パソコン自作のススメ「ドライバー1本で始めよう!」-その4「パーツ選びは遠足前夜(後編)」 Text by 高橋敏也

ようやく今回でパーツ選びのウンチクは終わりです。各種パーツに関して、特にCPUやマザーボードといった主要パーツに関しては、いくら解説しても足りないような気がします。まあ、それほど奥深いものなのですが、考え方を変えれば「あんまり気にしないでパッと決めて、組み立てを楽しもうよ」という話にもなります。もちろんこれも正解、自作パソコンには間違えなんて無いんです(IntelのCPUを、AMDのCPUに対応したマザーボードに載せたいというのは間違い)。

では自作パソコン、残ったパーツを見ていきましょう。

■超重要な電源ユニット

静かで信頼性が高く、自らの自作パソコンのスペックに合った出力のものを選ぶ。これが電源ユニット選びの基本です。しかしこの電源ユニット、メーカーの数が多いだけでなく、モデルも大量にあるため、どれを選んでいいか自作のベテランでも迷います。お気に入りのメーカーがあればそれを「軸」に出来るのですが、いかんせん初めての自作パソコンとなると、いったいどこから手をつけていいやら。しかも同じ500Wの電源ユニットでも、驚くほど値段が違っています。さて、どうしたものでしょう。

なのでまず最初に「初めての電源選び」、その指針をあくまで私個人の意見として書いておきましょう。これから組む自作パソコンが、スタンダードなスペックなのであれば600W前後の電源ユニットを、パワフルなビデオカードなどを入れてハイエンドなパソコンを組む場合は800W前後の電源ユニットを選びましょう。また、最初はスタンダードなスペックにするけど、いずれはアップグレードでハイエンドにする場合は800W前後となります。

玄人志向の500W電源「KRPW-SS500W/85+ REV2.0」
玄人志向の500W電源「KRPW-SS500W/85+ REV2.0」

ちなみにここで言う「600W」や「800W」は、その電源ユニットの最大出力(別に瞬間最大出力というスペックもあります)を示しています。なのでその電源ユニットが電源オンになっている間、常に600Wや800Wで動作している訳ではありません。アイドル時(電源は入っているが、パソコンで何もしていない状態)では600W、800Wの電源ユニットであっても、100W以下しか電気を使いません。ですがCPUとビデオカードを同時に、フル稼働させたりするとかなりの電気を使います。実はこのようなフル稼働に対応するため、電源ユニットの出力が重要になって来るのです。

例えばCPUとビデオカードをフル稼働させた際、700Wの電気が必要な自作パソコンに700Wの電源ユニットを搭載したとします(極端な例ですが)。仮に瞬間的に700Wを超えたすると、その段階でパソコンは不安定になってしまうのです。あるいは500Wの電源ユニットで700Wを使ったとなると、明らかに出力オーバーですから、パソコンの電源が落ちてしまいます(ダウンとも言います)。

もう少し詳しく解説すると、まず自作パソコン用の電源ユニットは3.3V、5V、そして12Vという3つの直流電流を出力します。入力は家庭用電源ですから交流の100V、それを直流に変換して各パーツに供給するのが電源ユニットの役割なのです。そして最近重要視されているのが12V、もっと正確に言うと+12Vの出力なのです。というのもこの+12V、CPUとビデオカード(GPU)、2大電力消費パーツが使用するものだからです。ハイペックなCPU、ビデオカードを使用する場合は、この+12Vをしっかり確保する必要があるのです(さらに+12Vにもシングルレーン、マルチレーンなどの種類があります)。

ですが自作パソコンが必要とする電力を、パッと把握するのはベテランでも難しいことです。なので電源ユニット選びの基本は「余裕を持って」となるのです。本当ならスタンダードなスペックで、ビデオカードを使わないような構成だと400Wもあれば充分足りると思います。ですが「600W前後」を勧めるのは、この余裕を考えてのことなのです。

ちなみに電源ユニットのスペックはサイズ(規格)、出力、動作時の騒音レベル、そしてコネクタ構成などです。まずサイズに関しては、ほとんどの自作パソコン用本体ケースが、ATX電源に対応しています。ただしコンパクトな本体ケースでは、SFX電源を利用する場合もあります。いずれも本体ケースに合わせて選んでください。出力に関しては先ほど述べた通りです。ポイントになるのは騒音レベル、そしてコネクタ構成です。最近は静音性を意識した電源ユニットも多いので、騒音レベルを基準にして選ぶのも面白いと思います。ちなみに電源ユニットの中には、空調用の電動ファンを使用しないファンレス電源というのもあります。ファンレスなら騒音はゼロということですね。

最後にコネクタ構成ですが、その前に各種コネクタを配置するためのケーブルに注目してください。この各種ケーブルが脱着できるものと、ユニット本体に固定されているものの2種類があります。脱着できるものをモジュラータイプなどと呼びますが、不要なケーブルは接続する必要が無いので、本体ケース内が混雑しないというメリットがあります。一方で固定タイプよりもやや値段が高めだったり、接触不良のようなトラブルの可能性が高くなるというデメリットもあります。

ケーブル類を着脱できる電源なら不要なケーブルを外しておくことができます
ケーブル類を着脱できる電源なら不要なケーブルを外しておくことができます

数を含むコネクタの構成は、市販されている電源ユニットのほとんどで、充分に足りる数が用意されています。ケーブルの長さも、特に問題にはならないでしょう。ですが大量のストレージを搭載したり(多数のコネクタが必要)、大きな本体ケースで使う場合(ケーブルに長さが必要)は注意してください。なお、電源ユニットの中にはコンパクトな本体ケースに対応するため、ショートタイプのケーブルを採用していたり、オプションでショートタイプのケーブルが用意されているものもあります。

■ストレージはSSD+HDDを狙おう

ストレージ、要するにOSをインストールしたり、データを記録したりする媒体のことですね。以前は「HDD=ハードディスクドライブ」と言っていれば良かったのですが、最近はそこにSSD(Solid State Drive)が加わりました。

SSDはその名の通り、データ記録にメモリを使います。要するに電源を切っても中身が消えないメモリの塊、それがSSDという訳です。中身がメモリですからデータの読み書きは高速ですし、動作音もしなければ消費電力も極小です。こう書くといいことずくめのような気もしますが、データ容量あたりの単価がHDDよりかなり高いという欠点があります。まあ、登場した頃よりも相当安くなってはいるのですが。

サンディスクのSSD「SanDisk Extreme PRO Solid State Drive」。SSDを使えばデータの読み書きを大幅に高速化できます
サンディスクのSSD「SanDisk Extreme PRO Solid State Drive」。SSDを使えばデータの読み書きを大幅に高速化できます

一方のHDDは、容量あたりの単価がどんどん安くなってきています。また大容量化も進み、最近では3Tバイトは当たり前、6Tバイトという大容量HDDが登場しています。値段が安く大容量ということで、データをたくさん記録したい人には必要不可欠なストレージと言えるでしょう。

東芝のHDD「DT01ACA100」。HDDは速度こそSSDに劣りますが大容量で値段も安いのが特徴です
東芝のHDD「DT01ACA100」。HDDは速度こそSSDに劣りますが大容量で値段も安いのが特徴です

ではSSDとHDDを比較してみましょう。容量あたりの単価は高いけど超高速なSSD、大容量で低価格だけどSSDにはスピードで負けるHDD。ざっとこうした図式になります。ちなみにSSDとHDDのいいところを組み合わせた「ハイブリッドHDD(SSHD)」といったものもありますが、普及しているとは言い難い状況です。

自作パソコンのストレージを選ぶなら、SSDとHDD、両者のいいとこ取りを狙いましょう。そう、システムドライブをSSDにして、データドライブをHDDにするのです。起動時のスピードが速ければ速いほど快適なSSDをシステムドライブ(Cドライブ)にし、どうしても容量が必要になるデータドライブ(Dドライブ以降)をHDDにするのです。こうすることで高速起動と、余裕のあるデータ領域という2つを確保できるのです。

SSD、HDD共に容量は「大きければ大きいほどいい」と言っておきましょう。予算の範囲内、可能な範囲で大容量なものを狙ってください。なお、ストレージの扱いにはRAIDなどの方法(機能)もありますが、最初は気にしなくて結構です。ですが特にRAID機能は便利なものですから、憶えておいてください。

ちなみにSSD、HDD共に容量のほか、スペック的にはサイズやスピード、インターフェイスなどがあります。ですがインターフェイスはSerial ATAが一般的ですし、スピードや容量は高速になればなるほど、大容量になればなるほど高価になるのですぐに分かります。サイズ的にはHDDがノートパソコンなどに使われる2.5インチサイズ、そして自作パソコンで一般的に使われる3.5インチサイズがあります。一方、SSDはドライブの形にされているものは、HDDの2.5インチサイズと同等に作られています。なので本体ケースの2.5インチHDDのスペースに、SSDを取り付けられる訳です。なお、3.5インチHDDのスペースに、2.5インチHDDもしくはSSDを取り付けるアダプター(スペーサー)もあります。なお、SSDに関しては一般的なSerial ATAポート以外にも、M.2インターフェイスやmSATAインターフェイスを使う場合もあります。

最後に一つ、ストレージ選びのポイントを。ストレージに必要なのは実のところ、スピードや容量ではありません。本当なら「信頼性」を最優先すべきなのです。ストレージはシステムやデータが入る場所ですから、そこでトラブルが発生してしまっては元も子もありません。ですがこの信頼性を調べるのが一番難しいのです。ネットで評判を調べたり、ショップで聞いたりするしかありません。AとBという製品を比較して、仮にAが若干高価だったとしても、信頼性が高いという話(評判)なら、Aを選んだ方がいいでしょう。

■光学ドライブの搭載は任意なのですが……

最近、自作パソコンを組む際に、光学ドライブを搭載しない人が増えました。光学ドライブというのは、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、そしてBlu-rayドライブなどを言います。記録メディアにデータを書き込んだり、DVDビデオやBlu-rayディスクを再生したりするのに使いますが、重要なのはOSのインストールですね。

LITEONのDVDマルチドライブ「IHAS324-17」。2,000円前後で購入できる安価な光学ドライブですがOSをインストールする程度の用途なら十分な製品です
LITEONのDVDマルチドライブ「IHAS324-17」。2,000円前後で購入できる安価な光学ドライブですがOSをインストールする程度の用途なら十分な製品です

ところがストレージ、特にHDDが大容量化してバックアップの記録メディアを使わない、ビデオなどの再生も行わない、そういった状況では光学ドライブの必要性が薄れてしまいます。大容量データのやり取りで重宝されていたDVDやBlu-rayも、最近は大容量なUSBメモリが普及していますから、必要性は落ちたと言えるでしょう。また、OSのインストールもちょっと手順が分かっていれば、USBメモリから実行することができるのです。

が、しかし。初めての自作パソコンということでしたら、出来れば光学ドライブを搭載してください。OSのインストールであれこれする必要もありませんし、DVDビデオやBlu-rayを再生して楽しむことができます(再生ソフトは必要になります)。初の自作パソコンなら、基本構成をおさえておいて欲しいのです。個人的には書き込み可能なBlu-rayドライブ、それも書き込みソフトとBlu-ray再生ソフトが付属したものをお薦めします。

さてその光学ドライブですが、一般的なものは本体ケースの大きい方のドライブ収納スペース、5.25インチドライブベイに固定するタイプです。規格はしっかり決まっていますので、どの光学ドライブを買っても、このドライブベイに収納できます。ただし一部のコンパクトな本体ケース、そして特殊な仕様の本体ケースでは、薄型光学ドライブに対応したものもあります。薄型光学ドライブはノートパソコンなどに採用されているもので、自作パソコンでも利用することができるのです。

ちなみにここでは「光学ドライブを本体ケースに収納(内蔵)」を前提として話を進めていますが、実際には外付けで光学ドライブを使ってもまったく問題ありません。むしろ使わない時は片付けておけるので、便利に感じられるかも知れません。内蔵の光学ドライブは基本的にSerial ATAポートに接続しますが、外付け光学ドライブの場合はUSB 2.0ポートやUSB 3.0ポートを使用して接続するのが一般的です。

■その他のパーツ

さて、ここまででほとんどの自作パソコン用パーツを取り上げましたが、これらはあくまで基本的なパーツたち。自作パソコンを取り巻くパーツには、メインのパーツ以外にもさまざまなものがあるのです。

例えば本体ケースのところでも少し触れた、空調用の電動ファンですが、静音タイプのものもあれば騒音を気にせず回転数を上げ、風量を確保するタイプもあります。また、面白いところではLEDライトが組み込まれていてさまざまな色に光ったり、定期的に色を変化させながら光る電動ファンもあります。こういったタイプの電動ファンは「電飾ファン」などとも呼ばれ、機能性というより装飾性で選ばれます。ほかに面白いものとしては回転するブレード部分だけを取り外し、水洗いできるものなどというのもあるのです。

電飾と言えばスティック型のLEDライトなどというのもあって、これもやはり自作パソコンの飾り、電飾として使います。中にはブラックライトタイプの電飾もあり、蛍光タイプのパーツと組み合わせて怪しく光るものなどもあります。こういった電飾パーツは側面パネルがアクリルになっていて、内部が見られる本体ケースと組み合わせます。特にゲーミングパソコンで、こうした装飾が使われる場合が多いようです(海外のパソコンを使ったゲームパーティには、各自が自分のパソコンを持ち寄ります。その時に目立ちたいというのが始まりのようです)。

本当に小さいところでは「ネジ」も重要で興味深いパーツと言えるでしょう。基本的に組み立て用のネジは本体ケースに付属しているのですが、ごくまれに足りなくなる場合があります。あるいは付属はしていたけれど、無くしてしまうこともあると思います。そんな時のために自作パソコンのパーツとして、ネジのセットが販売されています。あるいは通常のドライバーを使って扱うネジの頭を大きくし、手で回せるようにしたネジも市販されています。面白いところでは「締め込むことで振動の伝達を抑え、静音化に効果がある」といったようなネジまであるのです。

大物としてはやはり水冷パーツを忘れる訳にはいかないでしょう。CPUの冷却のみに対応した、比較的初心者でも扱いやすい水冷キットもありますが、全てのパーツをバラバラに購入し、自分で水冷システムを組む本格的なものもあります。本格的な水冷システムではCPUだけでなくハイエンドなビデオカード、時にはHDDやメモリまで水冷化してしまいます。高いスキルを必要とする本格的な水冷システムですが、それ自体が面白くなってしまい、より高度なシステムを追求している人々もいます。

DEEPCOOL 水冷ユニット「Maelstrom 120/240」
DEEPCOOL 水冷ユニット「Maelstrom 120/240」

自作パソコンのパーツ売り場に行ったら、目当てのパーツだけでなく、その周辺にあるパーツを眺めてみてください。結構面白いものが見つかるかも知れませんので。

(組み立て編に続く)

・パソコン自作のススメ「ドライバー1本で始めよう!」バックナンバー
その1「ドライバー1本で始めよう!」
その2「パーツ選びは遠足前夜(前編)」
その3「パーツ選びは遠足前夜(中編)」
その4「パーツ選びは遠足前夜(後編)」
その5「いよいよ組み立て! でもその前に」
その6「ついに組み立て!(前編)」
その7「ついに組み立て!(中編)」
その8「ついに組み立て!(中編2)」
その9「ついに組み立て!(後編)」

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