ゲームパッドや録画機能など、ゲーマー向けのこだわり機能が満載のAndroidタブレット「NVIDIA SHIELD タブレット」 Text by 石田賀津男

10月10日、GPU製品のGeForceシリーズを手掛けるNVIDIAが、Androidタブレット「NVIDIA SHIELD タブレット」を発売した。価格はオープンプライスで、現在の実売価格は41,602円前後。初回限定で発売されたタブレットカバーとゲームパッドを同梱した3点セットは48,400円前後で販売されていた。

今回、本製品のレビューをお伝えする上で、最初に宣言しておきたい。本機はGoogle Playを利用できるAndroidタブレットだ。NVIDIAの独自ゲーム機ではなく、純粋なAndroidタブレットとして使える。

液晶サイズは8インチ、本体サイズは221×126×9.2mm(高さ×幅×厚さ)で、重量は390g。Androidのバージョンは、現状は4.4.2 KitKatだが、Android 5.0 Lollipop対応を既に発表している。ただしAndroidでは、OSをバージョンアップすると起動しなくなるアプリが往々にしてある。対応は開発者にゆだねられているので、プレイ中のゲームの対応状況を確認してからアップデートしていただきたい。

■性能だけではないゲーマー向けの設計

では詳しいスペックを見ながら、端末の手触りを確認していこう。液晶は1,920×1,200ドット(16:10)のIPSパネルで、応答速度、視野角ともに良好だ。特に印象的なのは発色のよさで、写真などの映像も自然な色合いで楽しめる。

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最初に画面を見た時の色鮮やかさが印象的
最初に画面を見た時の色鮮やかさが印象的

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カメラはイン/アウトともに5Mピクセル

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アウト側カメラ

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電源ボタン、ボリュームスイッチ、microSDカードスロットなど

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Mini-HDMI 出力、Micro-USB 2.0、3.5 mm ステレオヘッドフォンジャック(マイクサポート)など

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心臓部となるプロセッサには、NVIDIA Tegra K1を搭載する。CPUはクアッドコアのARM Cortex A15 2.2GHz、グラフィックス機能は192コアのKeplerアーキテクチャGPUを採用する、モバイル端末としては相当パワフルな構成となっている。ベンチマークアプリで計測してみても、Android端末としては最高速の部類。特に3Dグラフィックスの性能は極めて高い値を示している。

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「AnTuTu Benchmark」の結果。特にグラフィックスの評価が高い
「AnTuTu Benchmark」の結果。特にグラフィックスの評価が高い

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「3DMark」はノーマルとEXTREMEでは計測限界スコアを突破。UNLIMITEDでようやく計測できた
「3DMark」はノーマルとEXTREMEでは計測限界スコアを突破。UNLIMITEDでようやく計測できた

内蔵メモリは16GBで、microSDカードスロットあり。802.11b/g/n 2×2 Mimoの無線LAN内蔵で、最大300Mbpsでリンクできる。またスタイラスペンが標準で搭載されており、本体に背面に収納できる。このほか正面・背面にそれぞれ5メガピクセルのカメラ、ジャイロ(角速度)・アクセロメーター(加速度)・コンパス(地磁気)によるモーションセンサーも搭載。バッテリは19.75W/h。

本機のハードウェア面での特徴は、正面向きのステレオスピーカーだ。端末を横にした時、左右にスピーカーが配置される形となる。タブレットのサイズとしては音質・音量ともに十分で、ゲームや動画再生時はこれまで体験したことがないほど快適だ。

スタイラスペンも付属する
スタイラスペンも付属する

付属のスタイラスペン
付属のスタイラスペン

スピーカーは本体左右の画面側に設置されている
スピーカーは本体左右の画面側に設置されている

 

また手触りにもこだわりを感じる。本体背面はラバー質のコーティングがなされており、手触りがよく滑りにくい。手で持ちながらプレイしていても安定し不快感が少ないというのは、ゲーマー向けの配慮と言えるだろう。液晶サイズがほぼ同じiPad mini 3が331gであることを考えると、本機の390gという重さは比較的重く見えるが、実物のホールド感も含めて考えれば納得のいく品質だ。

背面はラバー質のコーティングで手に馴染む
背面はラバー質のコーティングで手に馴染む

オプションとなるタブレットカバーは、液晶表面をカバーするだけでなく、後ろ側に折りたたんで横置きスタンドとしても機能する。動画を見る時はもちろん、ワイヤレスコントローラを使ってゲームをプレイする際にもとても重宝する。またカバーは磁力でうまく密着するようになっている上、カバーを開くと自動的に端末の電源が入るなど、使用感にも配慮されたものになっている。

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タブレットカバーは、開いて後ろに回すとスタンドになる
タブレットカバーは、開いて後ろに回すとスタンドになる

■非対応ゲームも対応可能なワイヤレスコントローラ

ワイヤレスコントローラはオプション扱いながら、本機を使用するにあたっては非常に重要な存在になる。ワイヤレスコントローラでの操作に対応するゲームは、「SHIELD Hub」アプリの「コントローラー」タブにリストアップされており、探す手間もない。

専用のワイヤレスコントローラ

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専用のワイヤレスコントローラ

ヘッドフォン出力などのインターフェイスも備える
ヘッドセットなどのインターフェイスも備える


「SHIELD Hub」アプリで対応ゲームを探せる

対応ゲームの中には、PCゲームでは名の通った「Half-Life 2」の本機専用カスタマイズバージョンもある。ゲーム内容は当時のままで、ワイヤレスコントローラでの操作に対応している。グラフィックスは1,920×1,200ドットという高解像度だけあって、約10年前のPC版発売当時に見たものよりも精細に見えるほど。それでいて高いフレームレートを維持しており、本機の性能の高さを感じさせてくれる。


「Half-Life 2」をタブレットで、しかも高解像度でプレイできる

非対応ゲームについては、「GAMEPAD MAPPER」という機能で、方向パッドをバーチャルパッドに対応させたり、特定位置のタップをボタンに割り当てたりできる。画面のあちこちをスワイプするようなゲームには対応できないが、特定位置にバーチャルパッドが配置される格闘ゲームなど、アクション要素の強いゲームでは操作感が抜群によくなる。

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「GAMEPAD MAPPER」でゲームパッド非対応ゲームも操作できるようになる
「GAMEPAD MAPPER」でゲームパッド非対応ゲームも操作できるようになる

他にもGoogle Playからダウンロードできるゲームアプリでも、ワイヤレスコントローラでの操作に対応するゲームがある。ゲームパッドでの操作に対応したゲームは意外と多いので、「GAMEPAD MAPPER」による手動対応と合わせて、ワイヤレスコントローラで楽しめるゲームはかなり多いと感じられる。対応できないものはタッチパネルに最適化されているとも言えるので、あらゆるゲームを最も快適なスタイルで遊べると言っても過言ではない。

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ゲームパッド対応アプリは意外と多いので、手持ちのアプリで試してみる価値あり
ゲームパッド対応アプリは意外と多いので、手持ちのアプリで試してみる価値あり

さらにワイヤレスコントローラには、中央下部にタッチパッドも搭載されている。この部分に触れると画面にカーソルが現れ、PCのタッチパッドのようにカーソルを操作できる。パッドを押し込めばクリック扱いとなる。これでAndroidのメニューやゲームの操作もできる。

中央下部はタッチパッドになっており、マウス操作をエミュレートできる
中央下部はタッチパッドになっており、マウス操作をエミュレートできる

■PCゲームを手元で遊ぶ「GameStream」

ワイヤレスコントローラの使い道としてもう1つ。「GameStreamテクノロジ」により、PC向けのゲームを本機でプレイできる。前提として、Kepler世代以降のGeForce GTX GPUを搭載したPCが必要になるほか、ゲーム側の対応も必要になる。対応ゲームのリストは公式サイトに掲載されている。

仕組みとしては、本機とPCを設定で紐づけしておいた上で、本機から対応ゲームを呼び出すことで、PC側でゲームが起動。その映像がストリーミングで本機へと送られ、その映像を見ながらゲームをプレイする。本機と同一ネットワーク上にあるPCであれば特にネットワーク設定をすることなく使用できる。屋外など別のネットワークからプレイしたい場合は、リモート接続するPCに対してルーターでポートフォワードの設定が必要

本機の「SHIELD Hub」で「マイPCゲーム」タブを選択すると、PCにインストールされた対応ゲームが表示される。プレイしたいゲームをタップすると、PC側でそのゲームが起動され、映像が本機へと飛ばされる。PCが起動していない場合は、ゲームを選ぶとPCの起動から始めてくれるので、PCを動かしたままにしておく必要すらない。

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「マイPCゲーム」でゲームを選ぶと、ストリーミング映像でゲームを遊べる。PCの電源が入っていなくても、リモートで電源を入れられる
「マイPCゲーム」でゲームを選ぶと、ストリーミング映像でゲームを遊べる。PCの電源が入っていなくても、リモートで電源を入れられる

今回ストリーミング元として使用したPCは、GeForce GTX 760を搭載したもの。ゲームはFPS「Titanfall」を使用した。映像品質は1,280×720ドット程度でドットバイドット表示とはいかない模様。ゲーム上の処理や3DCGの描画はPC側でやっているため、本機への負荷は基本的にストリーミング映像の再生と、ワイヤレスコントローラの操作をPCに送り戻すことだけ。

気になるタイムラグはなく、コントローラで動かしたターゲットもきちんと追従する。筆者の環境では遅延はほとんど体感できなかった。ストリーミング動画の圧縮展開をリアルタイムに行いつつ、無線LAN経由で送信しているはずなのに、プレイの違和感のなさには驚かされた。

 

「Titanfall」がタブレットからプレイできる。さすがに解像度は少し落ちるが、ゲームプレイには支障ない程度の画質は得られている21
「Titanfall」がタブレットからプレイできる。さすがに解像度は少し落ちるが、ゲームプレイには支障ない程度の画質は得られている

■「NVIDIA SHADOWPLAY」であらゆるゲームを録画・配信

さらに本機ならではの機能として、「NVIDIA SHADOWPLAY」がある。GeForceユーザーならば名前だけでピンと来るはずだが、ご想像通り、これは動画を撮影する機能だ。ゲームをプレイしながら、バックグラウンドでその画面を動画にエンコードしてくれる。

試しに「Half-Life 2」で録画してみたところ、プレイ感には影響を与えることなくプレイ映像が完成した。またゲームのほか、Androidのメニューやブラウザ画面など、端末に表示しているものなら何でも録画できる。録画した動画はmp4形式で、PCなどにコピーして再生もできる。

https://www.youtube.com/watch?v=oF3Uo84EVBA
「Half-Life 2」の映像。実際のゲームは実解像度なのでもっと高画質だが、ゲームプレイに影響を与えず録画できるのが嬉しい

https://www.youtube.com/watch?v=itni4PQTpyg
こちらは「GameStream」で「Titanfall」をプレイしているところを録画した。ネイティブゲームでなくとも録画可能だ

Android端末で映像を録画する場合、通常ならば外部出力機能を使うなど手間がかかることが多い。本機ならば追加投資もなく、特殊なアプリを利用することもなく、ゲーム動画を作成できる。しかも録画する画質を調整したり、マイクの音声を入れたりというカスタマイズまで可能。さらにはTwitchにリアルタイム配信までできてしまう。ゲームの録画や配信に興味がある人にとっては、非常にパワフルなツールだと感じられるはずだ。

「NVIDIA SHADOWPLAY」の設定画面。かなり細かくカスタマイズできる
「NVIDIA SHADOWPLAY」の設定画面。かなり細かくカスタマイズできる

■他にはない価値が詰め込まれた1台

本機をタブレット単体製品として見た場合、ゲーマー向けによく配慮が行き届いた端末だと感じられる。手触りや音質のために、重量が若干犠牲になってはいるが、それを補って余りある魅力が備わっている。

性能的にも非常に優秀だ。3Dグラフィックスを使うAndroidアプリで快適性を求めるなら、現状でこれ以上のものを求めるのは難しい。加えて、ゲームパッド対応のAndroidアプリも増えてきているので、それらを遊びたい人には現状ベストな組み合わせと言える。ゲームパッドを使わないにしても、タブレットとしての高性能は十分生かせるので、あらゆるアプリが快適に楽しめる。

「GameStreamテクノロジ」は面白い機能で、NVIDIAならではのものではある。ただ、屋外でも本格的なPCゲームを遊びたい人がどれだけいるか、という点が悩ましい。操作はほぼゲームパッド必須だし、マウスとキーボードでのプレイも想定外。「ファイナルファンタジーXIV」や「World of Warcraft」といったMMORPGが対応しているので、外からちょっと覗きたい時などにはアリだが、利用シーンは限定的になりそう。ましてや自宅にいるなら、リモート元のPCで直接プレイした方がいい。何かもっとうまい利用方法が思いつかないか……と筆者としても悩むところだ。

価格は8インチAndroidタブレットとしては高価な部類に入るが、性能から見ればまだ割安に見える。加えて、ゲームパッドやSHADOWPLAYなどの独自機能も、1つでもニーズがあるなら唯一無二のベストチョイスになり得る魅力がある。製品コンセプトが明確にゲーマー向けになっているので、万人にオススメできる製品ではない。こだわり部分に価値を見いだせるかどうかが購入判断のポイントとなるだろう。

・記事掲載時点でのドスパラ通販販売予定価格
41,602円(税込)

・ドスパラWEBサイト商品ページはこちら
NVIDIA SHIELD タブレット

Text by 石田賀津男

レビュー / コラム

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