パソコン自作のススメ その1「ドライバー1本で始めよう!」 Text by 高橋敏也

・パソコンの自作ってなに?

自分で作るから「自作パソコン」。世の中はさまざまなパソコンがあります。メーカーから販売されているものもあれば、ショップが注文に応じて組み立て販売しているものもあります。そして本コーナーのテーマである「自作パソコン」。まあ実際には、パーツを買い集めて「組み立てる」ものなのですが。

「パソコンを自分で作る」というと、何やら難しそうな雰囲気です。専門的な知識や技術が必要なんじゃないかと、そう思う人も多いでしょう。何しろパソコンは電子パーツ、電気部品の集まりですから、ハンダゴテを使うんじゃないかとか、そんな質問をされることもあります。しかし、こと自作パソコンに関しては言えば、基本的に必要な工具はプラスドライバー1本だけです。もちろん袋を開封するためのハサミとか、小さなネジをつまむためのピンセットやラジオペンチなどがあると便利です。ですが基本はプラスドライバー1本、それもごく普通のものが使えます。

さて、最初に「パーツを買い集めて」と書きましたが、パソコンのパーツは基本的に共通の規格に基づいて作られています。このためメーカーが違っていても、規格さえ合えば組み合わせて使うことができます。コネクタを刺す場所も決まっていますし、パーツを取り付ける場所も決まっています。しかもある程度は自由度が確保されていますから、状況に応じて工夫することも可能です。

基本的にはパーツを特定の場所に取り付け、ネジで固定し、ケーブルを使ってパーツを接続するだけです。組み上がったらそこにディスプレイやキーボード、マウスを接続し、オペレーティングシステム(OS)をインストールして完成です。市販されているメーカー製パソコンと同じように活用することができるのです。

ですがここで、根本的な疑問を持つ人もいるでしょう。「なぜ自作パソコンではなくてはならないのか?」。確かにそうです。メーカー製パソコンを買えば、組み立てる必要も、OSをインストールする必要もありません。最近では値段も下がっていますし、必要に応じてスペックを調整することも可能です。何もわざわざパーツを揃えて自分で組み立てて、OSをインストールする必要は無いということです。

いやいや、自作パソコンにもさまざまなメリットがあるのです。だからこそ自作パソコンは一つのジャンルとして確立し、今でも趣味として、そして実用的なパソコンとして活用されています。ではもう少し詳しく、自作パソコンを見ていきましょう。

・自作パソコンのメリット、デメリット

その昔、パソコンは大変高価なものでした。ディスプレイ、プリンタを含めて1セットで50万円から200万円。そんな状況を一変させたのが、DOS/Vパソコンの登場です。1990年に登場したDOS/V(DOS/Vというのは通称)は、欧米で標準となっていたパソコン、PC/AT互換機で動作するOSでした。DOS/VとPC/AT互換機の登場が、日本のパソコン市場を大きく変えていったのです。

ちなみに余談ですが自作パソコン市場でも有名なショップ「ドスパラ」、もともとの店名は「DOS/V(ドスブイ)パラダイス」です。実に直接的な名称ですが、ユーザーの間では「ドスパラ」という愛称で呼ばれていました。現在、その愛称が正式名称になった訳です。

さて、PC/AT互換機は本体もパーツも、日本国内で普及していたパソコンより低価格でした。このため一気に普及が進み、国産パソコンのシェアを奪っていきました。確かにDOS/Vパソコンは低価格だったのですが、スタンダードなもので30万円から、ハイエンドなモデルでは50万円から。さらにパソコンを低価格で入手したいユーザーたちは、「DOS/Vパソコンの自作」に注目したのです。

PC/AT互換機は規格化の進んだパソコンです。その規格に注意してパーツを集めれば、それを自分で組み立てて動作させることが出来ました。そしてこの「パーツを個別に集めて組み立てる」というのが、当時としてはもっとも安くパソコンを入手する方法だったのです。

もちろん低価格だけが自作パソコンのメリットではありません。まず何よりプラモデルと同じ感覚、作る喜び、完成させる喜びがあります。しかも自作パソコンの場合、完成させた後はパソコンとして活用することが出来るのです。物作りが楽しいという人にとって自作パソコンは、まさに一石二鳥の存在と言えるでしょう。いや、実は一石で三鳥、四鳥を狙えるのが自作パソコンなのです。

基本的に自作パソコンは、自分でパーツを選びます。CPU、マザーボードといったメインパーツはもちろん、本体ケースなども全て自分で選ぶ訳です。要するに自分の希望するスペックのパソコンに仕上げられる訳ですが、予算に合わせてスペックを調整したりすることも可能です。例えばCPUはなるべく高速なものを選んでおき、メモリやハードディスクは最低限にしてコストを圧縮する。コスト面の調整が容易というのも、自作パソコンのメリットと言えるでしょう。

パソコンの筐体、外側の箱を本体ケースと呼びますが、もちろんこれもパーツの一つです。そして本体ケースはパソコンの顔、これも自分好みで選べる訳です。パーツショップへ行けば、実にさまざまな本体ケースが並んでいます。大きさ、デザイン、そして色。規格に準じている限り、自分好みの本体ケースを選べるのです。ちなみに本体ケースの場合、大きさによって使用可能なマザーボードが決まってきます(これが規格)。

また、パーツは自分で選ぶ訳ですから、無駄を省けるというだけでなく「極端なスペック」にすることも可能です。自分にとって不要なものを省いてコストを圧縮し、その分を別のところに回す。ソフトウェアのスピードを最優先にしてメモリを大量に搭載したり、PCゲームを楽しむためにシンプルな自作パソコンにパワフルなビデオカードを搭載するといった選択肢もあるということです。

そして忘れてならない自作パソコンのメリットが「パソコンに詳しくなれる」ということでしょう。ここだけの話、パソコンをバリバリ使いこなしている人でも、CPUを実際に見たことがある人はそう多くないものなのです。メモリとハードディスクを混同している人も結構いるのです。ですがパソコンを自作すれば、自分でそういったパーツを買って組み立てるのですから、間違いようがありません。基本的な知識ではありますが、自作パソコンを通して「パソコンとは何か?」に触れることができるのです。

もちろん自作パソコンにもデメリットはあります。最初に「自作パソコンは安い」と書きましたが、それは今では通用しません。決して高い訳ではありませんが、パーツを大量仕入れするメーカー製パソコンやショップ製パソコンには価格的に勝てないというのが現状です。さらに自作パソコンの楽しみの一つである組み立てを、面倒だと思う人もいます。買ってきてすぐに使えるメーカー製パソコンがあるのに、なぜ面倒なことをしなくてはならないのか? 確かにそういった考えもあるでしょう。

自作パソコンのデメリットとして、もっとも大きなものは「全て自己責任」ということでしょうか。自分で組み立てる訳ですから、組み立てに失敗したり間違いがあって動かなくてもそれは自己責任です。原因を追及し、動くようにしなくてはなりません(これが想像以上にやっかいな場合がある)。パーツごとに購入する訳ですから、保証もパーツごとになります。もっとも最近はそれぞれのパーツの品質が向上、安定していますから、トラブルに遭う方が希ではありますが。

さて、今回は「自作パソコンとは何か?」という、やや固い話になってしまいました。ですが自作パソコンは「考えるより組み立てた方が」より早く理解できるものです。次回は自作パソコンの入り口、パーツ選びに関して解説します。

・パソコン自作のススメ「ドライバー1本で始めよう!」バックナンバー
その1「ドライバー1本で始めよう!」
その2「パーツ選びは遠足前夜(前編)」
その3「パーツ選びは遠足前夜(中編)」
その4「パーツ選びは遠足前夜(後編)」
その5「いよいよ組み立て! でもその前に」
その6「ついに組み立て!(前編)」
その7「ついに組み立て!(中編)」
その8「ついに組み立て!(中編2)」
その9「ついに組み立て!(後編)」

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