ロシアのベンチャー企業による新しい位置トラッキングシステム「ALT」がVRエキスポ「VRLA」に出展

 位置トラッキングは、VRに「仮想空間の中を移動する」という要素を加える非常に重要な技術だ。現在はHTCの「VIVE」やOculusの「Rift」などが採用する外部センサー(outside-in)方式が主流だ。VRゴーグルにカメラを取り付け、映像から移動を検出する「inside-out」方式もあるが、まだ一般的とは言えない。

 外部センサーを使う方式の課題は、センサーユニットを置く場所を確保する必要がある点と、システムの設置に手間がかかる点だ。ロシアのベンチャー企業、Antilatencyがこの課題に挑み、2017年4月14日と15日に米カリフォルニア州で開催された「VRLA EXPO 2017」で試作品を展示した。海外ニュースサイトの「UploadVR」が報じた。

・Antilatency Is An Intriguing Mobile Positional Tracking Solution
https://uploadvr.com/antilatency-mobile-positional-tracking/

 このトラッキングシステムは「ALT」という名称。外部ユニットの照射する赤外線をVRゴーグルに取り付けたセンサーが検知し、位置情報を検出する。ユニークな点は、「IR-Bar」と呼ぶ外部ユニットが細長いシート状の形をしていることだ。赤外線照射ユニットを外して丸めると、非常にコンパクトに収納できる。バッテリは外付けで、モバイルバッテリを使う。設置する度にキャリブレーションし直す必要はないという。

 VRゴーグル側のセンサーユニットはUSBで接続する。ユニットは本体とUSB端子を備えたアダプターに分かれており、磁石で固定する。このユニットをコントローラーに取り付けてトラッキング機能を付与することもできる。

 もう一つ面白いのが、IR-Barの数を増やしてトラッキング可能な範囲を広げられるという点だ。1個でもルームスケール自体は可能だが、4個使うと10m×10mの領域をカバーできる。もっと数をそろえれば、倉庫のような広い建物全体をトラッキングすることも可能だ。

 その他の仕様としては、遅延時間が2ms、トラッキング周期が2000Hz。日光の下でも動作するため屋外でも利用可能としている。また一つのトラッキング領域で複数の人数を同時に認識できる。対応VRゴーグルは、Cardboard互換VRゴーグルとSamsung Electronicsの「GearVR」だ。

 様々なパーツをモジュール方式にすることで設置や片付け、持ち運びをしやすくするデザインは魅力的だ。ALTはまだ開発中で、製品化の時期や価格については言及されていない。対応コンテンツをどう用意するかなど気になる点はあるものの、とても楽しみな製品が登場したと言えるだろう。

 AntilatencyはYouTubeでセットアップの様子を動画で公開している。こちらも参考になるだろう。

・ALT :: Antilatency tracker installation
https://www.youtube.com/watch?v=eBDWwzfw1O4

Reported by 宮川泰明(SPOOL

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