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ジーニアス・パーティ ビヨンド

石田貴史氏

『アニマトリックス』『鉄コン筋クリート』など、数々の名作を生み出し続けるSTUDIO4℃の下に、日本のアニメーションが誇る天才たちが集結した。プロジェクト名は『Genius Party <ジーニアス・パーティ>』。
昨年公開され、7月にDVDが発売された第1弾に引き続き、第2弾『Genius Party Beyond <ジーニアス・パーティ・ビヨンド>』が製作された。想像力は超越する。脳内麻薬 体感アニメーションに興奮は止みそうに無い。
この『Genius Party』『Genius Party Beyond』にドスパラのPCワークステーション『raytrek <レイトレック>』が導入されている。今回は『Genius Party beyond』で『陶人キット』(監督:田中達之)のCGI監督を務めた石田 貴史 氏に作品について、そしてSTUDIO4℃の製作現場の声を集め企画された『raytrek spec. STUDIO4℃』についての話を伺った。

7年を経て完成した、田中達之初監督作品

──物語の概要をお願いできますか?

監督は、天才絵師としてその名を馳せる田中達之さんで、短編アニメーションとしては初監督作品です。以前にナイキの CM や、宇多田ヒカルさんのミュージッククリップの監督はされていましたが、こういったアニメーションでの監督は初めてですね。
ストーリーを簡潔に説明すると、女の子が一人遊びでやってはいけないことをやっている、それが近隣住民のタレコミによって当局に通報されて・・・という話です。

元々、この作品は『デジタル・ジュース』(2001 年 / STUDIO4℃)という短編オムニバス DVD があって、その時に収録される作品のうちの一つだったんですが、製作が途中でストップしてパイロット映像という形で収録されていました。それを今回田中監督が「やろうじゃないか」、「改めて作り直そうよ」、ということで完成した作品です。
巷でもあの作品どうなったんだろうね、という事が噂になっていたり、色々話題に上っていましたね。

──田中達之監督の描く女の子は魅力的ですよね。独特の魅力が。

個人的には凄くかわいいと思いますよ、ただ部屋の中はちょっと、いや、凄いことになってる(笑)。

──相当な時間を経ての製作になりましたね。

そうですね、話自体はかなり昔に出来上がっていたんですけれど、いろいろと変わっています。当時はテレビのサイズも 4:3 が主流で、当然作品もそれに合わせて作っていたんですけれども、今回は 16:9 にフォーマットが変わってしまいました。基本的に昔作った素材は遣わなければならなかったのでリサイズが大変で。
もともとの素材は4:3で作成されていたので16:9に修正すると左右の端の部分が足りない状態でしたから、その部分を継ぎ足さなくてはならないという作業が発生しました。冒頭の部分は殆ど昔作ったものでしたから、そういった作業が延々と続きました。

──田中監督は随分と暖めておられたんですね。

作品の話自体も一度消えてしまったんですけど、ある雑誌のインタビューでは『ピンポン』や『ベクシル』の曽利文彦監督が田中監督の画集『CANNABIS WORKS』を持っておられて、続き作んないの?と言われたらしいんですね。
その話がSTUDIO4℃の田中(栄子さん、STUDIO4℃ 代表)のところへ行って、改めて日の目を見たということのようですね。

デジタルで描かれる天才絵師の世界

──映像で流れる絵は、見るからに田中達之監督の絵ですが、監督自身が書かれたんですか。

今回は本当に、異例と言って良い位監督の役割が大きくて、9 割ぐらい。監督・演出・美術・原画、殆どの部分を田中監督自らが描かれました。
最初は全部自分で描きたい、と仰ってたんですけれども、さすがに後半は美術の方に描いてもらった部分も有ります。田中監督が線画を描いて、美術の方に塗ってもらいました。


──部屋の美術はカットごとに一枚の絵を描かれたのでしょうか。


部屋の中にある冷蔵庫。ドアのみモデリングが施された状態(中央)と、コンポジットでのスクリーンショット(右)。田中監督の世界観を壊さぬよう、神経を使いながら注意しながらカメラマップを用いて表現されている。

建物自体をモデリングしたわけでは無いので、部屋の中のシーンでは色々な角度からその都度別の絵を描いています。かなりの量になりました。必要に応じてカメラマップを用いました。他の作品でも、カメラマップの話が多く出てきますが、STUDIO4℃ではかなり昔から取り入れられていた手法で、この作品でも多用しています。



STUDIO4℃で多用されるカメラマップの工程。田中監督から上がってくるレイアウト(左)に対して、3Dの対象になる建物などを簡単に作りこみ、世界を構築していく(中央)。それにアタリになる仮のテクスチャーを張り込んだものを美術班へ発注(右)、完成した美術をカメラマップで張り込んでいる。

まずレイアウトを上げてもらって、貼り込み用のハリボテの 3D を作って、カメラマップをテストして、監督に確認してもらって、OKが出たら美術用の原図を出力、そこに美術を描いてという流れです。
全面的に 3D を押し出した画面にはしたくなかったので、あくまで田中監督の世界観を壊さないように、手助けできる範囲で 3D を使っています。例えば冷蔵庫の扉がはじめの方に出てきますけど、背景を 3D に貼り込んで使っています。3D に見えないように注意しながら、とにかく合わせることには神経を使いました。電車も 3D で作ったんですが、背景と世界観を合わせるのに手間が掛かりました。何回もテクスチャーを描き替えています。カットごとにテクスチャーを替えているものもあります。
機械が出てきますが、これも動かない部分は美術で、動くばねの部分はセルですが美術っぽく落としこんでいます。手法としては実にアナログな手法ですが、それをデジタルのツールを使って補った部分が多かったです。

──では、キャラクターの原画も田中監督自らが描かれたんでしょうか?


田中達也監督による Photoshop での作画作業。Photoshop のアニメーション機能を活用している(左)。Softimage|XSi のカメラマップにより表現された背景(中央)と、After Effects でコンポジットを行っている(右)

そうです。今回、社内では初めての試みなんですが、田中監督の要望で作画をデジタルで行いました。一部時間が無くて手書きの部分は有りますが、基本的にデジタルで行いました。
例えば廊下を走っていたシーンはフル・アニメーションでコマ落しをしていないので滑らかなシーンになっているのが分かると思います。実はデジタルで描くことによって一部工程が増えました。動画はまだデジタルでは出来ませんので、原画をプリントアウトして、動画を描いたものを再びデジタルに戻しています。工程は増えましたが効果としては良いものが出来た手ごたえがあります。

──色が印象的です。

この色は田中監督の世界観ですね、 田中監督の手法を取り入れて彩度ではなくて明度で作品を管理するということをやってみました。また、作画に関しては背景と一緒にした時に浮かないように馴染ませることを意識しています。撮影時に 1 カットをチェックするのに 2時間位かけたり。特に光の表現が難しかったでしょうか。実写の映像ではよく使われる手法で、普通の光源とは別にカメラ側からキャッチライトを当てて、キャラクターを照らしたりするんですけど、そういうのを参考にしながら作りこみました。


左が素材を重ねただけの状態、このままだと薄っぺらに感じられるが、光を感じるように画面設計をした状態が右側。
画面に厚みが出ているのがわかる。

raytrek spec. STUDIO4℃について

──利用したアプリケーションに関して教えていただけますか?

彩色はAdobe Photoshop、撮影はAdobe After Effects です。3DパートにはSOFTIMAGE|XSiを使っています。セルの馴染ませにはセルシス PaintManを使用しています。馴染ませとはキャラクターの影の部分などにグラデーションの処理を加える事です。 当初に作り始めたときには 3dsMax で作り始めていたもので、そこからのデータ移動も結構苦労しましたね。

──raytrek をご利用いただいて、いかがでしたか?

作業中のAfter Effects のプレビューが速くて、その辺りで色々作業が変わってきましたね。今までネットワークレンダリングをしていたものを、普通に自分のマシンでレンダリングしながら他の作業にも掛かれる。これは快適ですね。ソフトも安定して動くんで、以前はよく作業中に落ちて、バックアップとってなくて、「わー」って事があったんですが、殆ど有りません。

──それでもバックアップはとっておいてください(笑)。After Effects と XSi を同時に起動して、ということでしょうか?

はい。かなり一緒に立ち上げて。片方でレンダリングしながらもう片方で作業、というのでよくやっていました。あと静かですね、動いていることに気づかず電源を入れようとしたことがあるぐらいです。

──ありがとうございます、より良い商品開発に活かしていきます。

アニメーションクリエイターを目指す方へ

──これまでの経歴を簡単に教えていただけますか?

2004 年に東京ネットウェイブを卒業、同年春に STUDIO4℃に入社しました。最初の作品は『魔法少女隊アルス』(原作:雨宮慶太、監督:芦野芳晴、NHK)で、スタッフとして参加していましたが後半に初めてCGI監督を勤めました。
その後、宇多田ヒカルさんの『Passion』(EMIミュージック・ジャパン)などのスタッフ、最近では『Amazing Nuts !』(AVEX)の『Joe and Marilyn』でキャラクターデザインを行いました。


──専門学校を出られた後にすぐ就職されたとのことですが、ずっとアニメーションを志してこられたんですか?

専門入学当初はそこまで明確にイメージはしていませんでした。ただ単純に3DCGに興味があって、もともと物を作るのは昔から好きだったので漠然とそういった事を仕事に出来たらいいなと思って入学しました。それで在学中に作品作りの参考で『陶人キット』のパイロット映像をみて、スゲー!って衝撃を受けて、それがキッカケでアニメーション系の仕事を意識しはじめました。
STUDIO4℃に入社したのも自分が衝撃を受けたような作品を作りたいなぁと。そうしたら、まさかそれが自分のところにやってくるとは(笑)。
その頃は作品自体を作り直すことも無いと思っていましたので、こういう機会に恵まれ、まさに幸運でした。今回は入社のキッカケとなった作品にCGI監督として参加することが出来て、本当に嬉しかったです。


──学生の方にメッセージをお願いします。

たまに学校に遊びに行ったりすると在校生に質問されたりするんですけど、そうすると結構みんな アニメーションは出来たほうが良いですか?とか、デッサン力がないとだめですか?とか技術的な事を心配してるみたいなんですけど、私としてはあまりそこに重点を置かなくてもいいと思っています。
そりゃ、出来ないより出来たほうがいいと思うし、最低限の技能は必要だとは思いますが突っ込んだ部分は社会人になってしまえば嫌でも覚えなければいけませんからね。それよりも学生の内は学生ににしか出来ないことをやったほうがいいと思います。
たくさん遊んでいろんな経験をしてください。そこで培われた物が実際に仕事をするようになるとその人の色として作品に反映されます。全然関係ないと思っていた事が自分を助けてくれることもあります。ですので学生のうちに感性やセンスを磨いてください。


──ありがとうございます。


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