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ジーニアス・パーティ ビヨンド

川村晃弘氏

『アニマトリックス』『鉄コン筋クリート』など、数々の名作を生み出し続けるSTUDIO4℃の下に、日本のアニメーションが誇る天才たちが集結した。プロジェクト名は『Genius Party <ジーニアス・パーティ>』。
昨年公開され、7月にDVDが発売された第一弾に引き続き、第2弾『Genius Party Beyond <ジーニアス・パーティ・ビヨンド>』が2008年10月11日よりシネマート六本木他で公開が決定した。また新たな世界観の創造に、わくわくが止まらない。

この『Genius Party』『Genius Party Beyond』にドスパラのPCワークステーション『raytrek <レイトレック>』が導入されている。前回に続き、今回は『Genius Party』で『夢みるキカイ』(監督:湯浅政明)のCGI監督・色彩設計を務めた川村晃弘氏に作品について、また『raytrek spec. STUDIO4℃』について伺った。

湯浅政明監督の世界を表現する、ぬりえ的な色彩設計


キャラクターの色彩設計。成長に応じて違う肌の色があてられているのが分かる。

──『夢みるキカイ』ではCGI監督に兼ねて色彩設計も担当されたということで、その事に関して教えていただけますか?

実際に彩色作業が出来る様に指示をするのは色指定という担当がいますが、背景との作画素材の色のマッチング、作品全体を通してキャラクターや物の色を決めるのが「色彩設計」としての役割です。
今回、湯浅監督がシンプルな、色分けのはっきりしている絵作りで、楽しく、カラフルな画面にしたいという意向でしたので、ドシンと重たくならないように分かりやすい配色で色遊びをするように、「ぬりえ」気分で楽しんでやりました。

──画面全体の色は時間に沿ってどんどん変わっていきますね。

キャラクターの色ですが、冒頭では肌色を白く、成長するにしたがってだんだん肌色を濃く、という演出を行っています。また、同じ構図でも色味を変えています。時間経過を朝・昼・晩だけではなく、例えば空は最初は黄色かったものを緑色に、地面は黒かったものを赤い色に、という具合です。現実にはそうそう有り得ないような配色もぬりえ気分という考え方でいけば、普通に絵作りしていけるな、という考え方です。

アナログ・デジタルを用いた劇場版での絵作り

──この作品では3Dの美術が多用されていますね。


3DCGシミュレーションによって描かれた原図とそれに合わせて手で描かれた美術。これが3Dの空間で利用される。

当初この作品では、美術(背景)まで3DCGで描くということではなかったのですが、僕から湯浅監督にお願いして、絵作りの上で3Dの利点もあり手描き美術に加え3Dでもやらせていただける事になりました。最初はかなり湯浅監督から指導を頂き、少しずつ仕上げていきました。また、今回僕は劇場版のCGI監督は初めてだったので、絵作りの緻密さを勉強しながら務めました。




主に空と地面の2色で構成されている絵作り。地面にはエンピツで手書きされたテクスチャが用いられ、CGならではの緻密な表現を可能にしている。

──劇場版はやはり違いますか?

違いますね、製作はモニターで、大きいものでも24inch、この作品を作り始めた頃は19inchのCRTを用いて作業をしていましたので、作業している画面上では小さな小さな1ドットが劇場の実寸だと凄く大きくなるわけです。一粒一粒きちんと見て絵作りしていく必要が有ります。

また、湯浅監督は絵のタッチ一つ一つにも凄くこだわりがあり、そのあたりも3Dの特性を活かして表現してみようという事で今回の絵作りが実現しました。
絵作りの構成としては、大まかな印象は地面と空というペタっとした2色配分なんですが、その地面に対しては奥行きをエンピツを用いた描画線でどんどん描き込んで凝縮していくことによって遠近の差を表現したい、ということを監督から受けていましたので、凝縮したタッチが画面の色味を作っている、そういう絵の作り方をしました。

──エンピツで地面のテクスチャーをかかれたんですか?

そうです。美術監督の勝井さんに描いていただいた手描きのイメージボードを参考に、僕が3Dテクスチャ用にエンピツで改めて描きおこしました。エンピツでグリグリとやったり指の腹で混ぜたり、周りから「何描いてるの?」といわれたりしながら(笑)。それをタイルパターンとして用いることで手描きでは描きにくい描画線の凝縮を表現しつつ3D上で作りこんでいきました。

実写と作画、3Dの合成

──いきなり実写の女性が出てきますね。

いつもSTUDIO4℃がお世話になっている編集の方なんですが(笑)、その方をDVカメラで撮影して、作画と3Dモデルに貼り込んでいます。

──『夢みるキカイ』の中で一際異彩を放つシーンでした。

湯浅監督の構想の中で、あの人が擬似的なお母さんという演出です。あそこの部分だけがモニターで実写が貼り込まれている、そのアイデアだけが僕のところにポーンとやってきて、その後僕は加工を楽しんで(笑)。

肩から上の部分がモニターの風船人形というのが一つのバージョンで、もう一つのバージョンが全身風船人形、骨組みだけのあるものに対して風船が四方八方にくっついていてそれに中から映像が投影されていて、お母さんとしての姿を作っている、そういう2つのお母さんです。

一つの風船で出来ているほうは、フシューっとしぼんでいくシュールな絵作りですが、それをどうやって作ろうかは相当悩みました。

──どのように表現されたんでしょうか?

風船を一つずつモーフィングさせてその表面に素材を貼り込むという方法を取りました。可能な限り自分の得意なテリトリーの中で表現していこうと考えた結果、その方法を取りました。カットによっては必要性に応じて3Dでモデリングしたものと作画によるものがあります。


3ds Maxで表現された風船状の人形。カットに合わせてCGと作画が用いられている。

──キャラクターに関して3Dで表現された部分はありますか?

最初に出てきた乗り物ですが、回り込みのカメラワークの部分に関しては3Dを用いました。その先は作画に切り替わります。空を飛ぶヘビ状の生き物は全て3Dです。

──あの歩いている乗り物、凄く可愛いですね。歩いてる足とか。

可愛いですね(笑)、他にも湯浅監督のキャラクターが凄く可愛くて、動きが、表情が、一つずつが凄いんですね。それを崩さないように、それに対して絵の中で浮かないように3Dを作画に合わせていく、その作業には神経を使いました。作品のコンセプトが少し重めで、人間を含めて全てのものが連鎖していくようなそういうテーマの作品ですから、絵のほうは軽快に楽しい絵作りを目指したい、冒頭で述べた美術もそうですが、キャラクターもそれに従って楽しいキャラクターに仕上がっています。


左側が3DCGによる乗り物、真ん中が作画による同じ乗り物。カメラが回り込む場面のみに3DCGが用いられている。

美術CG作成における作業手順の標準化


HTMLで書かれた作業手順書。スタッフが随時入れ替わる現場での作業をスムーズに行う為の工夫が随所に見られる。

──作業時間の短縮はやはり重要でしたか?

この作品に関しての固定していたスタッフが僕のほかには色指定の担当が1名、3DCGシミュレーションの担当が1名の合計3名だけで、残りのスタッフは他の作品との折り合いをつけながら出たり入ったりです。そこで作業手順の標準化が必須でした。
まず僕が湯浅監督とCGで美術を起こせるのかどうかを詰めました。その後、その手順をシステム化して、マニュアルにしました。そのマニュアルをCGスタッフにネットワーク上のHTMLで配布して、誰かが席に着いたらそのマニュアルを見ながらすぐにこの作品に取り掛かれるという具合です。他の作品でも撮影の方法、データの整理の方法等に作業指示書を作成していますが、同じ考え方で美術CGにも作業の標準化を行いました。

製作環境について


STUDIO4℃で多用されるAdobe After Effects。クリエイターの意見を取り入れDCC向けに設計されたraytrekの得意分野である。

──PCワークステーション上でのソフトウェアに関して教えていただけますか?

3Dは3ds Max 6です。Adobe Photoshop とコンポジットにAfterEffectsです。3年ほど前から製作をスタートしましたので、その当時の標準的な環境です。また、モニターのカラーマッチングに関してはColorvisionのSpyder2を用いています。

──『raytrek spec. STUDIO4℃』に関して感想をお聞かせ願えますか?


raytrekが多用されたという『LIMIT CYCLE』(監督:二村秀樹)のレポートも近日中に掲載予定です。

実は『夢みるキカイ』は『Genius Party』7作品の中で1番乗りで完成した作品で、raytrekが導入されたときには既に完成してしまっていたんです。その時にraytrekがあればさらにもっと早くスムーズ出来たのでは無いかとは思います。僕は『Genius Party』の『LIMIT CYCLE』(監督:二村秀樹)にもCGスタッフとして参加していましたが、そちらの方には終盤にraytrekが採用されて、そちらで利用しました。『LIMIT CYCLE』は本当にギリギリまで作業していて、raytrekが無かったらちょっと危なかったかもしれません(笑)。
『Genius Party』以外の作品でも多用しています。特にAfterEffectsですが、これまで用いていた32bitのデュアルCPUのマシンではとにかくデータが重く、プレビューできなかったものがraytrekではきちんとできる、また例えばAfterEffectsでレンダリングしている間にPhotoshopで別のテクスチャを描く、といったギリギリの作業でも行えるのが助かりました。

──raytrekの目標の一つにAfter Effectsを快適にする事が有りましたので、嬉しい限りです。ありがとうございます。
これからのPCワークステーションに期待するところはありますか?

絵を作るものとしては、システム関係、絵を描くこと以外の事に関しては全く考えたくないんです。OSが、とか、インストールが、とか、ですね。最低限絵を作るアプリケーションさえ習熟すればどんどん入ってこられる、そうなってくれたら嬉しいです。
また、raytrekも優れているのですが、さらにマルチタスクに耐えられるマシンが有れば良いですね。Photoshop や After Effects、3ds Maxなどの使うアプリケーションを同時に立ち上げて、テクスチャーを書きつつ、モデリングをしつつ、MaxではレンダリングもしつつAfterEffectsでは撮影自体も進めつつ・・・、と、納期間近であれば本当に間に合わないこともあるので、さらに強力なマシンも期待します。

──ご期待にお答えできるような新商品開発を頑張ります。

アニメーションクリエイターを目指す方へ

──これまでの経歴を教えていただけますか?

武蔵野美術大学で空間演出デザインを専攻、卒業後2002年にSTUDIO4℃に入社しました。

──学生当時からアニメーションをされていたのですか?

いえ、当時は全くです。学生時分は写真のコラージュを作っていました。自分でお話を書いて、それに写真を用いて絵本を作ったり、あとは学校の課題で言えば、舞台美術の先生に師事していましたのでパフォーマンスアートをやったり、それに素材として用いる映像を作ったりしていました。

──アニメーションはSTUDIO4℃に入られてからなんですね。

そうです。何も知らずに入社しました(笑)。それでもSTUDIO4℃に入社したのは自分でお話を作って、絵本を作って、ということをやっていましたので、それらをどんどん突き詰めて具体的に作れるようになりたいという思いがありました。また映画やビデオをみて、STUDIO4℃の作品が好きだったので入社しました。

──クリエイターを目指す学生の方にメッセージをお願いします。

自分のやりたいことをどんどん突き詰めて、その一つのツールとしてコンピュータを使えるように、コンピュータに振り回されないように、自分のやりたいことをしっかりと持って絵作りをしていけば力が付くと思います。夢に乗って、イマジネーションを広げて、それを落とし込むツールとしてコンピュータが使えるようになってください。まずは自分の構想をしっかりと突き詰めて作ってください。


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