足で操作するコントローラー「3DRudder」が国内販売へ。仮想空間での自由移動には期待と不安も

 2016年12月2日、PCパーツなどを扱う販売代理店、アスクが3DRudder社の「3DRudder」の扱いを開始すると発表した。発売は12月中旬。予想価格は税抜きで2万円弱としている。

 3DRudderは、足で操作するVR向けのコントローラーだ。両足を乗せ、足先の方向に傾けると前に、かかとの方に傾けると後ろに進むという風に操作する。方向転換や上下(高さ)の移動も可能だ。通常は片手を占有してしまう「移動」を足が担当することで、両手を別のことに使えるというのが魅力。PCにはゲームパッドなどと同じHID(Human Interface Device)として認識されるため、対応ソフトでなくても利用できる。ゲーム以外でも、3D CADや機械の遠隔操作といった用途を想定しているようだ。下は、同社のWebサイトにある使用イメージ。

 3DRudderが先進的、挑戦的なのは、ユーザーがVR内で「自分の意思で自由に動く」ことを目指している点だ。実は、これには大きな課題がある。いわゆる「VR酔い」だ。VR酔いは「3D酔い」と似ており、視覚情報と体の感じる情報にずれが起こると発生する。例えば、前に歩いているのに景色が横に水平移動すると、違和感を感じ気持ち悪くなる。それほど極端でなくとも、顔を横に向けた際に視界が1秒遅れて追従するだけでも酔いやすくなる。3DRudderのやろうとしていることは、現在のVR酔い対策に逆行する面がある。

 まだVRは始まったばかりということもあり、ハードメーカーもソフトメーカーも酔い対策に苦心している。すぐに酔ってしまうようでは、魅力を伝える前に敬遠されてしまうからだ。その答えの一つが「ユーザーを自由に移動させない」こと。ゲーム内で移動しなければ、酔いは抑えられる。そのためVRのシューティングゲームではプレイヤーの立ち位置を固定するという手法が多く採用されている。Surviosの「Raw Data」などがそうだ。広大なマップを探索できることを売りにしているVertigo Gamesの「Arizona Sunshine」も、移動はポイントを指定してそこにワープするという手法を取っている。ワープの際に画面を暗転し、違和感が出ないようにしている。

 3DRudderが目指すように自由に動けると、酔ってしまう可能性は避けられない。またあくまでコントローラーなので、入力しかできない。ユーザーの視界がどうなるかなどはソフト側の問題になる。乗せた足がずれて旋回を続けてしまう、操作を間違えて思った動きができないといった酔いの原因には、3DRudder側では対策を取れないだろう。酔いやすさには個人差があり、慣れによる軽減もある。しかし人を選ぶことは間違いない。

 それでも3DRudderが興味深いのは、これまで他社がやらなかったことをやろうとしている点だ。HTCの「Vive」がうたうルームスケールのように、現実でも仮想空間と同じように歩けば感覚のずれが生じないので酔いも発生しない。しかし、それだけではゲーム内で本当に自由に動き回ることはできない。VRでない3DゲームではオープンワールドのRPGが人気だ。やはり、多くのユーザーは仮想空間を自由に動き回りたいはずだ。

 現状VRゲームはシステム上で動きを制限しているため、3DRudderを使っても自由には動き回れない。現時点ではゲームならVR以外のタイトルでの使用が主になる。しかしいずれはニーズに合わせて制限の少ないVRゲームも登場するだろう。その時に3DRudderは真価を発揮することになるのではないだろうか。

Reported by 宮川泰明(SPOOL

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