世界最大の電脳街「深圳」訪問記 -その4 帰路編

前回は、中国にいながらにして日本の某有名ショップに居るかのような錯覚に陥ってしまう「MINISO」についてお伝えしたが、今回はいよいよ最終回として、帰路、旅の顛末についてご報告したい。

早朝、いよいよ帰路に就く。とくに何も無ければ、来た道を逆に戻るだけなので、蛇口のフェリーターミナルまでは非常に順調だった(もっとも、地下鉄での移動だけなら障害になる要素はほとんど考えられないのだが)。問題は蛇口のフェリーターミナルで起きたのだ。往路と比較して、明らかに人の数が多いのである。フェリーターミナル構内から人が溢れている。一抹の不安を感じつつ、フェリーのチケット売り場に向かったのだが、乗船を予定していた10:00蛇口発、10:30香港国際空港着の便名が掲示されていない。19:30発以降の便が表示されているだけだった。チケット売り場のスタッフに聞くと、19:30発の便まですべて売り切れとのこと。この時点で午前9時過ぎであり、予定通り飛行機に乗れるかどうか、かなり危い状況にあった。だとしても、とにかくも香港国際空港に移動しなくてはならない。

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ホテルの窓から見える早朝の深圳の街並み。今回はこれで見納めに

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蛇口のフェリーターミナル。到着時点ではこれから起こる事態を把握していなかった。画像右がターミナル入口になるのだが、入れない人々が溢れ始めていた

チケット売り場のスタッフにどうしたらよいのか尋ねると、フライトは何時なのだと聞いてくる。12時過ぎの便であることを伝えると、今ならタクシーが一番確実だろうという。簡単に行き先含めた案内状を中国語で書いて、渡してくれた。これをタクシー乗り場のスタッフに見せれば分かるだろうという。お礼を言いつつ、急ぎフェリーターミナル内のタクシー乗り場(カウンター)に向かい、案内状を見せる。このタクシーカウンターから香港国際空港までは定額制で前払いだ。料金は1台700元(約14,000円)、地下鉄がここまで7元だったことを考えるといかにも高額(100倍!)だ。さてどうしたものかと考えた。11時過ぎには香港国際空港に到着している必要があるので2時間ほどしか猶予は無い。深圳の地下鉄で蛇口から羅湖まで移動すると、ホテルから蛇口までと、ほぼ同じ時間(約50分強)かかるはず。そこから羅湖のイミグレーション通過に1時間ぐらいかかると想定して、香港側の地下鉄で40分ほど移動、空港までのエアポート・エクスプレスが約20分ほどか、などと考えて見ると、地下鉄経由ではどうしても間に合いそうに無い。バスもあるが、車の場合、総合的にはタクシーの方が早いかと考えた。仕方がないので、タクシーに乗ることに決め、料金を支払うと、案内係のスタッフが猛烈にダッシュ。どうやら同じくフェリーに乗れなかった人々がタクシーに流れ込んで来ているようだ。200~300mほど走り、何とか車を確保できた。

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フェリーターミナルの入口をさらに右方向に進むとチケット売り場が見えてくる

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チケット売り場内部。この電光掲示板を見て愕然としたのだった・・

乗車できたのは良いが、深圳湾口岸のイミグレーションを通過するまでに、とにかく時間がかかってしまった。タクシーなど車両で通過する場合は、車内からパスポートを提示するだけで良く楽ではあるのだが、中国側からの出国と、香港側への入国と、それぞれに丸々1時間程度も要してしまった。これに加え、実際の移動時間もトータルで1時間程度はかかるので、合計3時間ほどは費やしてしまったかたちだ。なお、この前後の写真がないのは、イミグレーションが基本的に撮影不可なためである。結局、香港国際空港には、正午頃、飛行機の離陸時間の10分ほど前に到着できたが、当然のように既にチェックインゲートは閉じられており、乗り過ごす結果となってしまった。

緊急事態のように思われるかもしれないが(いや、確かに緊急事態ではあるのだが)、筆者はいつもぎりぎりのスケジュールで移動してしまう傾向があり、国際線でも飛行機に乗り遅れた経験が初めてではなく、お恥ずかしい話なのだけれども、もうこれで数度目の乗り過ごし・・という感じになってしまうのだった。空港に到着した後の対応も想像がつくところがあるので、筆者としては、それなりに淡々と事態は進行した。ポジティブに言うと過去の忌まわしい経験が役に立っているともいえるかも知れない。もっとも、いつもこれを最後にしたいと思ってはいるのだが・・

結論から言うと、対応は、航空会社によっても、購入しているチケットの種類によっても大きく異なる。大手航空会社を正規料金で購入している場合などは、機械的にキャンセル処理され、次便の空き待ちになっていくと聞く(筆者は格安料金がほとんどなので、実体験としては分からないのだが)。今回の帰路は、これもLCCのひとつ、HK Expressで予定していたのだが、空港のカウンターに行って問い合わせ、相談してみるしかないと考えていた。前述のように時間超過でチェックインゲートは閉じられてしまっていたが、まだ残っていたスタッフにどうしたらよいか尋ねると、端末で調べてくれた。今日の状況だと、当日便を購入できる可能性が最も高いのはANA(全日空)だろうという。便名などを記述して渡してくれ、ANAのカウンターに行くことを勧められた。お礼を言いつつ移動開始。HK ExpressをはじめとするLCCの多くは香港国際空港のターミナル2にあるので、ターミナル1に移動し、ANAのカウンターに向かう。今日これから搭乗可能な便があるか聞いてみると、13:30にならないと正確には分からないが、おそらく大丈夫だろうという。航空券の料金は5,300香港ドルほど(約84,800円)とのことだった。こうした万一の場合に備えてSkyscannerなどのアプリをスマートフォンにインストールしておくと良いと思う。今回もSkyscannerで一通り調べてみたのだが、LCCを含めても7,000香港ドルを大きく超えて、10,000香港ドルを超えてしまう便も見られる状況だった。結局、ANAの窓口で紹介されたものより安価な便は見つからず、到着時間、料金ともこれ以上のものは無いと考えて、このままANAでお願いすることにした。

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Skyscannerの検索画面。記事掲載日の検索状況だが、このように片道(One way)の検索も普通に可能

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これが検索結果。緑色の「Select」から航空会社の決済画面に遷移し、そのまま購入することが可能だ(前述の通り、筆者はANAの窓口購入としたが)。記事掲載日の最安値は、平日ということもありHK$1,125(約18,000円)と見えるのが筆者としてはかなり悲しい

このあたりまで対応を進めて、やっと落ち着ける状態となった。改めて周囲を見渡してみると、香港国際空港の構内はかなり厳重な警備体制を敷いているようだった。5~6人の警備チームが、サブマシンガンを肩掛けではなく、前方に構えて空港内を巡回していた。中東の情勢がここにも影響を与えているのか、軍、警察関係者を基本的に写真に映らないように配慮すると、空港内の写真撮影もだいぶ憚られる感じだった。その後、13:30にカウンターを再訪問して、搭乗決定、発券へ。かなり想定外の出費が重なってしまったが、あとは流れに沿って帰国するだけとなる。

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香港国際空港のANAカウンター。画像奥の対応要員の方々には大変お世話になった

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帰国便を確保、やっと一安心。今回は帰路で大きく予定から離れてしまったが、ぜひ次回は往路・帰路とも完全なレポートをお届けしたい

最後の最後に、成田空港に到着してからひとつ事件があった。筆者の手荷物を、目を離した隙に持っていこうとする人がいるではないか。言葉や持ち物から見ると、30歳前後の日本人男性のようだった。荷物から手を離したら所有権が無くなる、というのは世界標準的ではあるかもしれないけれども、なにも成田空港でそれを実践しなくとも・・と思ってしまった。声をかけると、急速に遠ざかっていった。旅のなかで、深圳・香港の方々に大変お世話になり、とくに帰路において現地の方々が旅行者(筆者)のトラブル解決に奮闘する姿を見てきただけに、帰国してこのような事件に遭遇するのは、複雑な気持ちではあった。

さて、4回に渡ってお付き合い頂いた深圳訪問記もこれで終了である。大きな流れとしては、とくに東アジアにおいては、地域内のサービスの平準化が時間とともにかなり進行してきていると感じる。現地で問題が生じても、それなりに何とかはなる状況だろうと思うし、日本の電気街からは想像もつかない巨大な規模の電気街(電脳街)は一見の価値があると思う。読者の皆さんも、ぜひ深圳の電脳街に一度足を運んでみてはいかがだろうか。(時間にだけは、余裕を持って行動するようにしよう!)

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