ミドルグレードと低TDPモデルが追加された「AMD FX」シリーズ Text by 笠原一輝

半導体メーカーのAMDは、9月3日に同社のハイエンドPC向けCPU「FXシリーズ」の最新製品となる「AMD FX-8370」(以下FX-8370)、「AMD FX-8370E」(以下FX-8370E)、「AMD FX-8320E」(以下FX-8320E)の3製品を発表した。いずれの製品も、Piledriver(パイルドライバー)の開発コードネームで知られるAMDのx86プロセッサを8コア搭載したオクタコアプロセッサで、Socket AM3+のCPUソケット採用しているAMD990FXやAMD970チップセットを搭載したマザーボードで利用することができる。

FX-8370は、最上位製品のFX-9590/9370に次ぐ位置づけの製品として、FX-8370EとFX-8320EはFXシリーズの省電力版という位置づけがされている。

●8コア、倍率アンロック、高クロック動作ながらコスト競争力の高い価格が魅力

AMDのデスクトップPC向けのFXシリーズは、PCゲーミングユーザーなど、ハイエンドユーザー向けのCPUという位置づけがされている。AMDのデスクトップPC向けCPUには、AMD FXシリーズ、AMD Aシリーズ、AMD Eシリーズなどがあり、FXシリーズがGPUなしのCPU単体、AシリーズとEシリーズはAPU(CPUとGPUが1つになっている製品)という位置づけがされている。PCゲーミングや、スペック重視のユーザーにとっては、やはり単体GPU(dGPU)を使いたいというニーズが非常に強く、そうしたユーザー向けの選択肢がFXシリーズということになる。

その最大の特徴は、低価格ながら8コアで、クロック周波数も4GHzを超えるような製品がラインナップされていることだ。最上位モデルとなるFX-9590でも、229.99ドル(日本円で約2万5千円)と非常にお買い得な価格設定になっており、同じくPCゲーミングユーザーやハイエンドユーザー向けとされているCore i7 5960X(Haswell-E)の最上位モデルが999ドル(日本円で約10万8千円)と非常に高い価格に設定されているのと対照的と言える。なお、いずれの製品もすべてクロックの倍率設定(CPUのクロック周波数はマザーボードから供給されるベースクロック×倍率で決定するため、倍率が自由に変更できるとオーバークロックがやりやすい)はロックされない設定になっており、最後に“K”がつくSKUでしか倍率アンロックされていないIntelのデスクトップ製品とは対照的だ。

現行のFXシリーズのCPU(開発コードネーム:Vishera)は、AMDの開発コードネームでPiledriver(パイルドライバー)と呼ばれるCPUコアが採用されている。Piledriverは、AMDが開発したBuldozerアーキテクチャを改良したCPUデザインで、2つのCPUコアがデコーダやL2キャッシュなどを共有する構造にすることで、CPUコア1つ1つのサイズをコンパクトにすることができるという特徴を持っている。今回の製品ではモジュール1つあたり2コア、これを4つ実装することで8コアという構造になっている。なお、Piledriverは、1世代前のAMDのAPU(Trinity/Richland世代)にも採用されている。

FXシリーズはSocket AM3+と呼ばれるAMDのハイエンド向けCPUソケット向けにリリースされており、AMD 990FX、AMD 970などのチップセットを搭載したマザーボードと組み合わせて利用することができる。サポートされるメモリはDDR3で、DDR3-2133までに対応している(利用できるメモリはマザーボード側のスペックに依存する)。

●ターボ時のクロックが上がったFX-8370、TDPが下げられたFX-8370EとFX-8320E

今回AMDが発表したFXシリーズの3製品は、CPUのダイそのものは従来製品と同じで、新しいSKU(製品のバリエーション)という位置づけの製品となる。

表1 FXシリーズの新製品のスペック



FX-9590 FX-9370 FX-8370 FX-8350 FX-8320 FX-8370E FX-8320E
CPUコア Piledriver
コア数 8
ターボ時クロック 5GHz 4.7GHz 4.3GHz 4.2GHz 4GHz 4.3GHz 4GHz
ベースクロック 4.7GHz 4.4GHz 4GHz 4GHz 3.5GHz 3.3GHz 3.2GHz
TDP 220W 220W 125W 125W 125W 95W 95W
市場予想価格 229.99ドル 210.99ドル 199.99ドル 179.99ドル 146.99ドル 199.99ドル 146.99ドル

 

FX-8370は、上位SKUとなるFX-9590/FX-9370とFX-8350の間を埋めるSKUになる。最大の特徴は、上位SKUとなるFX-9590/FX-9370がTDPが220Wとなるのに対して、FX-8370はTDPが125Wに留まっている。ベースクロックは4GHzとFX-8350と同じだが、ターボモード時のクロックは最大で4.3GHzとなっており、ターボモードが有効に効くような環境で効果を発揮する。

FX-8370は、FX-9590などに比べて安価に設定されているが、引き続き高性能を実現している
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これに対してFX-8370E、FX-8320Eは、それぞれ既存製品であるFX-8370、FX-8320のTDPが低いバージョンとして設定されており、TDPは95Wとなっているのが最大の特徴となる。これに合わせてベースクロックは8370Eが3.3GHz(8370は4GHz)、8320Eは3.2GHz(8320は3.5GHz)と下げられているが、ターボモード時の上限クロックは同じに設定されている。通常利用時のTDPをできるだけ下げたいというニーズに応えるのがこの2つの製品ということになる。

FX-8370EとFX-8320Eの最大の特徴はTDPが95Wであること
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このように、今回発表された3製品は、完全な新アーキテクチャというよりは、従来製品の新SKU追加といった側面が強い。すでに990FXや970などのチップセットを搭載したSocket AM3+のマザーボードを持っているユーザーやこれから購入するユーザーで、より低いTDPのCPUが欲しいというユーザーなどにはお勧めと言えるだろう。

・記事掲載時点でのドスパラ通販販売価格
AMD FX-8370:23,730円(税込)
AMD FX-8370E:23,730円(税込)
AMD FX-8320E:17,474円(税込)

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