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Genius Party raytrek導入事例Vol.5 <エヌ・シー・ジャパン株式会社>

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ジーニアス・パーティ ビヨンド

草木孝幸氏

『アニマトリックス』『鉄コン筋クリート』など、数々の名作を生み出し続けるSTUDIO4℃の下に、日本のアニメーションが誇る天才たちが集結した。プロジェクト名は『Genius Party <ジーニアス・パーティ>』。
昨年公開され、7月にDVDが発売された第1弾に引き続き、第2弾『Genius Party Beyond <ジーニアス・パーティ・ビヨンド>』が製作された。想像力は超越する。脳内麻薬 体感アニメーションに興奮は止みそうに無い。
この『Genius Party』『Genius Party Beyond』にドスパラのPCワークステーション『raytrek <レイトレック>』が導入されている。今回は『Genius Party beyond』で『次元爆弾』(監督:森本晃司)のCGI監督を務めた草木 孝幸 氏に作品について、そしてSTUDIO4℃の製作現場の声を集め企画された『raytrek spec. STUDIO4℃』についての話を伺った。

アーティストがお互いをリスペクトして完成した作品

──作品の概要をお願いできますでしょうか?

一般的なドラマ仕立てのものではなく、ジュノ・リアクターの音楽と映像のコラボレーション、20 分間のミュージッククリップという要素が強い作品です。ミュージッククリップ的にいろんな場面が出てきて、男の子と女の子との出会いからその 2 人を巡る物語で、凄く流れの中で見る作品です。

僕の解釈ですが、出てくる男の子が最初被り物をしているのは、男の子って殻にこもっているんですね。少女と出会ったことによって外の世界との交流が生まれて、解放へ向かうような。
でも、実は僕自身も全部は理解できていません。ただ、絵の中にいろんなメタファーが込められていて、観る側の気分次第でいろんな見方ができる内容だと思っています。
被り物に関しては安部公房の『箱男』をイメージしているという事は聞きました。



主な二人のキャラクター、「シン」と「クゥ」。右側は森本晃司監督によるそれぞれの設定

──キャラクターに名前は付いていますか?

シン君です。女の子はクゥちゃん。
クゥは名前は出てきてないかもしれないですね。併せて「真空」なんだろうな、って思っています。
森本監督に確認したわけでは無いんですけれども(笑)。

──音楽格好いいですね。

ジュノ・リアクターさんの音楽ですね。
森本監督とはお友達らしくてCDのジャケットを森本監督が描かれたりされてますし、アーティスト同士の良い関係なのだろうなと思います。今作品では最初にコンテを起こして、それをVコンテ(コンテを動画にしたもの)として映像に繋げて、それをジュノ・リアクターさんに見てもらって音楽を作ってもらったという感じです。
森本監督と打合せを繰り返しながら、4-5テイクまで行ったでしょうか?そのミーティングで音楽はほぼ決まって、それからコンテに合わせて絵を作っていきました。 絵も音もグルグル回りますので、映画館の真ん中で是非みてください。

森本晃司監督独自の「途中の絵」と回る空間

──森本晃司監督のアニメーションは絵が止まらないですよね、常に動いている印象があります。

そうですね、今回は特にミュージッククリップ的な要素が強いですし。また、森本監督は「途中の絵」ということを良く言われています。止まっている絵でも途中の動きで止まっている、それが流れを意識させる。見ている側には止まっていても止まっていない、そういう印象を与えているのでは無いでしょうか。


──途中の絵というのはどういうものですか?

例えば人を殴ろうとしている絵があったとして、その途中の中途半端な絵、振り被って拳を引きったところの絵ではなくその少し手前、そういう意味なんですけど、キャラクターを止めるときもそういうポーズで止めるんです。


森本晃司監督が強く意識しているという、「途中の絵」がよく分かるシーン。
画面全体が動き続ける印象はこういったシーンから醸し出されるものかもしれない。

森本監督は最初の打合せで、漫画っぽくということを仰ってました。本の漫画ですね。その漫画の絵が動いているようなイメージで作っていきました。背景・原図を全て森本監督自身が起こされたんですが、森本監督の絵を 3D に張り込んだりして、カメラを動かしたり、背景を回り込ませたり、パンをさせたりしています。
カットをつなげるときに絵は違うんですけど動きの方をお互いに併せたり、回りこむ場面でも違う絵でカメラワークを合わせたり、そういう繋げ方をしているので動いている印象を持っていただけたのなら良かったです。


──背景がパンしているのは、今回たくさん出てきますね



印象深いカメラがパンをするシーン(上)と、森本晃司監督によるその原図(下)。

回り込みというか、キャラクターが止まっている空間を回っているカットがありますが、「タイムスライス」の概念をアニメーションで表現するのに多用しました。あとは、もう本当にとにかく流れている感じをつなぐために、3D も多用しながら、背景を動かして、つないでつないで、ひたすらつないで(笑)、という感じでした。

──キャラクターを中心にしてぐるっと回るシーンですが、長い一枚の絵を動かしているんですか?




こちらも横長に作られた背景画像を、3D への張り込みを用いて立体的にカメラを回り込ませている。画面に込まれるような演出が作品中で印象的だ。

3D でオブジェクトも作っているんですけれども、背景を凄く横長に作ってあって、それを立体的に貼り込んでいます。普通に引いてしまうと絵が横に流れてしまうだけになってしまうんですが、それを立体に起こすことによってカメラを回り込ませる、というふうに作っています。

デジタル背景の密度と撮影技術

──しかし、凄い絵ですよね。

ありがとうございます。美術さんがこの密度で書き込んでくれている絵ですから、それにこっち(CG)も応えないといけないですからね。
今回、背景自体は殆ど美術さんのデジタルによる手描きです。デジタルで手描きというのもおかしい言い方ですけど、えー、そういうことです(笑)。
あと背景ではSTUDIO4℃で多用するカメラマップという手法でCGを使用しています。唯一 3D で出来たキャラクターというか、モデリングされているものは自動車ぐらいですね。
デジタルで描かれた絵は、アナログの手書きの絵よりも若干シャープな印象になる気がするのですが、作品ではそれがいい感じに絵に透明感や広がりを感じさせる方向に作用しているような気がします。


美術とセルの仕上がりに非常に気が遣われている。
光・影の調整やグラデーションなど、ひたすらバランスがとられたという。

今回、凄く調整が難しかったのが美術(背景)の上がりとセル(作画のキャラクターなど)の合わせです。美術がこれだけ密度がありましたから、セルが違和感が出ないようにするのが大変でした。
撮影時のちょっとしたグラデーションの調整であったり、光を食い込ませる部分とか、ボケ具合であったりとか。それ程特別なことは行っていないのですが、そのバランスが難しかったですね。
具体的に・・・、難しかったですけど、本当にちょっとしたバランスでしたので、どうやっていたんでしょうね(笑)。

──草むらのシーンも印象的ですね。凄くきれいで。


草木氏も「凄く気に入っている」という草むらのシーン。
草も風に併せて細かく動くが、それぞれが大量のレイヤーに分けられてAfter Effects で撮影されている。

草むらのシーン、緊張感があって僕も凄く気に入ってるんです、蝶々とか。動く草はセルなんですけど、それを何枚かのレイヤーに分けて、というより、物凄い数のレイヤーなんですが、その動く草と同じ数のレイヤーがある。美術はブラシで細かく書くんですが、セルってどうしてもベタ塗りですから、それを撮影上で馴染ませるのは先述のように結構な手間が掛かりました。

──利用したアプリケーションに関して教えていただけますか?

3D はこの作品では 3ds Max です。今STUDIO4℃ではSoftimage|XSi が優勢なんですけど(笑)。どのソフトを選ぶかは作品によってというか、CGI監督によって変わってきます。本当は複数のソフトの中で取捨選択して作品や表現に適したソフトを選ぶべきなのですが、3Dソフトは奥が深いですからね。
私は今のところ一貫して3dsMaxを使用しています。学生の頃にも先生から浮気はするなと言われた事がありまして。恋人は2人作るもんじゃない!と(笑)。
あとは撮影はAfter Effects、他にはPhotoshopやIllustratorのSTUDIO4℃で標準的に使われているアプリケーションです。

raytrek spec. STUDIO4℃について

──raytrek の印象を教えていただけませんか?

良かったです。『次元爆弾』を作るうえで、はっきり言って無くてはならなかった。いいタイミングでやってきてくれました。
実際に今回の作品では、美術を 3D に貼り付けるカメラマップの手法をとる場合は、 1 枚の絵が横幅 10,000 ピクセルを越える事もあるんです。昔はもちろんそんなのは貼れなくって、メモリーが足りないという事で、すみません、解像度落としますということになっていたんですけれども。
今回はメモリーが多く使えるようになって、もともとの美術さんが描かれたままのクオリティを表現出来るようになりました。


また、After Effects はコンピューターの性能(メモリー)にとても依存するので、今まではプレビューに時間が掛かっていて感覚的に作業するのが難しかったんです。
『次元爆弾』では背景もデジタルで、背景の段階でレイヤーを1枚(の絵)にせずに、複数のレイヤーに分かれた状態で貰ったんですね。背景といえど光や空気感がそこにあるんですよ。それらを1枚の絵として統合しちゃうと勿体無い、例えば、空・雲・遠景・中間景・近景の5つ要素のある絵だったら、さらに雲は10レイヤーとか遠景で3レイヤーとか細かくレイヤーを残しておくんです。
またさらにそのレイヤーの間に光や空気感のレイヤーがはさまれてたりして、とにかく膨大な数のレイヤーでした(笑)。でもカメラワークの多い作品でしたので、奥行き感や空間的な広がりを出したくてレイヤーに分かれたままそれを3Dに張り込んだりAfter Effectsで動かしています。そういうのもraytrekだから感覚的に出来たことなんです。
普通、アニメーションの監督は最初のレイアウト、原画の段階で指示が入ることが多いんですけれども、森本監督はあまりその段階での指示は少ない方で、最終的に一緒に調整しながら作っていこう、という方なんです。例えば撮影で、まずは我々が作って監督と一緒に見るんですが、「ここをこうしよう」となったときにその場でAfter Effects を開いて修正ができました。
今までだったらプレビューに時間が掛かっていたんですがraytrekだとそれが出来てしまう。それで感覚的に細かい部分まで調整が出来ました。

──ありがとうございます、より良い商品開発に我々も頑張ります。


アニメーションクリエイターを目指す方へ

──草木様のこれまでの経歴を簡単に教えていただけますか?

熊本工業大学建築学科を卒業後、1年間家業を、実家が建築なんですがそれを手伝っていましたが、東京デザイナー学院アニメーション学科コンピューターアニメーション専攻を卒業、STUDIO4℃に入社しました。以前STUDIO4℃に所属されてた方が専門学校の先生で、4℃の作品にふれることが多かったんです。すごく格好いい映像だなと。それで影響されて来てしまいました。

──大学卒業後に専門学校のために上京ですよね、凄い情熱ですね。

僕が大学を卒業したころって、いわゆる就職氷河期ど真ん中で、建築学科を卒業しましたが全く仕事が無くて。
でも、そういう時代だからこそ好きなことをやろう!と思いました。当時そういう空気がありましたよね、その空気にのって上京して勉強しました。でも今ここにいるというのは、意外と不思議というか、いや必然というか・・・。その時代のことを考えると。そんな時代でしたよね。

──STUDIO4℃で関わられた作品を教えていただけますか?

入社後すぐに『マインド・ゲーム』(監督:湯浅政明)にCGとして関わりました。皆さん是非見てください。
その後は『天才ビット君』(NHK)のCG背景部分を担当しました。 その後に『次元爆弾』なんですが、中断している時期があり、その間に宇多田ヒカルさんのミュージッククリップ『FLUXIMATION』を森本晃司さんと、そのあとすぐに『PASSION』のアニメーションパートを作りました。そのほか数本を作っています。
だから『次元爆弾』は、2年ほど間が空いてしまっています。


──STUDIO4℃で働く魅力を教えていただけますか?

このインタビューでもみんなが言っていることですが、やっぱり色んな仕事が経験出来るという事でしょうか。
例えば、このあいだ、編集の仕事をやったりして、STUDIO4℃ならではだなぁ、と、改めて思いました。短めのトレイラーだったんですが、普通は編集の専門の方にお願いするんですけれど。機会さえあれば 3D はもちろんですが、撮影・キャラクターデザイン・キャラクターセットアップ・美術も、コンテも描きますし。あ、唯一音楽は作らないぐらい(笑)。
本当に何でもやれるので面白いですよ。でも何でも見ていないといけないなぁ、とは思います。 あ、あと、結構PVを作る機会が多いので、アニメーションとは直接関係がなさそうな、例えば宇多田ヒカルさんとか、芸能人に会えることが稀にあります(笑)。

──お会いされましたか(笑)。

お会いしました。打ち上げとかにも。おぉー、宇多田さんだ、不思議だなぁ、僕、つい最近まで九州の田舎に居たはずなのにな~、なんて(笑)。 そういえばクラブイベントも有りましたしね。凄くたくさん人が来ていただいて楽しかったですね。

──アニメーションクリエイターを目指す人にメッセージをお願いします。

僕が学生の時にやってきたことを思い返すと、とにかくアナログのデッサン、そして作品作りの為の3Dと、この2つに絞ってやってました。やっぱり会社に売り込む為には「僕はこういうことが出来ます!」というのが出来なければならないです。色々な絵を見るというところ、それに画力、デッサンなどで目を養う。そういう、「絵を描ける」のが一番強いと思います。
僕が専門学生の頃は、同世代の人達はみんな既に会社で仕事をしてました。そんな中、僕は紙とエンピツで絵を描いていた。凄く没頭していました。没頭して、自分は何が好きなのかを見つける、それも僕の中では重要だったんです。

──随分描かれましたか?

他人と比較するのは難しいんですけど、家に帰ったらクロッキーしたり。いつもクロッキー帳を持っていて、公園で動物描いていたり、歩いている人を描いていたり。あとは、先生に言われてやっていたんですけど、テレビに出てきた人のクロッキー。一瞬で描くとか。でもこれは何回もチャレンジしてみたけど無理でした、だってこっち向いてくれないんだもん(笑)。でも、CGやる上で、画力は重要ですからたくさん描いて欲しいです。


──ありがとうございます。


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