防衛用ロボットカーやCBRN対策重機、水中ロボットなど~防衛技術シンポジウム2014開催中

11月11日と12日の日程で、「防衛省・自衛隊60周年 防衛技術シンポジウム2014」が市ヶ谷にて開催中だ。入場料は無料で一般の人でも入場して見学できる。本誌ではロボット関連のセッションと展示について、ざっと紹介する。

手投げ式偵察ロボット。現状では手投げはできず「そっと転がす」くらいとのこと
手投げ式偵察ロボット。現状では手投げはできず「そっと転がす」くらいとのこと

爆発物処理対処ロボット。重さ83kg
爆発物処理対処ロボット。重さ83kg

推進剤を使わず重心調整で移動する「水中グライダー」
推進剤を使わず重心調整で移動する「水中グライダー」

防毒マスク開発用の「呼吸マネキン」
防毒マスク開発用の「呼吸マネキン」

軽量戦闘車両用インホイールモーター。約15t程度の車両に用いる
軽量戦闘車両用インホイールモーター。約15t程度の車両に用いる

・防衛用ロボット技術の今後

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これまでの防衛技術研究本部によるロボット開発

ロボット技術セッションはまず、「技術研究本部のロボット技術 その過去、現在、未来」と題して先進技術推進センター総括研究管理官の原嶋昭治氏が講演して、ざっと概要を紹介した。

まず原嶋氏は「これまでのロボットを取り巻く環境は実用化の観点では十分ではなかったが、福島第一原発事故を境に大きく変わった」と、現在の政府その他の取り組みを紹介。一方、米国では産業界と軍が協力しているとして「DARPAロボティクスチャレンジ」を紹介した。

軍事ロボットには山岳地や傾斜地での移動技術、バランス制御技術、各種センサー情報を複合させて活用する爆発物検出技術、電磁攻撃で一部機器が損壊しても、それでも有効に働ける能力が必要であり、民間技術よりも高度な性能が必要とされるという。今後のロボットへの要求と対応の方向性としては、自衛隊任務の多様化、複雑化、危険・困難化が進行しており、ゼロカジュアルティ装備の追求が必要だとした。具体的にはソフトウェア・ハードウェアのモジュール化および階層化によって、連続的な研究開発や他機関との連携が容易になると考えており、ミドルウェアとしてOpenRTMやROSを採用することも想定しているという。

防衛ロボットに求められるスペック
防衛ロボットに求められるスペック

これらのロボットをどのような場面で活用するのか。原嶋氏は大規模災害、水中・空中での長時間偵察監視、10km四方程度の中域偵察監視、テロやゲリラなどへの対応を挙げた。これらのロボットを開発するためのロードマップも挙げて、各種技術開発に取り組むという。自律、相互運用性の向上を図り、シームレスに陸海空で複数のロボットを活用できることを目指す。

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ロボット使用が想定される状況
ロボット使用が想定される状況

・防衛用ロボットカー

防衛用ロボットカーの開発
防衛用ロボットカーの開発

次に「陸上無人機の研究 多様な任務に対応するための防衛用ロボットカー技術」と題し先進技術推進センター研究管理官(ヒューマン・ロボット融合技術担当)付の山田隆基氏が講演した。防衛技術本部では危険な状況で無人走行可能な防衛用ロボットカーの開発を行っている。自律機能と遠隔操縦機能とを組み合わせることで自衛隊に適した運用形態の実現を目指しているという。これまでに研究開発していたゴムクローラーを付けたロボット技術と、路面形状を計測する技術や自己位置推定、民生分野における自動運転技術などを導入して、2009年~2013年に陸上無人機を試作して試験を行ってきた。

ロボットカーでは遠隔操縦、自律走行、両者のコンビネーション方式の3種類から運転方式を選択して操ることができる。市街地訓練場や草地などで性能を確認でき、連続20kmの自律走行にも成功したという。また近赤外光ライトを使うことで夜間でもヘッドライトを消した状態で走行できるため、警戒任務にも応用できる可能性があるという。河を渡るなど自律化がまだ及ばない環境では遠隔操縦で運転を行う。今後は悪天候への対応、移動する障害物のなかでの効率的な移動について研究を進めるとのことだ。

陸上無人機の概要
陸上無人機の概要

環境認識機能を持つ
環境認識機能を持つ

遠隔操縦と自律走行を組み合わせた試験を行っている
遠隔操縦と自律走行を組み合わせた試験を行っている

・CBRN対応遠隔操縦作業車両

排土装置搭載時(模型)
排土装置搭載時(模型)

「CBRN対応遠隔操縦作業車両システムの研究」については、陸上装備研究所システム研究部の重松康祐氏が講演した。CBRNは化学(Chemical)、生物(Biological)、放射性物質(Radiological)、核(Nuclear)の略称。人の立ち入れない場所で活動するCBRN対応車両は車両質量約30トンの大型車両で、油圧アーム装置、あるいは排土装置をつけて運用する。除染などの任務にあたる予定だ。自衛隊が保有している車両あるいは民生用の車両にシステムを付加している。またユーザーとなる部隊と共同で最初から開発を行っているという。

この車両以外にも中継用の車両があり、それらの開発も行っている。今後の基本性能の試験実施予定や今後の予定などについても紹介された。雲仙普賢岳では無人建設機械による砂防ダム建設が行われているが、そのような現場や、産業競争力懇談会の提言により政府内で設置検討されている「災害対応ロボットセンター」でもテストを行うことを検討しているという。

油圧バケット装置搭載時(模型)
油圧バケット装置搭載時(模型)

遠隔操作車両だが人間が乗り込むことも可能
遠隔操作車両だが人間が乗り込むことも可能

試作作業車両の仕様
試作作業車両の仕様

中継機ユニットの仕様
中継機ユニットの仕様

試験の様子

試験の様子

・水中ロボットと水上ロボットの連携

システム概要
システム概要

最後は艦艇装備研究所システム研究部の鈴木尚也氏による「UUVとUSVの連携技術」に関する講演が行われた。水中ロボットであるUUVは電波の届かない環境で用いられるため(音響通信が使われる)、独自の問題がある。また自衛隊の場合は、海洋観測用のUUVに比べるとリアルタイム性が求められる。そこで音響通信可能な位置でUSV(水上無人機)とUUVを並走させることで、この2つの問題の解決を試みたというものだ。

USVにはGPSや母船とのデータ通信を行うインマルサットアンテナを搭載。この船をUUVの上を走らせて、随時通信することができれば、位置問題と通信問題をクリアできる。実際に4段階の試験を行うことで、性能を確認することができたという。

USVとUUVの併走で課題解決へ
USVとUUVの併走で課題解決へ

UUVとUSVの仕様
UUVとUSVの仕様

海底に沈めた目標を探索する試験を行った
海底に沈めた目標を探索する試験を行った

・千葉工大・古田氏も講演

このほか、千葉工業大学未来ロボット技術研究センター(fuRo)所長の古田貴之氏は「ロボット技術と未来社会」と題して特別講演を行った。古田氏は「ロボット作りのハードウェアは大変」とこれまでの経験をふまえて紹介。「ロボットの中身は全部共通。我々はそのための各種ユニットを開発している。環境のセンシング技術と制御技術が重要」と述べた。なお、いまは軽量のヒューマノイドを製作中とのことだ。

来年6月5~6日の日程でファイナルが行われる予定の米国「DARPAロボティクスチャレンジ」についてもふれた。千葉工大もNEDO経由で参加して、環境認識技術で貢献する予定だという。

Text by 森山和道

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