より自然に奥行きを感じるディスプレイ技術をOculus Researchが公開、「SIGGRAPH 2017」で発表へ

 2017年5月15日、Oculus Researchは自身で「革新的」と評するディスプレイ技術「focal surface display」に関する研究を公開した。2017年7月30日~8月3日に米ロサンゼルスで開催される「SIGGRAPH 2017」で発表する予定だという。

・Oculus Research to Present Focal Surface Display Discovery at SIGGRAPH
https://www.oculus.com/blog/oculus-research-to-present-focal-surface-display-discovery-at-siggraph/

 focal surface displayは、目の焦点に注目した技術だ。現実世界で物を見る時、近くの物に焦点を当てると遠くの物がぼやけ、反対に遠くを見ると近くの物が見えにくくなる。これは人の目が備えたピント調節機能で、意識することなく日常的に行っている。

 一方、VRゴーグルで見る風景は一枚の画像だ。遠くを見たからと言って近くの物がぼやけることはないし、ぼやけている物に焦点を当ててもはっきり見えるようにはならない。言い換えると、どれだけリアルな映像を映しても、現実と同じようには見えないということだ。Oculus Researchによると、この見え方の違いが違和感を生み、目の疲れや頭痛といった不快感の原因になっているという。

 そこでこの焦点の移動を再現し、現実世界と同じ見方をできるようにしようというのがこの研究だ。概要は、Oculus ResearchがYouTubeに公開した以下の動画を見ると理解できるだろう。

・Oculus Research to Present Focal Surface Display Discovery at SIGGRAPH
https://www.youtube.com/watch?v=gwO-3AgNIao

 焦点を再現するためのアプローチはこれまでもあった。例えば、焦点の合う面を複数用意し、切り替える方法がある。しかし、これでは間にある物体へ焦点を合わせられない。

 3Dモデルなら奥行きの情報を持っているため、光の届き方を計算することができる。しかし将来はできるかもしれないが、現在のハードウェアでは性能が足りず、難しいという。

 そこでOculus Researchの取った方法は、焦点の当たる点をマッピングし、3Dモデルを覆うというものだ。実際には精度を上げるため、基準となる面を複数用意する。

 focal surface displayはディスプレイパネルと接眼レンズの間に「spatial light modulator(空間光変調器)」を設置する。これによりディスプレイからの光を変調させ、焦点の合っている部分、合っていない部分を作り出す。そのサンプルが下の画像だ。焚き火を中心に、離れるにつれてぼやけているのが分かる。

 この技術はまだ研究段階で、製品化の予定はない。技術的にも、視線の動きをどう検知するかは決まっていないようだ。眼の動きを検知しないと焦点の制御もできないため、これは大きな課題と言える。ただ、既に実用化されているアイトラッキング技術はあるため、どの方式が最適か探っているということだろう。

 ハイエンドのVRゴーグルを使っても、人によっては気分が悪くなったりすぐに疲れてしまったりする。これはやはり、VR内の世界の見え方が現実とは異なるということだ。こうした違和感をなくす技術は、今後さらに重要になっていくと思われる。

Reported by 宮川泰明(SPOOL

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