新しい「GALLERIA S9」シリーズ用ケース……これはイイ感じに愛でられる変態だ Text by 林佑樹

小さくてもハイスペック環境をキープできるGALLERIAシリーズの新ケース。現時点では、「GALLERIA S9」シリーズに採用されており、スリム型PCケースながら、GTX980を搭載可能と謳っている。気になって製品写真を見た人もいると思うのだが、幅10.5cm×高さ38.2cm×奥行き35cmのスリムタイプで、幅の値を見てもわかるように従来のイメージでは、グラフィックボードを搭載していないと思ってしまうが……構成を見ると、GeForce GTX 750/960/970/980を搭載するラインナップが用意されている。詳しくはドスパラサイトを見て貰うとして、今回は実際の使い勝手などをチェックするまえに、新ケースの中身やいいところをチェックしていこう。

「GALLERIA S9」シリーズに採用された「KTCケース」
「GALLERIA S9」シリーズに採用された「KTCケース」

後方から
後方から

横置きにも対応
横置きにも対応

GALLERIA XTなどに採用されているATXケース(右側)との比較
GALLERIA XTなどに採用されているATXケース(右側)との比較

まずフロントを見ると、電源ボタンがあり、その下にRESET、SD/microSDカードスロット、USB 3.0×2、マイク端子、ヘッドフォン端子がある。またスリムタイプの光学ドライブにもアクセスできる。次に背面にはUSB 3.0×4、USB 2.0×2、PS/2×1、HDMI出力(内蔵グラフィックス)、有線LAN、サウンド端子、Wi-Fi用アンテナ端子があると、これも普通なのだが、グラフィックボードもバックパネルと同じく縦に向いており、従来のイメージからすると、違和感を覚えるハズだ。この点は後述する。

次に両サイドを見ると、吸排気口が大きく配置されている。左側面の場合はなぜかグラフィックボードのファンが丸見えの状態になっており、マザーがどうなっているか気になる人もいるハズだが、これも後述する。次に下部にある吸排気口は電源用で、右側面にはCPU用の排熱口がある。まず外見からするとスリム型ながらエアフローをしっかりと考慮したものだとわかるハズだ。


スリムなケースなのに、意表を突いた向きでグラフィックボードが接続されているのが、なによりの特長だといえる


幅10.5cmながらゲーミングPCとしての素養を満たしている

では右側面パネルを開けてみよう。大半のタワー側ケースは左側面パネルを主に開くことになるが、本機の場合は右側面だ。まず気をつけるべきことは、CPU排熱用の12cmファンの電源ケーブルにテンションをかけないことだ。勢いよく開くと、12cmファン用の電源ケーブルが断線する可能性がある。右側面パネルを外すと、スリムケースながら2ブロック構造だとわかる。厳密にはケーブルを上手く壁にして、CPUとGPU、電源の3ブロック構造を実現しているが、明確な区切りとしてはCPU・電源とGPU間だ。先に拡張性を見ると、2.5インチシャドウベイ×1にはアクセスしやすく、自分で増設する場合は、3.5インチベイしかないため、慣れをそれほど問われないと思われる。

右側面パネルにある12cmファン用の電源ケーブルがあるため、慎重に開けよう。またこの写真でブロック構造がよくわかるハズ。ケース内上部のカバー裏にグラフィックボードがある
右側面パネルにある12cmファン用の電源ケーブルがあるため、慎重に開けよう。またこの写真でブロック構造がよくわかるハズ。ケース内上部のカバー裏にグラフィックボードがある


入手して中身を弄ろうとおもった場合、要所要所でメモ撮影をしておいたほうがいい。とくに赤線で囲っている部分は、どうもグラフィックボードごとで位置が異なるようなので、忘れると起動しない祭りに突入する可能性が高い

背面はグラフィックボードの向きに違和感を覚えるくらいで、あとは特筆すべき点はない
背面はグラフィックボードの向きに違和感を覚えるくらいで、あとは特筆すべき点はない

気になるのはマザーボードとグラフィックボードの向きが本来あるべき向きではないことだ。これは分解していくと答えがわかる。分解については基本ネジを外していくだけでいいが、組み直す場合はだいぶ難解かつ慎重になる必要がある部分があるため、自作PCに自信のある人以外はうかつに手を出さないほうがいい。

なぜかというと、グラフィックボードはエアフロー確保のためにフタがされているのに加えて、向きを変更するために「延ライザーカード」をふたつ使用している。次に、決められた位置にグラフィックボード用のスペーサーがあり、これがないと接触不良でグラフィックボードを認識しない。

またスペーサーにはクッション用と思われるゴム脚があるのだが、スペーサーの高さをしっかりと設定しないと、そのゴム脚がグラフィックボードの基板に触れてしまい、これもグラフィックボードを認識しない状態になりやすい。

イメージとしては、パワーユーザー向けのスリムケースで、ケース単体で見ると、自作PC好きにはなかなか楽しいケースだともいえる。

とりあえず、カバー上で発見したネジを外していけばいい
とりあえず、カバー上で発見したネジを外していけばいい

SSDを外したところにもネジがひとつある
SSDを外したところにもネジがひとつある

配置順としては写真のようになっている
配置順としては写真のようになっている

さらに引っ張り出すとライザーカードを視認できる。一見、L字型のライザーカードに見えるが、もうひとつライザーカードを挟んで端子の長さを稼いでいる
さらに引っ張り出すとライザーカードを視認できる。一見、L字型のライザーカードに見えるが、もうひとつライザーカードを挟んで端子の長さを稼いでいる

ライザーカードを詳しく見てみよう。ライザーカードをふたつ使用して、グラフィックボードの向きを変更するといった力技はBTOのPCとしては珍しく、また自作PCくささが炸裂している。

写真を見てもわかるように、SILVERSTONEとプリントされているのだが、SILVERSTONEサイト上に該当する製品はナシ。型番を調べてみたところ、SHENZHEN XINKE COMPUTER TECHNOLOGYの「LKF305」と「CLKF393」だとわかった(LKF305については、ややレイアウトが異なるが基板上の型番から同一のものと判断している)。いずれもPCI Express x16 to PCI Express x16のものだ。

後日お送りするベンチマークなどのテストでも、とくにパフォーマンスダウンは発覚していないため、ライザーカードの複数利用によるグラフィックボードの向き変更は自作PCでも使えそうなテクだといえるだろう。というか、担当者になぜこんな変態的な仕様を思いついたのか、ちょっと聞いてみたい。

と書いてきたが、SILVERSTONEから「RVZ01」というケースが登場していたことを思い出した。仕様としては、GALLERIA S9と同じであり、時系列的にみると、RVZ01の後継機であるFTZ01のカスタムケースが、GALLERIA S9のケースのようだ。であれば、上記のライザーカードもFTZ01に同梱されているものと思われる。


グラフィックボードとライザーカード×2。分解してみると、清々しいくらいの力技を炸裂させていると体感できるだろう

SILVERSTONEの名前がプリントされているが、同社製品一覧に該当する製品はない。E200704の文字から、SHENZHEN XINKE COMPUTER TECHNOLOGYのLKF305がベースで、FTZ01に同梱されているものと同じだろうか
SILVERSTONEの名前がプリントされているが、同社製品一覧に該当する製品はない。E200704の文字から、SHENZHEN XINKE COMPUTER TECHNOLOGYのLKF305がベースで、FTZ01に同梱されているものと同じだろうか

長さを稼ぐために用意されているライザーカードは、HENZHEN XINKE COMPUTER TECHNOLOGY CLKF393
長さを稼ぐために用意されているライザーカードは、HENZHEN XINKE COMPUTER TECHNOLOGY CLKF393


トラップ率が高いスペーサー。両内側にゴム脚があるため、グラフィックボードを挟むものと思ってしまうが、そうではない。端子側は触れないようにしつつ高さを合わせることが肝要で、その高さが少しでも低いと起動時にグラフィックボードを認識しない


SSDやOptical Driveをマウントできるカバー。グラフィックボードとライザーカードを固定するための機能も用意されている

ケーブル配線がシビアすぎて、HDDの下にある電源を引っ張り出すことは断念した。電源はSILVERSTONEの「SST-SX600-G」。600Wの静音電源で80PLUS GOLDに対応する
ケーブル配線がシビアすぎて、HDDの下にある電源を引っ張り出すことは断念した。電源はSILVERSTONEの「SST-SX600-G」。600Wの静音電源で80PLUS GOLDに対応する

というようにスリムな見た目とは裏腹にエアフローも確保とは、とてもゲーミングPC的なケースだといえる。ハイスペックを詰め込みつつ、小型化を実現するため、ライザーカードを使用する渋いテクも炸裂している点もユニーク。

ユーザー側で増設できるのは、2.5インチストレージくらいなものだが、スペース的には大型のグラフィックボードに換装したり、きわどそうだが、簡易水冷を組み込むことも可能だと思われる。とくに中身を弄らない場合は、置き場所に困りにくいながらもパワーのあるPCという認識になるだろう。

ゲーミングPC=巨大というフォーマットを上手く崩していいるため、パワーのある環境でありつつ、置き場所は賢く済ませたいのであれば、GALLERIA S9シリーズはちょうど良いといえるだろう。次回は性能方面をチェックする。

・製品情報
GALLERIA S9シリーズ

レビュー / コラム

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