コーチとアナリストから指導を受けて練習
プロゲーマーはまさに「競技者」だ
前回に引き続き、Rascal Jesterのインタビューを掲載する。今回は選手に焦点を当てていく。競技プロのゲーマーがどのような生活をしているのか紹介していこう。
「League of Legends(LoL)」は基本的に1チーム5人で戦う。インタビュー時に不在だったメンバーもいるため今回話を聞いたのはLillebelt(リールベルト)氏、Rkp(リキピー)氏、cogcog(コグコグ)氏、Scotty(スコッティ)氏の4人(いずれもゲーム内のハンドルネーム)。最年長のRkp氏でも24才、cogcog氏とScotty氏は19才と若いが、国内でもトップクラスの実力の持ち主達だ。
Lillebelt氏
Rkp氏
cogcog氏
Scotty氏
Q. Rascal Jesterの成り立ちを教えて下さい。
【Lillebelt氏】初めは別のチーム名で活動していました。今の形になったのはLoLの国内リーグ、「League of Ledgends Japan League(LJL)」が始まる際に声をかけて頂いたのがきっかけです。試合の頻度が上がり、もっと練習もしないと勝てない状況になった時、全員がそれを続けられるわけではなかったんですね。そこでメンバーの交代があり、同時にチーム名をRascal Jesterへ変更しました。その時に加わったメンバーがcogcogとScottyです。
その後ゲーミングハウスができて今に至ります。チームとしてはプロになる前からやっていたのでその延長になるのですが、プロとして自覚というか意識したのはゲーミングハウスで共同生活を始めたことがきっかけですね。
Q. 一日どのくらい練習するのですか。
【Lillebelt氏】チームとしての決まっている練習時間は昼の2時から夜の2時までで、間に夕食で1時間の休憩を取っているので11時間です。
【Scotty氏】長時間やっていると疲れてくるので、10~15分くらい目を閉じて休憩したりはします。
一日のタイムテーブル。緑の枠が練習時間だ。昼食後は深夜2時まで、19~20時の夕食以外は練習に費やされる。

Q. 練習相手はどのように探しているのですか。
【Lillebelt氏】コーチが韓国の人なのですが、そのつてで韓国のチームを紹介してもらって、練習試合をしたりといったことが多いです。
Q. コーチがいるんですね。やはりコーチがいると練習の質が上がりますか。
【Scotty氏】LoLは5人それぞれに役割があります。やることが全く違うので、別のポジション同士ではアドバイスができないんですよね。なので全ての役割に詳しく、教えてくれるコーチの存在は大きいです。
【Lillebelt氏】コーチとアナリストの2人がハウスに入って、一緒に活動しています。プレイ中に後ろにいて、直接アドバイスを受けられるのですごく充実した練習ができますね。
【大川氏】今のコーチはうちと相性がいいと感じています。eスポーツが盛んな韓国の事情を知っていて、英語ができて。コミュニケーションも円滑にできています。

Q. するとコーチとの会話は英語なのですか。
【大川氏】全部英語です。
【Lillebelt氏】メンバーも英語がペラペラ、というわけではないです。ただ、コーチもこちらも、身振り手振りや状況なども合わせればニュアンスはだいたい分かるので、なんとかなっていますよ。初めは厳しかったですが、1カ月もやっていると分かるようになってくるんですよね。
【大川氏】コーチも熱が入ってくると韓国語が出てくるので、練習中は3カ国語が飛び交う状態です。すると韓国語もなんとなく分かるようになってきて。
【Lillebelt氏】練習時間以外では、日本語と韓国語を教え合ったりもしてますね。
Q. LoL以前にやっていたゲームはありますか。
【Lillebelt氏】僕とRkpは「スペシャルフォース」をやっていました。所属していたチームは違いましたけども。
【cogcog氏】「Alliance of Valiant Arms」をやっていました。
【Scotty氏】僕は「カウンターストライク 1.6」をやっていました。
【Lillebelt氏】LoLはチームプレイが重要なので、報告の仕方といったノウハウをFPSで培っているとアドバンテージになると思います。
Q. まだ国内ではプロゲーマーは少ないですが、プロに興味を持った人、プロになりたい人に向けてメッセージはありますか。
【Lillebelt氏】プロを目指すのであれば、発言や態度をきちんとしておく、ということが重要だと思います。技術面は、いいチームに恵まれたとか、大会でいい結果を残せたとか、運もあると思うんですよね。でも、いざプロになるとスポンサーも意識しなくてはいけません。当然、過去の発言は見られると思います。プロになる前から意識しておいた方がいいです。
【Rkp氏】プロゲーマーって本当に稼げるの、と思う人もいると思います。ゲームが得意でも、いざ本当にプロになろうとすると、相当な勇気が必要だと思います。僕も以前の仕事を辞めてプロになっているので、そこは分かります。でも、ゲームがうまいことは一つの才能だと思うので、それを理由に諦めないでほしいですね。
【cogcog氏】今の日本のeスポーツはまだ発展途上の段階です。ポジティブに見れば、今なら誰でも頑張り次第でプロになれるチャンスがあるとも言えます。ぜひ目指してほしいです。
【Scotty氏】プロになると色々な人に見られるようになります。Lillebeltとほぼ同じ内容になってしまいますが、見られて恥ずかしくない振る舞いを身に付けておくことが大事だと思います。
Q. 今年もLJLが始まりました。最後に意気込みをお願いします。
【Lillebelt氏】僕は3年目の出場になるのですが、LJLは毎年変化がすごく激しいんです。リーグに参加するチームも、それぞれのチームメンバーも変わり、目まぐるしく変化しています。そのため展開が予測しにくいのですが、Rascal Jester自身も韓国からコーチや選手を招いたりと良い方向に変わってきています。「やってみないと分からない」というのが本音ですが、優勝を目指してやっていきますので、応援をよろしくお願いします。
■「game」を「遊び」で終わらせないプロゲーミングの世界
Rascal Jesterは10代と20代前半が中心の、とても若いチームだ。しかしプロゲーマーとしての道を選んだ彼らは、プロとして自覚と覚悟を持って活動していると感じた。英語の「game」は「遊び」だけでなく「試合」という意味もある。彼らが挑んでいるゲームはまさに試合であり、スポーツだ。ぜひ皆さんにはオンラインゲームにも競技があること、それに取り組む若者がいることを覚えていてもらいたい。
Reported by 宮川泰明(SPOOL)
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