大型VRコンテンツが多数展示された「JAPAN VR EXPO 2017」レポート

 日本バーチャルリアリティ学会とVRコンソーシアムが共同主催した「JAPAN VR EXPO 2017」が9月14日(木)~16日(土)までの間開催された。会場は筑波大学エンパワースタジオ。

 研究機関や企業、学生などのハイアマチュアが制作したVRコンテンツを体験できるイベントで入場は無料。大型の設備を使った展示が多く、ここでしか体験できないものもある貴重なイベントだ。

 会場は「先端VRコレクション」、「VRニュービジネスショーケース」、「IVRC2017」の3つに分けられていた。IVRC2017とは「国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト」のことで、学生が企画・制作したインタラクティブ作品の新規性・技術的チャレンジ・体験のインパクトを競うコンテストとして1993年から開催されているもの。会場ではその予選が開催されていた。

 ここでは「先端VRコレクション」、「VRニュービジネスショーケース」で展示されていた作品を中心にレポートしていく。

・BigRobot Mk.1 & Mk.2

 会場入り口で目立っていたのが、筑波大学の岩田洋夫教授、森田大輔氏らによる「BigRobot Mk.1」だ。「5mの巨人の目線で歩くとどんな感じがするのか」というコンセプトで作られたもので実際に人間が5mの高さにある操縦席に乗り込み「歩行」に近い動きを体験する。

 車輪で移動するため実際にロボットが歩くわけではないが巨人が歩くときの体の動きが再現され、前進しながら体が前に傾斜することで巨人の頭部の動きを体験できるものだ。

 BigRobot Mk.1の進化版となる「BigRobot Mk.2」も展示されていた。こちらはさらに大きな8mの巨人を再現しており、股関節の可動部などを新たに追加してよりリアルな動きが可能になったもの。いずれも当然ながらかなり高い位置に体が固定されるので高所恐怖症の方は要注意だ。

身長5mの巨人視点を体験できる「BigRobot Mk.1」

こちらは8mの巨人視点を体験できる「BigRobot Mk.2」。関節部分が増えてより動きがリアルになっているが体験するには覚悟が必要そうだ

・筑波大学バーチャルリアリティ研究室「Big Robot」
http://intron.kz.tsukuba.ac.jp/big-robot

・ムーンジャンプ

 筑波大学の岩田洋夫教授、平井亜希子氏らによる「ムーンジャンプ」は地球の1/6の重力である月面でのジャンプを体験できるコンテンツだ。

 会場となった筑波大学のエンパワースタジオ「Large Space」は本来こうしたコンテンツを開発・実験するための施設でもある。

 今回は会場に他のコンテンツも展示されているため証明が明るく、プロジェクターの映像などはよく見えなくなってしまったが、本来は壁や天井、床面をスクリーンとして映像を投影することが可能で、自分のジャンプに合わせて周囲の映像が動く、という他の施設ではなかなか味わえない大規模なVR体験ができるものだ。

1/6の重力しかない月でのジャンプを体験する「ムーンジャンプ」。VRゴーグルは必要なく、月面の様子が壁や床面などに投影され自分のジャンプに合わせて動く。今回は会場となっている都合上映像を完全に体験することはできなかった

・Media Vehicle 3

 筑波大学の岩田洋夫教授、佐藤綱祐氏、大図 岳氏らによる「Media Vehicle 3」はVRゴーグルを使って車外カメラの操作をして車両を走らせるというものだ。車外カメラは頭にかぶったVRゴーグルの動きに合わせて動くのでカメラの操作を意識する必要はない。移動はジョイスティックを使って行う。

どこかで見たことあるような? デザインが特徴の「Media Vehicle 3」

本体後部に乗り込むことができる

前方に取り付けられたカメラ。このカメラがVRゴーグルの動きに合わせて動く

・Mikulus

 Oculus Riftをかぶると初音ミクが目の前に現れるGOROmanこと近藤義仁氏制作の「Mikulus」。このアプリは単に初音ミクとVR空間内で会えるということだけのアプリではなく、VR空間内でWindowsの操作ができる実用的なアプリだ。

 最新版ではデスクトップにあるアプリケーションやファイルを表示すると、それをつかんで自分の好きな位置に表示することができるようになった。

 複数のアプリケーションを使いたいとき、これまではディスプレイを2つ使うデュアルディスプレイなどが一般的だったがこの機能を使うと複数のアプリをVR空間の好きな場所に表示して使うことができるようになる。VR空間なので上下左右だけでなく前後にも、好きな位置にアプリを表示できるのだ。アプリごとに拡大縮小も可能。実際に仕事にも使えるかも? と期待したくなる機能だ。

 複数の動画を同時に表示した場合には頭を向けている方向にある動画の音量が大きく聞こえるようになるなどRiftの位置情報もうまく使って使用感を高めている。OSのインターフェイスとして普通に楽しい。

 現状ではVRゴーグルを長時間装着することそのものが負担でもあるので課題はあるが将来のOSはこうしたインターフェイスになる可能性もないとはいえないかもしれない。個人的にはとてもアリだと感じた。

・映画ツクール - Make it Film! -

 株式会社エクシヴィ 室橋雅人氏による「映画ツクール - Make it Film! -」は、その名の通り映画制作を体験できるVRコンテンツ。VR空間内に映画のセットを用意し、カメラを構えてアクターを撮影する体験ができるものだ。映画のなかでありがちなシーンをセットとして用意してありそれを自分の好きなカメラワークで撮影体験ができる。

 たとえば通路を2人のアクターが走ってくるシーンでは、真横から流し撮りをしたり、地面にカメラを埋めて煽りで迫力のある映像を撮ったりとさまざまな体験ができる。

 VRならではの簡単で直感的な操作でカメラワークの練習ができる。将来的には映画のプリプロダクションに使えるようにもしたいとのことだ。

・不可視彫像/Invisible Sculpture

 「不可視彫像/Invisible Sculpture」はフリーランス/メディアアーティストの坪倉輝明氏による作品。何もない場所にライトを照らすとオブジェの陰だけが見える、そんな不思議なコンテンツだ。実はライトは本物のライトではなくVIVEのコントローラーが組み込まれており、天井からつるされたプロジェクターがVIVEコントローラーの位置に合わせて壁に「陰」の映像を投影しているという仕組み。

 ライトを照らす角度によって陰の形がリアルに変わるためその場に物があるような錯覚を覚える。複数人で同時に楽しむこともできるのも面白い。すでに一部の美術館などでも展示実績があり、ライトを照らすと何も描かれていない額縁に絵が表示される、というコンテンツもあるそうだ。

懐中電灯をで照らすと何もにのに壁に陰が表示される。もちろん懐中電灯の動きに合わせて陰も変化し、懐中電灯で触ると倒すこともできる

懐中電灯風の外装がつけられたVIVEコントローラー

・日本列島VR

 VoxcellDesign, Inc.の脇塚 啓氏による「日本列島VR」は、VR空間にある日本列島を自由に飛び回れるというもの。日本列島の地形は国土地理院発行の基盤地図情報の詳細なデータを使った本格的なもので、自然と「本物感」が味わえる地図マニア垂涎のアプリだ。

 アプリでは飛行するだけでなく直接指定した場所に移動する機能はもちろん、昼夜の変更や雲の増減なども調節可能。海面の反射などもリアルに再現されており、実際の飛行機から見下ろした日本列島と錯覚するような映像を体験できる。

・アーバンスタンプラリー

 株式会社ハシラスは「個人用ホバークラフト」に乗ってビル群の上を飛び回りスタンプラリーをするというゲームを展示。ワイヤーを使って足場が浮遊する感覚を演出する専用の機材を使って個人用ホバークラフトという架空の乗り物をうまく再現し、飛行する感覚が味わえるコンテンツだ。

個人用ホバークラフト風の筐体

まだ試作品のため製品化の際には外観はブラッシュアップされるとのこと

空を飛びながらチェックポイントからチェックポイントへ移動してスタンプラリーをしていく

・SYMMETRY alpha(シンメトリー アルファ)

 DVERSE Inc.の「SYMMETRY alpha」は簡単に3D CADデータをVR内に取り込み、活用することができるHTC VIVE対応のコミュニケーションツールだ。

 ミニチュアを観るように全景を眺めることができる「スタジオモード」と建物を実寸大で観ることができる「イマース(没入)モード」を備え、実際の物件の間取りイメージを肌で体感することが可能だ。

 VR空間内では他人の姿も見ることができ、気になるポイントにマーキングをして情報を共有できる。

ミニチュアを観るように全景を眺めることができる「スタジオモード」と建物を実寸大で観ることができる「イマース(没入)モード」を切り替えられる

等身大の感覚で建物の中を移動可能

さまざまなマーキング機能でコミュニケーションをとれる

・Taclim -触感センサー搭載VRシューズ-

 株式会社Cerevoの「Taclim」は触感センサーを内蔵したシューズ&グローブ型のVR用インターフェイスだ。会場ではその最新バージョンが展示されていた。VR空間内の状況に合わせて振動などで使用者にその感覚を伝えるもの。たとえば砂の上を歩いた時や雪の上を歩いた時などの感覚を伝えることでよりリアルなVR体験が可能になる。手足のデバイスに内蔵する9軸センサーによりその動きをVR空間内に反映する機能ももっている。

・Taclimの製品情報
https://taclim.cerevo.com/ja/

この内容で送信します。よろしいですか?