DMM.com、ロボットキャリア事業「DMM.make ROBOTS」を開始~高橋智隆氏がエンドーサーに。会見には堀江貴文氏も登場

2015年1月27日、DMM.comは、スマートロボットの市場普及に向け、ロボットキャリア事業に新規参入し「DMM.make ROBOTS」を開始すると発表し、秋葉原にある富士ソフト本社で記者会見を行った。

発表会には、「ロボットクラウドプラットフォーム」の初期参画アライアンスメンバー5社と、同事業のエンドーサーであるロボットクリエーターの高橋智隆氏、ホリエモンことSNS株式会社ファウンダーの堀江貴文氏、ヒューマン・ロボット インタラクションの研究者である首都大学東京の久保田直行教授らが登壇し、ロボット市場の現状と課題、スマートロボットの未来や人間との共存に関して講演した。

初期参画アライアンスメンバー5社と、展開するロボットの内訳は下記のとおり。価格はいずれも税別。

富士ソフト株式会社コミュニケーションロボット「Palmi(パルミー)」販売開始予定5月1日(予約受付4月1日)、価格298,000円

ユカイ工学株式会社コミュニケーションロボット「BOCCO(ボッコ)」販売開始予定5月1日(予約受付4月1日)、価格29,000円

プレンプロジェクト有限会社組み立て二足歩行ロボット「PLEN.D(プレン.ディー)」販売開始予定5月1日(予約受付4月1日)、価格168,000円

ロボットゆうえんちダンスできる二足歩行ロボット「プリメイドAI(プリメイド・アイ)」販売開始予定9月予定、価格99,000円

株式会社デアゴスティーニ・ジャパン「Robi 組立代行バージョン」販売開始予定5月1日(予約受付4月1日)、価格未定

同社がいう「スマートロボット」とは、「ロボット同士がインターネットを通じて繋がり、データ連携することで成長していくロボット」のこと。コミュニケーションロボットやホビーロボットを中心にロボット販売プラットフォームを構築し、ウェブ上で販売していく。IoT環境を構築し、ロボットから行動解析データの蓄積、分析・レコメンド、AI構築を継続的に行っていく。

あわせてロボット製造メーカーやベンチャーなどロボット関連企業を「DMM.make ROBOTS」に集結させる。2014年に開設した「DMM.make AKIBA」と連携させることで、「場所と技術の共有」によるロボット産業の脱ガラパゴス化を図っていく。

■DMMのロボットキャリア事業「DMM.make ROBOTS」の概要

会見では、株式会社DMM.com 代表取締役社長の松栄立也氏が挨拶に立った。松栄氏はまず「DMM.make AKIBA」について紹介。モノを作る人たちを繋げたいと考えて設立したという。


株式会社DMM.com 代表取締役社長 松栄立也氏

DMM.make AKIBA
DMM.make AKIBA

「DMM.make AKIBA」は富士ソフトの建物内にある。その関係で同社のロボットを見て、ロボット事業を始めたいと考えたという。

株式会社DMM.com ロボット事業部 事業部長 岡本康広氏
株式会社DMM.com ロボット事業部 事業部長 岡本康広氏

ロボット事業概要については、株式会社DMM.com ロボット事業部 事業部長の岡本康広氏が紹介した。岡本氏は日本国内のロボット産業市場傾向についてふれ、サービスロボット分野、コンシューマー向けのロボットの比率が今後上がっていくと考えられると述べた。DMMでは、インターネットで相互に繋がっているロボットのことを「スマートロボット」と呼んでいる。


ロボットのコンシューマ市場は急速に成長するという

ロボット産業の課題は「事業化意識の欠如」と「産業技術のガラパゴス化」
ロボット産業の課題は「事業化意識の欠如」と「産業技術のガラパゴス化」

またこれまでのロボット産業の課題について、「事業化意識の欠如」と「産業技術のガラパゴス化」があると挙げた。これらの課題をふまえてDMMはロボットキャリア事業への参入を決めたという。

「DMM.make ROBOTS」事業概要
「DMM.make ROBOTS」事業概要

「DMM.make ROBOTS」は、ケータイ電話事業のキャリアにあたる役割をDMMが担おうというものだ。DMMがキャリア、そしてロボットメーカがベンダーを担うことで、世界に展開していけるのではないかと考えているという。

もう一つは、「DMMロボティクスクラウド」の展開だ。これによってロボットが進化していけると考えていると述べた。クラウドからはアプリやファームウェアのダウンロード、様々な認識処理や課金機能、配送機能などが提供される。DMMの他のコンテンツの活用も可能になる。

DMMが考えるロボットベンダー
DMMが考えるロボットベンダー

DMMが考えるロボットベンダーとは、これまでのコミュニケーションロボットやホビーロボット、掃除ロボット、ドローン、産業用など既存ロボットメーカーのほか、認識技術や制御技術などを持っている企業、そしてベンチャー、スタートアップだという。

DMMの強み
DMMの強み

DMMのロボットキャリア事業には、ロボットのソフトウェアを成長させる「クラウド頭脳プラットフォーム」、そして「DMM.com AKIBA」のような共創の場があること、革新の種が集まることで大きなイノベーションを生み出せる可能性の、3つの優位性と強みがあると岡本氏は述べた。

今後の戦略として、市場認知、産業用ロボットの一般販売、海外のロボットの国内展開や、その逆の国内ロボットの海外展開などグローバル展開も考えていくという。2015年度の年間売り上げ目標は30億円。2017年には100億円の事業へと成長させていくことを目指す。

■初期に展開される5社のロボット

このあと、各社のロボットがそれぞれ紹介された。

5社のロボット
5社のロボット

富士ソフト株式会社 常務執行役員 渋谷正樹氏は、「Palmi(パルミー)」を紹介した。「Palmi」は、同社が介護施設などで展開している「PALRO(パルロ)」のコンシューマ向けモデル。これまでの成果が反映されており、家族の好みに応じたやりとりができるという。


富士ソフト株式会社 常務執行役員 渋谷正樹氏

「Palmi(パルミー)」。ソフトウェアだけではなく、ハードウェアも腕、頭部、つま先、お尻などが「PALRO」とは異なっている
「Palmi(パルミー)」。ソフトウェアだけではなく、ハードウェアも腕、頭部、つま先、お尻などが「PALRO」とは異なっている

ユカイ工学株式会社 CEOの青木俊介氏は「BOCCO(ボッコ)」を紹介。IoTは家族等人間の集団に対してインターネットの窓口になるものだと考えているという。主に子供に使ってもらうことを想定して作られており、ボディには録音と再生のボタンがある。音声を録音してスマホを通じて簡単にメッセージをやりとりすることができる。

ユカイ工学株式会社 CEO 青木俊介氏
ユカイ工学株式会社 CEO 青木俊介氏

「BOCCO(ボッコ)」
「BOCCO(ボッコ)」

プレンプロジェクト有限会社 代表取締役の赤澤夏朗氏は、「PLEN.D(プレン・ディー)」を紹介した。スマホから操作し、ローラースケートなどができる小型二足歩行ロボットだ。8年前にも展開されていたロボットを改良したものである。Kinectを使って人のジェスチャーに合わせて動作することもできる。


プレンプロジェクト有限会社 代表取締役 赤澤夏朗氏

PLEN
PLEN

http://youtu.be/fA_pswPx_Zo

PLEN のデモ

http://youtu.be/vdpmPug8mIY

Kinectを使ったPLENの操作

ロボットゆうえんち 代表の岡本正行氏は、踊るメイドロボット「プリメイドAI(プリメイド・アイ)」を紹介した。試作段階の「プリメイド・ミイ」を今後9月を目標に製品化。少し小型のロボットなる予定だという。また振り付けを行うロボットクリエイターの「GIY」さんが、どんどん振り付けモーションを作って公開していく予定だと述べた。

ロボットゆうえんち 代表 岡本正行氏
ロボットゆうえんち 代表 岡本正行氏

ロボットゆうえんち ロボットクリエイターのGIYさんと「プリメイド・ミイ」
ロボットゆうえんち ロボットクリエイターのGIYさんと「プリメイド・ミイ」

http://youtu.be/ScuyrxvIS7c

「プリメイドAI」の試作ロボット「プリメイド・ミイ」のダンス

もう一つ、特別タイアップとして、株式会社デアゴスティーニ・ジャパン ブランドマネージャーの木村裕人氏は、同社の週刊パートワークでの組み立てロボット「Robi」が、組み立て済み完成版としてDMMの今回の事業で提供されると紹介した。これによって、すぐにRobiと遊べるようになる。

 


株式会社デアゴスティーニ・ジャパン ブランドマネージャー木村裕人氏と「Robi」

Robi
先日第三版の発売がアナウンスされた「Robi」。関連グッズも多数発売されている

今後、この5社以外にも新しいロボットをDMMから販売していきたいと考えているという。

■エンドーサーとして高橋智隆氏も登壇

続けて、株式会社ロボ・ガレージ 代表取締役社長 高橋智隆氏がコメントを述べた。高橋氏はこの事業のエンドーサーを務めている。日本はロボット先進国と言われながら海外に追いつかれ、追い抜かれつつあるのではないかと危機感を抱いていたという。あまり事業化について積極的ではなかったからだ。そのなかでDMMが日本の知恵を集めてやっていこうとすることで日本のロボットが再び加速していけるのではないかと希望を述べた。

株式会社ロボ・ガレージ 代表取締役社長 高橋智隆氏
株式会社ロボ・ガレージ 代表取締役社長 高橋智隆氏

いま世界ではハードウェアスタートアップのブームが起きている。ロボットもベンチャーが活躍できるのではないかと考えられながら、あまりうまくいっていない。ハードウェアにはソフトウェアにはないリスクがあり、投資も必要だからだ。

もう一つの動きはスマートフォンであり、その後を継ぐ何かだ。高橋氏は音声認識機能などを活用するにはスマートフォンよりもロボットのほうがいいと述べ、コミュニケーションパートナーとなり得るのはロボットであると述べた。また、日本が持っている文化と技術両方がその普及には必要であり、やがてロボットがスマートフォンに取って代わり、コミュニケーションに関わる仕事をしてくれるようになるだろうと語った。

また、「キラーハードウェアとなるロボットはiPhoneのように世界でただ一つだろう」とも語り、「みんなが売れてよかったねという話にはならないだろう」とも述べた。ともあれ、その何かを生み出すためには、才能やお金、アイデアが集まる場が必要であり、「DMMがそのリスクも承知で参入したことを歓迎したい」と語った。高橋氏は、最後に「ロボットが1人1台の時代が10年以内に来ることを目指す」と述べて締めくくった。

■将来はホリエロイドも実現? パネルディスカッション

続けてパネルディスカッション形式でロボットの将来について議論が行われた。パネラーは首都大学東京 教授 久保田直行氏、SNS株式会社ファウンダー 堀江貴文氏、富士ソフト渋谷正樹氏、ユカイ工学の青木俊介氏、プレンプロジェクトの赤澤夏朗氏。コーディネーターはDMMの松栄氏と岡本氏。

パネルディスカッションの様子
パネルディスカッションの様子

首都大学東京の久保田直行教授は、ロボットをモーションメディアとして活用したりすることができるスマートロボットの可能性について語った。スマートロボットの役割は、1)支援してくれるパートナー、2)もう1人の自分という2つの役割があると語った。

首都大学東京 久保田直行教授
首都大学東京 久保田直行教授

赤澤氏は、PLEN.Dはとにかく動きにこだわったと述べた。ローラースケートやスケボーにPLENが乗ると、未だに多くの人が驚き、それはコミュニケーションのきっかけになるという。

プレンプロジェクト 赤澤夏朗氏
プレンプロジェクト 赤澤夏朗氏

堀江氏は「そんなに簡単に消費者は変わらない」と述べた。スマートフォンの普及によって部品が安くなり簡単に作れるようになったし、GoogleGlassと同じでアーリーアダプターは買うが、まだ何年も普及にはかかるだろうと語った。

SNS株式会社 堀江貴文氏
SNS株式会社 堀江貴文氏

いっぽう、これはけっこういけるかもと感じたものとして「テレイグジスタンスが意外と最初のキーワードになるんじゃないかと感じた」と述べた。セグウェイの先端にタブレットが着いたような外観の「ダブル」というロボットがあるが、これはタブレットに搭載されたカメラを通して遠隔操作が可能で、頭に相当するタブレットに、遠隔操縦中の人の顔が表示される。普通ならとても人間には見えない外観だが、人の顔がリアルタイムで表示され、それが走っているのをみると「案外、そこに人がいると感じた」という。

堀江氏はさらにソフトバンクの「Pepper」も顔をはがしてタブレットにすればいいのではないかと指摘。また最近は「マツコロイド」などエンターテイメントコンテンツ用途にも展開されている大阪大学の石黒教授らのアンドロイド研究についてもふれ、「俺も『ホリエロイド』を作ってほしい」と述べた。

そして「明確な用途があると、意外と売れる。そういう用途をいかに見つけるかが重要。できました、じゃあ何に使えるのかというところが大事」と指摘した。ロケットも広い意味ではロボットだと語り、ドローンなども攻めたいと考えているという。

久保田氏はその話を受けて、完全自律ロボットではなく半自律ロボットが活用可能なのかもと述べた。生活がどう変わるかという課題については、たとえばスマートロボットが導入されることによる変化として、高齢者の見守りや話相手などを挙げた。

ユカイ工学の青木俊介氏
ユカイ工学の青木俊介氏

IoTとロボットについては青木氏が、IoTを使うとロボット単体にセンサーがなくてもロボットを賢くすることができると述べた。端末自体が安くてもできることが増えているという。またスマホを持たせるには抵抗がある年齢のお子さんに対してサービスを行うのも、ロボットというかたちをとることでサービス提供が可能になると述べた。

富士ソフト 渋谷正樹氏
富士ソフト 渋谷正樹氏

富士ソフトの渋谷氏は、ソフトウェアの視点からスマートロボットについて語り、「コンピューターのインターフェイスが変わってくる」と述べた。「どんな人でもコンピューターをさわれるようになる時代が来る。自動で駐車できる車もスマートロボットだ。そこにコンピュータがあることにすら気づかせない時代が来る」と語り、それは常時センシングと判断によるという。スマートロボットは周囲に溶け込むような存在になるという。

堀江氏は、「スマホの用途にはスマホを使ったほうがいい。スマホの代わりにロボットを使うようにはならない」と述べ、車や無人電車もロボットであり、IoTの正解もロボットではなく、もしかするとロボットの正解はVRなのかもしれないと述べた。実体はセンサーの集合体で、ディスプレイ上のインターフェイスとして見た目がロボットの存在が出てくるようなものだ。またクラウド音声認識の精度向上についても触れた。将来は椅子がそのままロボットになって移動できるようなものが未来の自動車なんじゃないかと述べ、アウトプットはロボットっぽくないもののほうが良いのではないか、「IoT時代のスマロボはバーチャルなんじゃないか」と語った。

dm-0375
物理的なロボットよりもバーチャルなロボットのほうがよいのでは、という持論を展開

会見終了後にはそれぞれのロボットについて実際に触れながら体験する時間が設けられ、多くの記者や関係者たちが歓談した。

dm-1060462

Text by 森山和道

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