NEDO、バイクのようにまたがって乗る電動車いす「NRR」をデンマークで実証実験開始

独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は11月4日、電動車いす「NRR(New Robot Rodem)」を開発し、11月よりデンマークで実証実験を開始することを発表した。

実証実験が行われるのはデンマークのコペンハーゲン市とファーボ・ミッドフュン市の介護・福祉施設、高齢者住宅、リハビリセンターなど。11月からそれぞれの施設に10台程度ずつを提供して現場での運用を行いながらデータを収集する。政府は今年3月に行われたデンマークとの首脳会談で「成長とイノベーションのための戦略的パートナーシップの設立に関する共同声明」を発表しており、福祉部門でウェルフェアテクノロジー(ロボットのような支援器具および技術)の具体的な協力を行うことを決定していた。今回の実証実験はこれを受けて実施されるもので、目的は介護従事者の「業務量コスト削減効果実証」。2013年度末~2015年2月末までの事業で事業額は総額2億5100万円。日本の得意なロボット技術を海外のニーズに合わせてカスタマイズし、現地で実際に使っていくことでさらに改良を加え、海外展開とその市場化を促進するのが狙い。

電動車いす「NRR」本体の開発はロボットメーカーの株式会社テムザックが担当。NRRはテムザックが欧州委員会の基準適合マーク「CEマーキング」に適合していることを証明する「CE宣言」済みで、欧州での運用が可能になっている。制御に必要な通信システムは株式会社NTTドコモが担当した。バイクのようにまたがって乗ることができる電動車いすで、シートの位置が高さ640mm~400mmまでの間で可変するのが特徴。車輪は中央の駆動輪と前後にキャスタを装備。駆動輪が車体のほぼ中央にあるため最小限の半径でその場旋回が可能になっている。

電動車いす「NRR」
電動車いす「NRR」

バイクのようにまたがって乗ることができる
バイクのようにまたがって乗ることができる

https://www.youtube.com/watch?v=NSv5s3D-dm0

https://www.youtube.com/watch?v=4WxJavP3Shw

通常の車いすは、ベッドなどから移乗する際、自分の体を持ち上げてから車いすの方向に体をねじる必要があり、場合によっては介護者がそれを手伝う必要があった。NRRは腰掛けた状態から体をねじらずにそのまま前のめりのような姿勢で移乗できるため、利用者、介護者ともに負担が少ないという。移乗時にはベッドや椅子の高さに合わせてシートの高さを調整できるためスムーズに移乗できる。シートは高さを上げていくにつれて後部がややせり上がるため、自然な姿勢で前のめりのような体勢をとれる。また、通常の車いすと違い目線位置が高くなるため、周りから見下ろされるという印象も軽減できる。

実証実験では複数の利用者が予約をして利用するため、1台のNRRを複数の人が共用することになるが、シートの高さや最高速度などの利用者情報はクラウド上に保存し、利用者に合わせた設定が可能になるという。これらの機能によって、実際にどのくらい介護者・要介護者の負担を減らせるかなどを検証していく。

NRRを開発した株式会社テムザック 代表取締役CEOの髙本陽一氏みずから解説を行った
NRRを開発した株式会社テムザック 代表取締役CEOの髙本陽一氏みずから解説を行った

リモコンで手元にNRRを呼び寄せたあと、シートを下げる
リモコンで手元にNRRを呼び寄せたあと、シートを下げる

シートの高さを椅子に合わせる
シートの高さを椅子に合わせる

乗り込んだあとはシート位置を上げて走行状態にする
乗り込んだあとはシート位置を上げて走行状態にする

見守り機能として転倒時やバッテリ残量低下時などの異常事態に自動電話発信やメール送信などをして介護者に知らせる機能も搭載。実証実験が行われるデンマークでは広大な土地を使った介護施設も多く、介護者が遠距離にいる場合があるためこうした機能を搭載した。

車いすの本体サイズは700×986×865mm(幅×奥行き×高さ)、重量は100kg。最高速度は時速6km。操作は本体備え付けのジョイスティックやリモコンで可能。電源は鉛バッテリで稼働時間は8時間。バッテリ充電時間も8時間となっている。

後ろからみたところ。両サイドのハンドルをつかんで乗り込む
後ろからみたところ。両サイドのハンドルをつかんで乗り込む

ハンドル部分
ハンドル部分

パッドに膝を乗せて乗り込む。パッド部分に駆動系は入っておらずフリーで可動する
パッドに膝を乗せて乗り込む。パッド部分に駆動系は入っておらずフリーで可動する

前屈み姿勢で胸を当てるパッド。取り外すこともできる
前屈み姿勢で胸を当てるパッド。取り外すこともできる

通常の車いすと違い駆動輪は中央にあるためその場旋回時の半径は最小限になる
通常の車いすと違い駆動輪は中央にあるためその場旋回時の半径は最小限になる

前後の車輪は自在キャスタになっている
前後の車輪は自在キャスタになっている

付属のAndroid端末で操作。写真は走行時やベッドに横付けする場合などの設定を簡単に呼び出せるメニュー
付属のAndroid端末で操作。写真は走行時やベッドに横付けする場合などの設定を簡単に呼び出せるメニュー

NRRを操作できるリモコン
NRRを操作できるリモコン

利用者が直接操作するジョイスティック部は汎用品を使用している
利用者が直接操作するジョイスティック部は汎用品を使用している

シート部
シート部

一応背もたれも内蔵しているがあまり高い位置にはならない。実際に座ってみた印象では自然に前屈みの姿勢になるのであまり必要性は感じなかった
一応背もたれも内蔵しているがあまり高い位置にはならない。実際に座ってみた印象では自然に前屈みの姿勢になるのであまり必要性は感じなかった

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