超音波でVRに悪影響を及ぼすハックが可能、中国の研究者が公表

 中国のセキュリティ研究者によると、超音波を使ってVRゴーグルに悪影響を及ぼすことができるという。海外ニュースサイトの「Forbes」が報じた。

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https://www.forbes.com/sites/thomasbrewster/2017/07/11/alibaba-researchers-attack-facebook-vr-with-soundwaves/#5f20cf8e13a6

 超音波は人間の可聴域を超えた高い周波数の音だ。特定の周波数の超音波をVRゴーグルに照射すると、映像が乱れるなど正常に動作しなくなるという。中国企業のアリババと清華大学の研究者がForbesに伝えた。

 この現象は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems、微小電気機械システム)で作られたジャイロセンサーと加速度センサーが原因だという。超音波でセンサーが共振することで傾き情報などが乱れ、映像が不安定になるといったことが起こる。これは物理的な干渉で、電子的なハックとは異なる。超音波を照射する装置は、簡単なものであれば100米ドル程度で作れてしまうという。

 問題は、MEMSによるセンサーを搭載した製品であれば、VRゴーグルに限らず誤動作させられてしまうという点だ。上記記事に掲載された動画では、「ホバーボード」と呼ばれる電動二輪車(似た製品では、日本では「セグウェイ」が有名)が勝手に動き出してしまう様子もある。この研究者達は、7月に米ラスベガス市で開かれるセキュリティカンファレンスの「Black Hat」でドローンを攻撃するデモを行う予定だという。

 英サリー大学のAlan Woodward教授は、「音波は空気中で拡散するため、攻撃に使うには指向性を持たせる必要があり、離れた場所から狙うには出力の大きな装置が必要になる。これは攻撃者にとって大きなハードルとなる。ただ、そうした装置を作ることは可能だ」としている。

 対策としては、「リアルタイムモニター機能を搭載する、センサーを金属のカバーで覆うといったことが考えられる」(アリババのモバイルセキュリティチームのWang Kang氏)という。

 MEMSによる超小型センサーは多くの製品に搭載され、現在の電子機器になくてはならないものになっている。超音波は照射されても知覚できないため、攻撃されたことすら分からないのが厄介だ。今後は、こうした対策も重要になってくると思われる。

Reported by 宮川泰明(SPOOL

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