LGの34インチゲーミング液晶ディスプレイ「34UM67」レビュー~AMD FreeSync対応で快適なゲーム環境を実現

LGが3月18日に発表した「34UM67」は、21:9のワイド液晶を採用した34インチの大型液晶ディスプレイだ。独特な比率のディスプレイ部も印象的だが、本製品は国内で初めて「AMD FreeSync」に対応することも大きな特徴となっている。

・LGのゲーマー向け液晶ディスプレイ「34UM67」

「34UM67」は液晶パネルとして非光沢のAH-IPSを採用し、解像度は2,560×1,080ドット。解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)に横幅640ドットをプラスして、21:9の超ワイド液晶ディスプレイとなっている。実際製品を目の前にしてみると、21:9かつ34インチというのはかなりのインパクトがある。正面に対するとほぼ使用者の視界を覆って広がっているようなイメージだ。視野角は上下左右とも178度で、斜めから画面を見ても色変化はほとんど感じない。左右の幅が広いと中央から画面の端を見た場合の色変化も気になるところだが、本製品に関してはそうした問題は感じなかった。

LG「34UM67」
LG「34UM67」

画面の比率は21:9で横に長いデザインとなっている
画面の比率は21:9で横に長いデザインとなっている

スタンドは上下に傾けることができる。回転機構などはない
スタンドは上下に傾けることができる。回転機構などはない

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背面はピアノブラック調
背面はピアノブラック調

付属のディスプレイスタンドは高さ調節は取り付け時に2段階から選ぶというシンプルなもの。VESAマウントにも対応するので別途ディスプレイアームなどを使用することもできる。

ディスプレイスタンドは透明アクリルを使用している
ディスプレイスタンドは透明アクリルを使用している

高さ調整はネジの取り付け位置で行う
高さ調整はネジの取り付け位置で行う

インターフェイス類
インターフェイス類

スピーカーは7W×2のステレオスピーカーを内蔵しており、HDMIやDisplayPortで接続すれば音声も手軽に出力できる。

ディスプレイの設定は本体下部のジョイスティックによってOSD上で行う。このジョイスティックは電源ボタンも兼ねており、電源オフの状態で押下すると電源オン、電源オン時に押下するとOSDが表示され方向キーによって各種設定を行うようになっている。

ディスプレイ下部にあるジョイスティック
ディスプレイ下部にあるジョイスティック

電源投入時にLEDが点灯する
電源投入時にLEDが点灯する

ジョイスティックを押すとOSDが表示される
ジョイスティックを押すとOSDが表示される

OSDを表示していない状態で左右に倒すとボリュームコントロールができる
OSDを表示していない状態で左右に倒すとボリュームコントロールができる



解像度 2,560×1,080
アスペクト比 21:9
輝度 300 cd/平方メートル
コントラスト比 1,000:1
応答速度 5ms(GTG)
視野角 (左右/上下) 178/178度
色域 sRGB 99%
表示色 約1,677万色(8bits)
ピクセルピッチ 0.312×0.310mm
走査周波数 水平:30~90kHz、垂直:56~75Hz(HDMI AV 56~61Hz)
本体サイズ スタンドあり:830×469×173mm(幅×奥行き×高さ)、重量7.3kg。スタンドなし:830×380×83mm(同)、重量6.3kg

その他にも、信号をビデオカードから直接出力することで画面描写を速くする「DAS (Dynamic Action Sync)」モードや、ゲーム中の暗い部分を明るく表示する「ブラックスタビライザー」、ゲームの種類に応じて画面の明るさや描画速度などを調整する「ゲーミングモード」なども備えている。

プレイするゲームに合わせた設定ができる
プレイするゲームに合わせた設定ができる

・国内で初めて「AMD FreeSync」に対応する液晶ディスプレイ

本製品の最大の特徴はAMDの「FreeSync」技術に日本国内で販売される製品として初対応したという点だ。FreeSyncとはPCゲームを快適にプレイするための仕組みで、対応GPUやAPUを使うことでゲーム描写をなめらかにできる。

ではその「なめらかに」というのは具体的に何をしているのか。通常、液晶ディスプレイは「リフレッシュレート」と呼ばれる周波数単位で画面が更新されている。たとえば垂直周波数60Hzでは、毎秒60回という間隔で液晶画面が更新され、これは常に一定だ。一見同じ画像を表示し続けて止まっているように見えるWindwosの画面でも液晶側は常にリフレッシュレートに基づいて画面を更新している。その様子が肉眼では確認しにくいだけだ。

対して、PCゲームなどでは「フレームレート」と呼ばれる単位で画面が更新され、液晶ディスプレイに送られる。単位としてはfps(Frame Per Second)と表記され、1秒間に何回画面を更新しているか、という目安になっている。例えば60fpsであれば、PC上では1秒間に60回画面を更新しているということだ。

ところが液晶ディスプレイのリフレッシュレートと異なり、これはゲームのシーンによって速くも遅くもなる。描写するオブジェクトが多い重いシーンでは30fps、場合によってはそれ以下にもなるし逆に軽いシーンでは120fpsを超える場合もある。ゲーム中のfpsは常に変動し続けるのが一般的だ。

しかし、PC側からの映像出力が30fpsだろうと120fpsだろうと液晶ディスプレイ側はPC側の事情に関係なく設定されたリフレッシュレートの頻度で画面を更新している。ここに「ずれ」が発生する。こうした「ずれ」によって、描画画面が横に分断されたような描写になる「テアリング」や、ゲーム中の「カクつき」の原因となる「スタッタリング」という現象が発生するのだ。

テアリングとは、例えば60分の1秒の間に、PC側から新しい画面が送信されてしまい、古い画面と新しい画面が混ざって表示されてしまう状態のことだ。紙芝居の絵を途中まで引き出したところで止めているようなイメージに近いかもしれない。この状態だと液晶ディスプレイ上では新旧画面がまざり画面が上下に分断されているように見えてしまう。PC側と液晶側で表示タイミングが同期していないことから発生する問題だ。

テアリングの例。1フレーム前の画像に新しいフレームが混ざって表示されてしまい画像がずれているように見える
テアリングの例。1フレーム前の画像に新しいフレームが混ざって表示されてしまい画像がずれているように見える

実際、ゲーム中にこれが発生すると人間の目には画面上に不自然な横ラインが発生しているように見えることがある。だが、ゲームの画面自体は比較的プレイヤーの意図通りに動くためプレイ中の違和感は発生しにくい印象になる。一長一短なのだ。

逆に、ゲームによってはリフレッシュレートにゲームの描写を同期させる「V-Sync」と呼ばれる設定を選ぶこともできる。ゲームのオプションなどで任意に設定できることも多いが、この設定にすると液晶画面が60Hzのリフレッシュレートで設定されているのなら、PC側からもリフレッシュレートに合わせたタイミングで規則的に画面を出力しようとするようになる。このためテアリングのように描画途中の画面が液晶ディスプレイ上に表示されることが無くなる。

こう書くと一見問題がなさそうだが、これを設定したからといってPCがタイミング良く毎回60Hzに合わせた画面を常に用意できるようになるわけではない。実際には描画が重いシーンには描画が遅くなるのは変わらないし、リフレッシュレート以下の更新頻度になることも多くなる。

実際、ゲーム中に60分の1秒以上描画に時間がかかったケースが発生すると、描画が遅れた間は次の60分の1秒の間も古い画面をそのまま表示することになるので、その一瞬がカクつきを感じる原因になる。これが「スタッタリング」と呼ばれる現象だ。

スタッタリングの発生イメージ(提供:AMD)
スタッタリングの発生イメージ(提供:AMD)

前置きが長くなってしまったが、こうした現象をすべて解決しようというのがAMDの「FreeSync」技術だ。FreeSnycを使用すると、液晶ディスプレイ側のリフレッシュレートとGPU側のフレームレートが同期されるので、上記のようなズレが発生しなくなる。

ゲーム画面は必ずGPU側の描画が終わってから液晶ディスプレイに表示されるためテアリングは起きないし、V-Syncのように液晶ディスプレイ側の都合で描画が遅れることはなく、GPU側で描画が終わった段階で即表示ができる。これによって安定して滑らかなゲーミング体験を実現しようという技術だ。

FreeSyncの動作イメージ
FreeSyncの動作イメージ(提供:AMD)

・FreeSyncを導入するには

前置きの理屈はややこしいが、FreeSyncを実現するための準備はシンプルだ。必要機材はFreeSync対応のAMD製GPUまたはAPUと対応ディスプレイ、そして対応ドライバがあればよい。APUはビデオ機能がFreeSyncに対応しているということなので、GPUを導入しないでゲームを遊ぶ場合にも使うことができる。逆に、対応GPUを持っていればIntel製CPUでも問題なく動くので選択範囲は広くなるだろう。

対応CPUやAPUは下記のとおりだ。

【グラフィックスカード】
AMD Radeon R9 295X2
AMD Radeon R9 290X
AMD Radeon R9 290
AMD Radeon R9 285
AMD Radeon R7 260X
AMD Radeon R7 260

【プロセッサ】
AMD A10-7850K
AMD A10-7800
AMD A10-7700K
AMD A8-7600
AMD A6-7400K

機材がそろったら、通常通りPCと液晶ディスプレイをつなげばよい。FreeSyncは現時点ではDisplayPort対応機能であるのでPCとの接続はDisplayPortケーブルで行う。PCを起動し、対応ドライバをインストールする。今回はGPU用にAMDから提供されたCatalyst 15.3.1Betaをインストールして使用した。対応ドライバがあらかじめインストールされていれば、34UM67をつないでOSを起動した段階で、設定を促すダイアログが表示されるのでそこから設定項目を開いてもいい。

ディスプレイ側のOSDを開き設定を有効にして、Catalyst上で「FreeSync」の項目も有効する。これでFreeSyncは使用可能だ。あとはゲーム内の設定に「V-Sync」の設定がある場合はこれもオンにしておくことをAMDでは推奨している。

FreeSyncの設定メニューを開く
ディスプレイ側の設定をオンにするためFreeSyncの設定メニューを開く

標準ではオフになっているのでオンにしておく
標準ではオフになっているのでオンにしておく

対応ドライバがインストールされていると表示されるダイアログ
対応ドライバがインストールされていると表示されるダイアログ

FreeSyncの設定をEnableにする
FreeSyncの設定をEnableにする

・FreeSyncの効果は?

まずはAMDから提供されたデモ「Windmill」でその効果を確認してみた。その名の通り3Dモデルで再現された風車が回る様子を見ながらFreeSyncの挙動を確認できるデモで、リアルタイムでFreeSyncやV-Syncをオン/オフできその効果が大変わかりやすい。

実際にFreeSyncをオフにすると、V-Syncがオンの状態ではわずかだが風車が時々引っかかるような挙動を見せる。またV-Syncをオフにすると、風車の羽が所々ギザギザと断絶されているように見え、まさに「テアリング」状態であることが素人目にも分かるレベルだった。

そこで改めてFreeSyncをオンにするとこれがピタっと安定する。まず目に見えてテアリングの症状は消え、カメラが素早く移動するようなシーンでも引っかかるような印象はなく、スムーズに動くのが分かる。このあたりは動画でも確認できるので下記を参考にしてほしい。

https://www.youtube.com/watch?v=dCCWtwiI9Rk
V-Syncをオフにした状態。画面が乱れるのが確認できる

https://www.youtube.com/watch?v=CHdoMSRBCH8
V-Syncをオンにした状態。実際にみると所々で引っかかるような動きをするのだが撮影が29fps相当のためわかりにくいため参考程度に

https://www.youtube.com/watch?v=DR_KHEeu0qc
FreeSyncをオンにした状態。実際にみるとV-Syncオンの場合とは明らかに違って滑らかに動くのだが、上記と同じく撮影環境が理想的とは言えないため参考程度に

実際のゲーム内ではどうだろうか。いくつかのFPS(こちらはFirst Person Shooting:一人称視点シューティングの略なのでややこしい)やRTSなど3Dを使ったゲームで試してみた。

正直なところWindmillデモのようにぱっと見でわかりやすい違いを感じるかどうかはゲームタイトルによって異なるという印象だが、実際にFreeSyncをオン/オフしながら比較するとやはりその違いは感じる。

特に違いがわかりやすいのは、木や電柱など、垂直に伸びた3Dモデルがあるシーンで視界を左右に振ったりする場合だ。上記のデモと同じようにFreeSyncオフの状態ではテアリングやスタッタリングが確認できる。オンにするとそれがとたんに収まり、滑らかな描写となる。

特に効果を感じるのは描画が重いシーンでの引っかかり感が低減されているということ。描画が重いことは重いのだがFreeSyncをオンにしている状態だと画面表示とリフレッシュレートのずれが少ない分、滑らかな印象になるのは面白い。

逆に、フレームレートの制限をかけない状態で1,000fps近く出るような描画が軽いゲームでは、単純にfpsを上げたほうがスムーズであるように感じる。このあたりは使い分けていくほうがよさそうだ。

シンプルなゲームでは単純にフレームレートが高いほうが滑らかに感じた
シンプルなゲームでは単純にフレームレートが高いほうが滑らかに感じた

・没入感の高い液晶ディスプレイ

最後にFreeSync以外の使用感についても触れておきたい。本製品はその特徴的な画面比率から、最初の印象ではこれだけ横幅が大きいと画面が広すぎてゲームはプレイしにくいのではないかと思ったのだが、むしろ極端に横長な画面比率のおかげで視界のほとんどを液晶ディスプレイが覆う状態になるため、ゲームへの没入感をかなり高めると感じた。

左右の視界が広いのでゲームの臨場感はいっそう高くなる
左右の視界が広いのでゲームの臨場感はいっそう高くなる

確かに画面が広い分視界の端から端まで目を動かすのは大変ではあるのだが、FPSやRPGなど一人称視点のゲームを実際に遊んでみるとほとんど気にならない。むしろ視野が広い分、通常より広い範囲を索敵できるのでよりゲーム性が高まる印象だ。「視界の端の方で何か動いた」という感覚をより多くのシーンで感じられ、面白い。RTSなどをプレイしても16:9の液晶ディスプレイよりもマップが広く表示されるので全体の把握がしやすいのもメリットだろう。

解像度による表示範囲を確認してみた。これは解像度が1,920×1,080の状態
解像度による表示範囲を確認してみた。これは解像度が1,920×1,080の状態

こちらは2,560×1,080ドットの状態。左右がより広く表示されているのがわかる
こちらは2,560×1,080ドットの状態。左右がより広く表示されているのがわかる

・ゲーマーにお勧めのディスプレイ

LGのFreeSync対応ディスプレイ「34UM67」は、以上のようにゲーマーにとって買って損はない製品だ。独特な横長の34インチ液晶は通常のディスプレイよりも広い範囲の視野をカバーし、ゲームの没入感を高める効果も感じるし、最大の特徴となるFreeSyncはゲーマーにとって特に有効だ。

一般的には最新のゲームタイトルというのは大抵は処理が重いもの。だからといって毎回PCを買い換えるのは厳しい。そうしたときにその重さを感じにくくし、快適なゲームプレイを維持できるというのは、ゲーマー向けのディスプレイとして「いざというときの保険」という意味でも存在意義があるのではないだろうか。

・ドスパラWEBサイト商品ページはこちら
34UM67-P

・ニュースリリース
http://www.lg.com/jp/press-releases/20150318-2015lineup-ultrawide
・製品情報
http://www.lg.com/jp/monitor/lg-34UM67-P

レビュー / コラム

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