VR用PCに小型化の流れ、「COMPUTEX TAIPEI 2017」で見たトレンド

 2017年5月末から6月初頭にかけて、世界最大規模のIT見本市「COMPUTEX TAIPEI 2017」(以下COMPUTEXと表記)が開催された。複数の会場を使った大規模なイベントで、ブースを出典した各社が最新の製品を展示した。

 今年は5大テーマの1つとして「Gaming & VR」が掲げられており、VRも注目ポイントとなっている。関連ブースを取材して感じたトレンドを紹介する。

 間違いなく言えるのは、VRを動作させるPCの環境が広がりつつあるということだ。HTCの「VIVE」やOculusの「Rift」が登場した当時は、ハイエンドのグラフィックスボードが必要で新規にパソコンを購入すると15万~20万円はかかっていた。現在はミドルクラスのGeForce GTX 1060やRadeon RX 580といったグラフィックチップで対応できるため、10万円台前半で対応PCを用意できるようになった。

 しかし、今もVR対応のPCと言えばミニタワー型以上の大きさのデスクトップが主流。きょう体の大きさがハードルになり、VRに踏み出せないという人もいるだろう。そこで、次のステップは小型化となる。COMPUTEXでは、3種類のアプローチが見られた。ノートPC、小型PC、外付けグラフィックボードだ。

 ノートPCは、NVIDIAのGeForce GTX 10シリーズの影響が大きい。デスクトップ版とそん色ない3D性能が得られるため、ノートPCでもVRへの対応が可能になった。このチップ自体は2016年に発表され、搭載ノートPCも既に販売されている。

 COMPUTEXでNVIDIAは新しく「MAX-Q」デザインを発表した。これは、GeForce GTX 10シリーズを搭載したノートPCを薄型化する技術だ。ハードウエア、ソフトウエアの両面から最適化し、できるだけ性能を維持しつつ発熱を抑えた。Max-Qに対応したノートPCは、VRも動作可能でありながらビジネス向けノートPCと同じような薄さだ。

・ROG ZEPHYRUS(ASUSTeK Computer)

 キーボードの奥に何もないスペースを設けた。液晶ディスプレイは15.6型で1920×1080ドット。外形寸法は幅379×奥行き262×高さ169mmだ。

・Predator Triton 700(Acer)

 タッチパッドがキーボード奥にあるユニークなデザインだ。タッチパッド部は透明なパネルになっており、内部の冷却機構が見える。液晶ディスプレイのサイズは15.6型で、解像度は1920×1080ドット。厚さは18.9mmだ。

 ノートPC向けのGeForce 10シリーズがVRに十分な3D性能を備えているため、大型のグラフィックボードは必須ではなくなった。これを受けて、VR対応の小型PCや薄型PCも登場し始めている。COMPUTEXの会場ではMSIの「Vortex G25」やGIGABYTE TECHNOLOGYのBRIXシリーズ「BNi7HG6-1060」といった小型PCがVRのデモと共に展示されていた。

・Vortex G25(MSI)

 ヒートパイプを使った冷却機構でCPUとグラフィックチップを冷却する。外形寸法は公開されていなかったが、SO-DIMMのメモリースロットが見えているので大まかな大きさは分かるだろう。ブースではレースゲーム用の体感きょう体と合わせて展示していた。

・BNi7HG6-1060(GIGABYTE TECHNOLOGY)

 タワー型とも言える形状だが、高さは220mmしかない。写真左にあるOculusの「Rift」と比べると小ささが分かる。こちらはベアボーンキットで、メモリーとストレージが別売となる。

 新製品ではないものの、ZOTAC Internationalはバックパック型PCの「VR GO」を使ったデモを行っていた。バッテリで動作するため、ケーブルを気にせずVRを楽しめる。コンテンツはVRボクシングだった。

 ASRockとSilverStone Technologyは少し違ったアプローチで小型化を進めている。「Micro-STX」という新しい規格のマザーボード「Z270M-STX MXM」とPCケース「RVZ04 Prototype」を展示していた。Micro-STXは本来ノートPC用のグラフィックボードの規格である「MXM」スロットを搭載し、幅238×奥行き199×高さ81mmのきょう体に収めた。天板を開けると、内部スペースの半分近くをグラフィックボードが占めているのが分かる。

・RVZ04 Prototype(SilverStone Technology)

・Z270M-STX MXM(ASRock)

 自作PC向けとしても面白い規格なのだが、問題はMXM規格のグラフィックボードが一般販売されていない点だ。製品化された場合は、主にBTO PCとして登場するのではないかと推測される。

 もう一つのトレンドが外付けグラフィックボードだ。これは外付けのユニットにグラフィックボードを搭載し、Thunderbolt 3でPCと接続するというもの。既に製品は存在しており、2016年にRAZERが「RAZER CORE」を発売していた。

 COMPUTEXの会場ではZOTAC InternationalやSilverStone Technologyなどが製品を展示しており、今後は同様の製品が増えていくと思われる。外付けGPUを通したVRも「理論上は可能」(ZOTAC)としており、CPUとメモリーの要件さえ満たしておけば、内部に拡張性のないPCでも後からVR対応に強化できる。

・EXTERNAL GRAPHICS DOCK(ZOTAC International)

・Fortress BOX(SilverStone Technology)

 もちろん利用するにはPCがThunderbolt 3に対応している必要がある。そのため、今使っている小型PCやノートPCで利用できる人は少ないのではないだろうか。今後PCを買う際のポイントとして押さえておくとよいだろう。

 VRは高い性能のPCを要求するため、どうしても大きなきょう体を使わざるを得なかった。対応PCの幅が増えれば、より導入のハードルは下がっていくだろう。据え置きにするだけではなく、持ち運び用のVR環境も作れるようになり、活用の幅も広がる。

Reported by 宮川泰明(SPOOL

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