【VRパラダイス ゲームレビュー】
 しゃがんで隠れ、伏せてスコープを覗く。体をフルに使う32対32のリアルVRFPS「WAR DUST」

Reported by 石田賀津男

 欧米では長年、FPSが高い人気を維持していることもあり、VR用ゲームでもFPSスタイルのガンアクションシューティングは数多い。今回ご紹介する「WAR DUST」もその中の1つであり、その点ではとてもありがちな印象を持ってしまうのだが、本作は何と言っても32対32の計64人で戦えるVRFPSというところに価値がある。

 プレイヤーは4つのクラス(職業)から1つを選び、戦場に赴く。装備する銃器や、マップ上に置かれている戦車や戦闘機などの兵器を使って敵と戦い、マップ上にある拠点を奪い合う。ここまでの説明だけで、エレクトロニック・アーツが発売する人気シリーズ「バトルフィールド」みたいな作品だなと思うFPSファンは多いだろう。その認識で間違いない。

 本作は執筆時点(2018年11月21日)では、Steamにて早期アクセス版として提供されている。VRヘッドセットが必須で、なおかつ早期アクセスとなると、果たしてプレイヤーはいるのだろうか……と心配になったのだが、実際にはいつプレイしてもマッチングに困ることはなく、十分にバトルが楽しめた。

 ゲームを起動し後、メニューから“SEARCH BATTLE”を選べば自動的にマッチングされ、戦場に入れる。マッチングが完了するとブリーフィングルームのような場所に入れられ、最初に2つの勢力のどちらに属するかを選ぶ。既に参加している人のリストを参考に、好きな方を選べばいい。

 次に壁にあるメニューからクラスを選ぶ。アサルトライフルで戦う近距離戦用の“Assault”、ロケットランチャーを使える“Engineer”、回復アイテムや土嚢を使える“Support”、スナイパーライフルを使う“Scout”の中から1つを選ぶ。ブリーフィングルームには戦いでやられるたびに戻ってきて、その際にクラスの変更もできる。

 クラス選択メニューから右の壁を見ると、戦場のマップが表示されている。アルファベットで書かれたポイントが拠点で、青は自軍、赤が敵軍、白は中立の拠点となる。いずれかの青の拠点を選べば戦場に入れる。

 本作は筆者が探した範囲では操作方法の書かれたマニュアルが見当たらないので、重要な部分をわかる範囲でお伝えする。まず初期状態ではメインとなる武器を右手に持っており、トリガーを引けば発射できる。ここまではいいのだが、弾切れの際のリロードの方法が独特だ。

 “Assault”の初期装備となる“M4”の場合、まず左手で銃に装着されているマガジンを掴んで外し(左手をマガジンに持っていってトリガーを引く)、抜いたマガジンは捨てる(トリガーを離す)。続いて目線を下に向けると、腰のあたりにマガジンや拳銃、手榴弾などが浮いているので、先ほど抜いたマガジンと同じ形のものに左手を伸ばして掴む。そのまま銃にマガジンを装着して離す。さらに上部にあるチャージングハンドルを引いて戻す。これでようやくリロードが完了する。

 また“Scout”が持つ“AWP”では、1発撃つたびに側面にあるボルトハンドルを引く必要がある。さらに6発撃ったらマガジンを交換し、再びボルトハンドルを引く。リロードの方法を知らないと戦いようがないので、最低限これだけは確認してプレイして欲しい。なお弾数は無制限なので、リロードさえできればいくらでも撃っていい。また“Engineer”のロケットランチャーに関しては、時間が経つと自動でリロードされた。

 戦車などの乗り物は、近づいて左手で触れ、グリップボタンを押すと乗り込める。乗った後は操縦法がハンドルに書かれているのだが、基本的には左手のトリガーで加速前進、右手のトリガーで弾を撃つ。戦車、ヘリ、戦闘機の3つは操作感こそ異なれども、操作手順はほぼ同じだ。戦車の場合はこれに加えて、右手で砲塔を動かして照準もできる。

 他には攻撃手段を持たないバギーもある。バギーは左トリガーで前進、右トリガーで後退という単なる乗り物なのだが、歩行に比べて圧倒的に高速なのが特徴。少々の岩場は乗り越えて、坂を駆け上った後は空中に大ジャンプできる。歩兵時は落下死があるのだが(落下中に頭上で両方のトリガーを引くとパラシュートが開くので、必ず死ぬわけではない)、バギー搭乗時には落下死しない。拠点間はかなりの距離があるので、時間短縮にとても重宝する。

 乗り物は非常に強力で、戦車に乗って敵拠点に乗り込んで敵歩兵を蹂躙したり、ヘリや戦闘機で高速移動しながら爆撃もできる。ただし倒された敵歩兵が“Engineer”に切り替えてロケットランチャーをぶつけにくる可能性も高く、対策されれば意外ともろい。

 歩兵戦では、最初のうちはとにかく攻撃を当てるのが難しい。至近距離ならアバウトに撃っても当たる時は当たるが、ある程度離れると全然当たらなくなる。そんな時は、左手を銃の下に持っていって手を引くと、ライフルを両手で構えられる。さらにサイトを覗いて、きっちり照準を合わせてから撃てば、遠距離でもそれなりに当たるようになる。

 リロードの操作もそうなのだが、本作の銃の扱いはいちいちリアルだ。最もリアルなのがスナイパーライフルで、スコープを覗いて遠方の敵を撃とうとしても、手持ちでは照準がブレて全く狙えない。しゃがんだり伏せたりして床に肘を付けないと、まるで使い物にならない。バイポッド(銃を地面に置いて安定させる二脚)が欲しくなるが、銃はあくまでVR空間内にしかないので、そうもいかない……。

 ただ、しゃがむという動きは本作でとても重要だ。低い壁の裏に近寄ってしゃがみ、落ち着いてリロードを済ませてから、壁の上なり横なりから銃と顔だけを出して撃つ、という動きが実現できる。敵の視線を切る動きとして、しゃがんだり伏せたりという動作が本当に重要なのだ。

 そういうVRならではの動きがわかってくると、歩兵戦ががぜん面白くなってくる。障害物を使ってきちんと敵から隠れながら周囲を確認し、遠くの敵を的確に狙うためにしっかりとサイトを覗く。そのためには実際にしゃがんで、コントローラーを持つ手を覗き込むかのような動きが必要になる。マウスとキーボードで遊ぶ従来のFPSとは次元の違うリアルさで、没入感も極めて高い。

 グラフィックスは特別綺麗というわけではなく、むしろエフェクトなどはちょっと古臭いくらいだ。それでも自分の体を動かし、銃を扱うという挙動のリアルさは圧倒的。なおかつ味方も敵も同じ人間なのだから、リアルに感じて当然だ。

 これに対して戦車などの兵器に乗り込むと、いきなりファンタジーの世界になる。1人で操縦も攻撃もこなすのだから当然なのだが、操縦はとても簡単で、戦闘機ですら初めてでも十分乗りこなせる(敵に弾を当てられるかどうかは別として)。リアルじゃないから面白くないということではなく、気軽に大火力を楽しめる存在として面白い。

 本来は拠点を取り合いつつ敵を倒していくゲームであり、拠点を奪う時が最も高得点を得られるのだが、そんなことを抜きにしてもとにかく楽しい。ボイスチャットも標準搭載となっており、英語でやったやられたと大笑いしながら遊んでいる声もしょっちゅう聞こえる。さんざん使い古されたスタイルのFPSに、体をリアルに使うVRならではの挙動が合わさるだけで、こんなにゲームの楽しさが変わるものかと驚く。リロードの面倒くささもリアリティの1つとなり、だんだんゲームの面白さに感じられてくるから不思議なものだ。

 なお本作は操作方法を選択できる。標準ではトラックパッド等で移動する“CLASSIC”が選択されているが、VR酔いが出やすいとされている。座ってプレイする“SEATED”も同じくトラックパッドを使用し、VR酔いしやすいという。もう1つの“FITRUN”は、実際に走る動きをすることで移動できるとされており、VR酔いを減らせるという。

 実際に試したところ、“CLASSIC”では想像通りのVR酔いを感じる。ある程度プレイすれば慣れてくるが、酔いやすい人は注意が必要だ。続いて“FITRUN”にして、走る動作をしてみる……が、どうも動かない。トラックパッドを押した上で、ヘッドセットが上下に動くと移動できるようだ。正直なところ、酔いの低減がされたとは思えず、むしろ自分の上下動で画面がブレてただただ見づらい。現状では素直に“CLASSIC”でプレイすることをおすすめする。