road to VR」が報じた。

・Founded by CERN Engineers, CREAL3D's Light-field Display is the Real Deal
https://www.roadtovr.com/creal3d-light-field-display-ar-vr-ces-2019/

 ライトフィールドは、現実の物の見え方を再現する技術だ。現実では、光源は一つではない上、反射光や、その光を反射した物の表面によっても見え方が変わってくる。そこでできるだけ光の軌跡を記録し、再現する。ライトフィールドを使った撮影にはライトフィールドカメラ、表示にはライトフィールドディスプレイを使う。

 ライトフィールドディスプレイについては、ディスプレイを見る角度によって描かれている物の角度も変わって見えるという製品をジャパンディスプレイが発表している。しかしCREAL3Dが展示したデモはアプローチが異なる。ARゴーグルやVRゴーグルでの活用を見据えているためだ。

 AR/VRゴーグルではディスプレイと目の位置関係が固定されているので、ジャパンディスプレイの製品と同じ方法では特性を生かせない。そこで、同社はさらに踏み込んで現実と同じように見える仕組みを作った。映した映像の手前側にあるものを見ると奥がボケて見え、奥側を見ると手前がボケて見える。見え方のイメージは以下の動画が分かりやすい。

 VRゴーグルでは、このような効果はアイトラッキングと描画の特殊効果で再現するのが一般的だ。ところが、このデモではアイトラッキングは利用していない。視線に合わせてボケの効果を後付けしているのではないということだ。上記記事の筆者はスマートフォンのカメラでこのことを確認している。カメラアプリで画面をタッチし、ピントを合わせると、直接見た時と同じようにボケが生まれたという。

 見ている対象にピントが合うのは、まさに現実で物を見る時の作用だ。どのようにしてこれを実現しているのか気になるところだが、詳細は非公開。映像はプロジェクターで投射しており、特殊な方法で光を変調しているとしている。

 アイトラッキングや後付けの処理なしで現実と同じ見え方が再現できるのであれば、AR/VRゴーグルの大きな進歩につながる可能性がある。同社は年内にはVRゴーグルで利用可能なレベルまで小型化できると予測しているので、来年の「CES 2020」ではVRゴーグルのデモ機が出展されるかもしれない。

Reported by 宮川泰明(SPOOL