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「高校生eスポーツ選手権」ができるまで。 eスポーツ文化と日本文化の狭間で目指す最終型。 ―― サードウェーブ eスポーツ推進部 ――

「全国高校eスポーツ選手権は成功でしたか?」

今回のインタビューは、この質問から始めると決めていました。

話を聞かせてくれたのは、最近eスポーツ業界のあらゆるニュースに登場するサードウェーブの「eスポーツ推進部」の3人です。

eスポーツ推進部、つまりeスポーツを推進する部。……と、このタイプの言葉を見ると大喜利を始めたくなるのがゲーマーの性ではありますが、高校eスポーツ選手権がいい大会だったのは紛れもない事実、そこはぐっと飲み込みます。そこで、なぜサードウェーブがeスポーツにこんなにもオールインなのか、全国高校eスポーツ選手権の裏側について聞いてきました。

想定以上の「大成功」 第1回 全国高校eスポーツ選手権


――今日はお時間いただきありがとうございます。まずは簡単に自己紹介をお願いしてもいいですか。

サードウェーブ eスポーツ推進部 部長 大浦さん


大浦「eスポーツ推進部の部長をやっています、大浦です。サードウェーブが関わるeスポーツ事業はだいたい私が現場の取りまとめを行っています」


加藤「加藤といいます。少し前までLJLやLJL CSの中の人をやっていましたが、転職して今はコミュニティサポートや大会のディレクションを担当しています」


山本「ゲーミングチームRascal JesterでOverwatchチームに所属し、競技シーンでチームリーダー兼選手として2年弱していました、山本です。2018年の夏にサードウェーブに入社して、今は高校生eスポーツ選手権の運営アシスタントをしています。イベント当日はかなり細々したことも僕の担当です」


――まず最初にお聞きしたいのですが、全国高校eスポーツ選手権の第1回大会は成功でしたか?


大浦「大成功だった、と言っていいと思います。プロジェクトが1年前にスタートして、『こんなことができたらいいね』と言っていたことの多くを実現することができました。もちろん最終的なゴールとして設定している参加校数や視聴者数ははるか先にありますが、第1回として想定していたラインは大きく超えられたと思っています」


コミュニティサポート・大会ディレクター 加藤さん


加藤「そうですね、スタートした時点ではなかなか制約も多くて難しい環境だったんですが、共催の毎日新聞さんも自社内も柔軟に対応をしてくれる人が多くて、eスポーツプレーヤーにとって納得のいく形に近づけたと思ってます。あとは高校生ゲーマーたちが想像していた以上に人間的にちゃんとしていて、それは嬉しい誤算でした」


――高校生たちが想像以上、というとどんなところでしょう?

Rascal Jester 元選手・運営アシスタント 山本さん


山本「たとえばLoLだと1チーム5人必要で、しかも今回は同じ高校で全員揃えることを条件にしました。自分がゲーマーだった感覚から言っても、高校内で同じゲームをやってる5人で集まって大会に出るのは結構ハードルが高いんじゃないかと心配してたんですよ。でも結果的に150校、700人以上が参加してくれて、高校生の皆さんがとても積極的にコミュニケーションを取ってチームを作って下さったみたいでとても驚きましたし、嬉しかったです。」


――たしかに、同じ高校で5人集めるのは簡単じゃなさそうです。


加藤「学校でビラを配ってメンバーを集めたりした学校もあったようで、ゲーマーの典型的なイメージとはかなり違いますよね。オフライン決勝のステージ上で勝った学校、負けた学校の両方に一言ずつ話してもらった時も、プロゲーマー顔負けの言葉か彼らから自然に出てきました。負けた直後に『同じゲームをしている仲間が見つけられて嬉しかった』なんて言ってくれるとは正直考えてなかったので、横で聞いてた僕らの方が感動しました」


大浦「eスポーツが日本でどう見られてるか、っていうことも彼らは考えていて、自分たちがそこでちゃんと応対することがeスポーツ全体の印象に影響する、っていう自覚があったそうです。その意識に驚きますよね」

仲間との協力や衝突も「高校生」の年代には大切な要素


――今回は『League of Legends』と『ロケットリーグ』というチーム戦のタイトルでしたが、出やすさを考えれば『ストリートファイター』のような個人戦タイトルを用意する手もあったのではないかと思います。タイトル選定の基準や考え方はどんなものだったんですか?


大浦「まずは国内で完結せず、その先に世界が見えているタイトルがいいなというイメージがありました。そのうえでチーム戦を優先したのは事実で、スポーツですから勝った負けたもあるのですが、仲間と協力したり衝突したりという要素も、特に高校生年代を対象にするならば大切だろうと考えました」


加藤「いまeスポーツと名のつく大会はかなりの数あって、その中で僕たちが毎日新聞社さんと組んでいることのメリットはなんだろうと考えた時に、本当に日本の誰もが知っている、という部分ではないかと考えました。ゲーマーの文脈で考えればLJLやRAGEは大きな大会ですが、たとえば尾木ママのような人に届いているかと言われたらさすがにそれはまだ届いてないわけです。そこで、毎日新聞さんのリーチにも頼りながら、日本の高校生のeスポーツの新しい形を提示するというのが大会の目標の1つでした」


――高校生+毎日新聞というと、やはり連想するのは春のセンバツ甲子園です。最初にこの大会の話を聞いた時に「これは相当甲子園っぽい雰囲気でやるのかな」と思いました。しかしフタを開けてみたら実況解説はLJLなどで実績があるキャスターだし、舞台セットや演出もかなりeスポーツの文脈を踏まえたものでした。この価値闘争はあったんじゃないですか?


山本「たしかに基本的な価値観のせめぎあいは相当ありました。『甲子園だとこうです』『インターハイだとこうです』『でもeスポーツではこうなんです』みたいなやりとりは何度あったかわかりません(笑)。でもそれは毎日新聞さん対サードウェーブということじゃなくて、社内でも『eスポーツ』と言った時の参照点がバラバラだったので、1個ずつすり合わせる必要がありましたね。


――具体的にはどんなところが争点になったんでしょう。


加藤「わかりやすいところでいうと、表彰式にスーツの大人が出てくるかどうか、みたいな感じです(笑)。ゲーマー的に言えば選手が自分たちでトロフィーを掲げる方がいいんじゃないかと思いますよね。だからあの表彰式によって納得する人たちがいるのもわかるけど、そこは譲ってくれと。一方で名前の表記はゲーム内ではインゲームネームにしたけれど、メディアに出る時は本名を併記にしたりとか、細かな折衝が本当に多くありました」

「日本の高校生のための eスポーツ」とは


――eスポーツはeスポーツでも、「日本の高校生のためのeスポーツ」という新しい形を作ることがミッションだったわけですね。


大浦「eスポーツを日本の文化にする、という言い方をしていますが、これはたとえば甲子園、野球のような存在にするということです。誰もが知っていて、想像できて、趣味や仕事にする選択肢としてeスポーツが普通に存在する状態にしたい。次世代を担う高校生の大会にはそういう狙いもありますし、部活というのも日本に根付かせていくうえで大きな足がかりになると思っています。いま高校は全国に約5000校ありますが、その半分くらいにはeスポーツ部があるような状況にしたいんです」


加藤「それに加えて、eスポーツという文化をこれまで作り育ててきた先人たちがいるので、その人たちに対して納得してもらえる形にする必要もあります。私や山本のようなゲーマーコミュニティに近い人間が配属されているのは、そのためだと思っています」


――海外のeスポーツシーンはよく言えば自由な、悪く言えば悪ふざけがすぎる部分を含んだ文化ですが、それとは違う「日本の高校生のeスポーツ」を作るということですね。


山本「僕自身はトラッシュトークや煽りはどちらかというと好きな方ではあるんですが、もうちょっと品が良くなって欲しいなと現役選手の時から思ってたんですよね。特に日本国内ではその方が多くの人に受け入れられると思いますし」


加藤「私はどこまで行ってもゲーマーなんで、その悪ふざけも含めてeスポーツ文化が好きなんですけど、とはいえ全部の大会が同じラインでやる必要はないとも思ってやっています。もしかしたら高校生大会を見て『わかってねーなぁ』って思う人もいるかもしれないけど、『そうは言うけど回り回ってゲーマーのためになると思ってやってはいるよ』っていうのは伝えておきたいですね」


大浦「高校生選手権は、eスポーツの広い文化の中でも入り口にあたる大会だと思ってます。昔からのファンにはプロレス的なトラッシュトークを好きな方も多いと思いますが、やっぱり初めて見る人は引いちゃうと思うんですよね。何より私自身がそういう状況を見た時に、正直に言って引いてしまう方でもあります。
 それより今はeスポーツのネガティブな印象を払拭するためにも、インターハイや甲子園のような、高校生がやっている他の競技と同じような水準で礼儀やスポーツマンシップは求めていきたいと思っています」

ゲーマーを支える活動に自信 今後の「eスポーツ推進部」


――サードウェーブさんの立ち位置、考え方がだいぶ分かってきました。それこそが「eスポーツを推進する」ということなんですね。ちなみに部としては何人体制なんですか?


山本「7人です」


――それは結構大きい部ですね!


山本「去年僕が配属された時点では4人だったので急速に大きくなっていますが、本音を言えばまだ全然人手が足りていません。ゲーム好きな人たちに入ってきて欲しいですね」


加藤「個人的には部署の名前は変えてもいいんじゃないかなと思ってるんですけどね(笑)。でも客観的に見て、ゲーマーを支える活動っていう意味では相当いろんなことができてる会社だという自信は持ってます。なんで、ゲーマーにはぜひうまいこと会社を使ってほしいですね」


大浦「中長期的には、今後も人は必然的に増えていくと思っています。必要な能力というか条件はだいたい2つで、1つはゲーマーコミュニティの気持ちが分かること。もう1つは、他の企業やゲームパブリッシャー様、学校と協業して仕事を進められること。たとえば山本は元eスポーツ プロ選手ですが、厳しい勝負の世界でしのぎを削ってきた人はやっぱりビジネスの世界でも活躍するなと日々驚いています」


山本「僕は本当にゲームしかやってこなかったので社会人スキルは皆無だったんですけど(笑)、ゲーマーであるっていうことが仕事に活きて、それを役立ててもらいながら社会人としての勉強をさせてもらえて、本当にいい職場だなと思ってます。これから他社も含めてこういう部署は増えてくるはずですから、ゲーマーの就職先としては魅力的な分野になっていくような気がします」


――今日はありがとうございました!


さあ、新しいゲーミングワールドへ。

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