VRの将来を考える、「Japan VR Summit 2」が開催。様々な立場から見たVR市場が語られた

 2016年11月16日、東京、日本橋でVR関係者向けイベント「Japan VR Summit 2」が開催された。主催はグリーとVRコンソーシアム。ガレリアも協賛している。様々な立場でVR業界に関わる人が登壇し、今年起こったこと、将来起こるであろうことを語った。

 イベントは5つのセッションで構成し、各セッションはパネルディスカッションの形式で進められた。ユーザー視点で興味深かった第1、第3セッションの内容を紹介する。

 第1セッションは「VRトッププレイヤーが描く2020年のビジョン」というテーマ。OculusのJason Holtman氏、HTCのJoel Breton氏、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの高橋泰生氏、GoogleのNoah Falstein氏がパネリストとして登壇した。全員に共通する見解は、2016年はVRの立ち上がりにとってすばらしい年になったということだ。2015年の末から2016年にかけて、各社の様々なVRゴーグルが発売となった。コンテンツを作る人にとっては、やっと一般向けのVRコンテンツを作れる環境が整ったとも言える。

 将来VRがどう発展していくかについてはそれぞれ異なった意見が出た。Jason氏は、技術面では入力デバイスに着目。入力について考える時、人は「手」が好きなのだという。その手に代わるものとして、入力デバイスは必ず進化していくとした。ソフト面では、VRはよりソーシャルな形、人と人の結び付きを強める技術になっていくと語った。

 Joel氏は、VRゴーグルの高機能化と多様化を指摘した。現在の課題として無線化や高解像度化が考えられるが、解像度が上がると無線化はより難しくなる。そこで解像度はそのままで無線化したモデル、有線ではあるものの高解像度化したものといったバリエーションも出てくるだろうとした。

 高橋氏はゲーム以外のコンテンツの広がりに期待を見せた。特にショッピングでは、空間の制限なく商品を展示できることに加え、利用客も商品のスケール感を見られる。アバター(VR空間内での自分のキャラクター)でフィッティングしたりと、通販でありながら実店舗のようなことができるようになるだろうと語った。

 Noah氏はコンテンツの開発者に向けたメッセージとして、色々な視点で開発してほしいと語った。例えば、VRの動画コンテンツでは360度が一般的だが、それだと全てを見るためには立ち上がるか回転椅子を使う必要がある。もっと気楽に、ソファーなどに座った状態でも楽しめるように、180度で動画を作るといった発想もあっていいだろうとした。

左から、モデレーターを努めたカドカワの浜村弘一氏、HTCのJoel Breton氏、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの高橋泰生氏、OculusのJason Holtman氏、GoogleのNoah Falstein氏

・VRアトラクションの課題とこれから

 第3セッションでは「先駆者から学ぶ~VRアトラクション編~」というテーマで、国内でVRを体験できる施設を運営した企業の担当者が登場した。東京、青海で2016年4月から10月の間「VR ZONE」を営業していたバンダイナムコエンターテインメントから小山順一朗氏と田宮幸春氏。2016年1月から6月の間「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」でVRとコースターを組み合わせたアトラクション「きゃりーぱみゅぱみゅ XRライド」を稼働させていたユー・エス・ジェイから中嶋啓之氏。現在も東京、台場の「東京ジョイポリス」で「ZERO LATENCY VR」を稼働させているセガ・ライブクリエイションから速水和彦氏の4人だ。

 セッションではアトラクション運営で注意した点やこれからの課題などが話題となった。幸いなことに、それぞれのアトラクションは好評で多くの人が利用したという。完全予約制を取っていたVR ZONEは、全日程で予約が埋まった状態で営業できたとした。

 一方で共通の課題となったのが、人手が必要なことと時間がかかることだ。きゃりーぱみゅぱみゅ XRライドでも、安全への配慮から通常のアトラクションよりスタッフを多く配置する必要があったという。セガの速水氏は、「体験時間はジェットコースターなら2、3分。VRはゴーグルの着脱等を含めると15~25分かかることもある。ビジネスの面で見ると長い。ここは大きな課題」と語った。

 アトラクションの種類によっても抱える課題に違いがある。きゃりーぱみゅぱみゅ XRライドは乗降の際にコースターが停止しないタイプのアトラクションだ。乗降に使える時間が決まっているため、VRゴーグル着脱に時間をかけられない。そこで一般的なイベント等では使用する、ゴーグルとの間に装着する使い捨てマスクを採用しなかった。その分クリーニングには気を使い、専用のスタッフを10人以上配置していたという。

 VR自体は家庭でも体験できるようになっている。ただ、まだVR自体が始まったばかりということもあり、VRアトラクションは「まだ触れたことのない人にとっての入り口になるという役割もある」(小山氏)。また「家庭ではできないことで住み分けを図っていく」(速水氏)という点も重要だとした。小山氏は米国の例を紹介した。一昔前はショッピングモールなどにゲームコーナーがあり、それがいわゆる「アーケード」を作っていた。しかしアーケードは業態としてほぼなくなってしまい、「チャッキーチーズ」(ゲームコーナーを目玉にしたファミリーレストラン)などごく一部を除いて姿を消してしまったという。しかし、VRの登場とともにアーケードが見直され始めているとした。従来とは少し違った形とは言え、消えかかった業態が復活しようとしているのは注目すべき現象だと語った。

左から、モデレーターのTokyo VR Startups取締役の新清士氏、バンダイナムコエンターテインメントの田宮幸春氏、同小山順一朗氏、ユー・エス・ジェイの中嶋啓之氏、セガ・ライブクリエイションの速水和彦氏

 その他にも、第2セッションでは2020年に世界のVR市場の3分の1を生むと予測されている中国市場の現在について、第4セッションではゲーム、エンターテインメント以外の分野で活躍するVRについて、第5セッションでは投資家の視点でVRの将来性や収益モデルについてという風に、多様な視点でディスカッションが行われた。

 会場ではVRコンテンツの体験ブースもあった。VR脱出ゲーム「エニグマスフィア~透明球の謎」のブースはガレリアがPCを提供していた。

Reported by 宮川泰明(SPOOL

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