東京ゲームショウ2016レポート【ハードウェア編】

・各種軽量VRゴーグルや、足で操作可能な3DRudderなど盛りだくさん

 東京ゲームショウ2016ではVRコンテンツだけでなく、周辺機器も国内未発売、未発表の製品が多く展示されていた。本記事では、ハードウェアを中心に紹介する。

 PC用のVRゴーグルはHTCの「Vive」とOculusの「Rift」が事実上の標準となっており、コンテンツの推奨動作環境も両製品に合わせてある場合が多い。どちらかを使えば高品質なVR体験ができるが、ネックとなるのが価格だ。両製品とも10万円ほどの価格で、接続するPCへの要求スペックも高い。VRがより普及するためには、そこそこの品質で安価という位置付けの製品や、違ったアプローチをする製品も必要だ。東京ゲームショウ2016には多くのVRゴーグルが出展されていた。

 「FOVE」は同名のベンチャー企業がクラウドファンディングの「Kickstarter」で資金を集めたとこで話題になったVRゴーグルだ。特徴はユーザーの視線を検知する機能。例えば、コントローラーを使わずに画面上をポイントする場合、通常は顔を動かして画面の中心をそこに合わせる。しかし視線を検知するなら顔を動かさずにポイントできる。ユーザーインターフェイスが1つ増えたとも言えるだろう。

 FOVEは米国時間の2016年11月2日に「FOVE 0」という製品名で予約受け付けを開始する。価格は未発表。対応コンテンツがどれだけ出てくるかも注目だ。

 内蔵する液晶ディスプレイの解像度は2560×1440ドット。リフレッシュレートは70Hzだ。視野角は90~100度。参考値として、Viveの液晶ディスプレイは1080×1200ドット×2、90Hz、110度だ。Viveが液晶ディスプレイを2枚使っているのに対し、FOVE 0は1枚でまかなっている。映像をHDMI 1.4で入力するのは同じだ。

 Dlodlo(ドードー)のブースでは、同社のVRゴーグルを体験できた。同社はスマートフォンを使ったVRゴーグルを開発している中国のメーカーだ。注目の製品は、サングラスのような外見の「Dlodlo V1」。重量88g、レンズ部の厚さが16mmと、これまでのVRゴーグルと比べて圧倒的に小さく、軽量なことが特徴だ。

 液晶ディスプレイの解像度は2400×1200ドット。リフレッシュレートは90Hzで、視野角は105度。仕様では2400×1200となっているが、1枚の液晶パネルが入っているとは思えないため、1200×1200ドット×2が正しいと思われる。

 使い方は少し変わっており、接続する機器が決まっていない。PCやスマートフォン、同社の「Dlodlo D1」という専用デバイスで利用可能だ。Dlodlo D1はAdnroidをベースにした独自の「Dlodlo OS」を搭載している。同社はAndroid向けの独自ストアアプリ「Dlodlo VR」も用意しており、VRのコンテンツを配信している。ただしアプリはGoogle Playに登録されておらず、日本語化されているかも不明だ。

 どれだけのアプリで利用できるかは未知数だが、既存のVRゴーグルが重すぎると感じている人には期待のできる製品だ。

 クリーク・アンド・リバー社のブースでは、同社の販売するIdealens technologyのVRゴーグルを展示していた。Idealens technologyは中国のVR機器やコンテンツを開発している会社だ。

 今回展示していたのは「IDEALENS K2」。ユニークな点は、ゴーグル内にSoCとAndroidベースの独自OS「Ideal OS」を搭載し、外部機器を接続しなくても利用できることだ。SoCはSamsung Electronicsの「Exynos 7420+Mali-T760 MP8」。これは同じSamsung Electronicsのスマートフォン「Galaxy S6」と同等だ。eMMC(内蔵メモリー)は32GBで、最大128GBのSDカードを追加できる。液晶ディスプレイの解像度は1080×1200ドット×2でリフレッシュレートは90Hz、視野角は120度と高性能だ。

 ゴーグル部が290gと軽量なのも特長。ヘッドバンドにも工夫があり、後頭部を支えるようにパッドを配置している。パッド部分にはバッテリも内蔵しており、これが重りとなることで前後のバランスがとれ、装着感はかなり快適だ。

 国内の価格は未定だが、中国では3499元で販売している。9月中旬時点の為替レートでは5万4000円ほど。代理店のコスト等を乗せるとこれよりは高くなるだろうが、それでもVive本体より安く入手できそうだ。Viveはそれに加えて高性能なPCが必要になるため、導入費用としてはかなり安いと言える。

 独自OSを使う上、外部機器と接続しないという性質上、コンテンツがどれだけ提供されるかという点には若干の不安もある。しかしクリーク・アンド・リバー社はコンテンツ制作も行っているため、国内向けのコンテンツにも期待してよいのではないだろうか。

 低価格VRゴーグルの注目製品が米Vuzix Corporationの「iWearビデオヘッドホン」だ。Viveとくらべるとスペックは低いものの、実売価格が5万円前後とViveの半額以下。PCにつなげられるVRゴーグルとしては最安クラスだ。

 液晶ディスプレイは1280×720ドット×2でリフレッシュレートは60Hz。視野角は55度。ヘッドホンが一体となっている。視野角が他の製品とくらべて狭いのは、本製品がVRゴーグルというよりも、VRにも対応しているヘッドマウントディスプレイだからだ。画面の見え方も、視界いっぱいに広がるのではなく「約3m先に125インチ相当のスクリーン」となっている。十分大きいのだが、Viveなどとは見え方が異なる。信号の入力はHDMI。ゲーム機やBDプレイヤー、PC、スマートフォンなどと接続可能だ。

 VRへの対応は、オープンソースの「OSVR」とゲーム開発環境の「Unity 3D」、Steamの「SteamVR」に対応している。SteamVRについては全てのコンテンツに対応しているわけではなく、対応状況が同社のWebサイトで公表されている。

 自作PCユーザーにとって身近なMSIも出展していた。目玉はやはりVRで、VR用をうたうPC「VR One」をデモしていた。

 特徴は、VRコンテンツに対応する高性能PCをバックパック型の筐体に収め、バッテリで駆動可能にしたことだ。従来、VRゴーグルはPCとケーブルでつなぐ必要があるため、プレイヤーが自由に動けなかった。それを解消するため、ワイヤレスで動作するデスクトップPCを作った。バッテリ駆動で90分動作する。バッテリパックを2個搭載しており、片方ずつ交換することで駆動時間を伸ばせる仕組みもある。ワイヤレスではなくなってしまうものの、どうしても連続稼働時間が気になる場合はACアダプターをつないで使うことも可能だ。

 VRは手元が見えなくなるため、インターフェイスにも工夫が必要になる。3DRudderは足を使ったコントローラーを展示していた。製品名は社名と同じ「3DRudder」だ。同社のWebサイトから注文可能で、価格は179米ドル。

 下の写真のように、一見コントローラーとは思えない外見だ。両足を乗せて奥に倒すと奥に、手前に倒すと後ろに進む。ひねるように足先を斜めに向けると視点が横に移動する。特定のアプリ専用として作っているわけではないため、対応をうたったソフトでなくてもゲームコントローラーとして利用可能だという。慣れると3D空間の移動がスムーズに行える。実際に体験したところ、最初こそ戸惑うものの、数分でかなり思い通りに動かせるようになった。

 1点気になったのがいわゆる3D酔いだ。3D酔いは、操作の感覚と視覚(画面の動き)が脳内で一致しないために起こると言われている。VRゴーグルがリフレッシュレートを高くしたり遅延を抑えたりしているのは、この感覚のずれを無くすためだ。おそらく3DRudderの操作感は誰もが初めてとなるもの。慣れるまでは酔ってしまう人もいるだろう。慣れるまでの時間には個人差があるため、万人向けとは言いにくい。ただ、両手を空けられるため、合う人にはVR以外でも便利なデバイスになる可能性を秘めていると感じた。

 最後に、VRならではのデバイスを紹介しよう。Happy Hacking Lifeの「UnlimitedHand」だ。

 UnlimitedHandは手の動きを使ったインターフェイスだ。手や指を動かす際の筋変位をを検出してゲームの入力に反映させたり、反対にゲーム内の情報を手や指にフィードバックさせる。非常にユニークなのが、手や指へのフィードバックの部分。電気刺激を使って筋肉を収縮させることで触感を与える。ゲーム内の物を触った時に、本当に触ったかのような感触が得られるということだ。そういったことが、本製品を腕に巻くだけで実現できる。

 ゲームでの入力に使えば、銃を撃つ仕草でゲーム内でも発砲したりと、より直感的な操作ができる。製品としてはまだ開発者向けキットが発売された段階だが、没入感を高めるためのデバイスとして楽しみなアイテムだ。

Reported by 宮川泰明(SPOOL